2016-11-06
小林まこと「柔道部物語」創作秘話〜ゴン格の増田俊也対談から/小林まこと作品って「歴史的影響」実はすごくない?
ゴング格闘技から
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2016/09/23
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・はじめに柔道をテーマにと編集部にいったときの反応は最悪。えー?柔道漫画なんて…って顔に書いてある。そもそも当時は「部活もの漫画」があまりないし、柔道人気もあまりなかった。
・人気投票でも最初の1年は人気なし。ヤングマガジンじゃなくて少年マガジンから連載の打診が来て、この続編を少年マガジンでやろうか?と言ったら「それはいらない」(笑)
・でも当時は「What's Michel?」がもう爆発的人気だったので、こっちは趣味感覚で力まずやれた。
・その途中から、「全国の柔道部員がこれを読んでいる」という反応が出てきた。読者の顔が見えてきた
・「おはつ」の儀式は、日体大の伝統で、古賀稔彦から教えてもらった。古賀さんからはファンレターをもらったんです。
・当時は「平凡な田舎柔道部の、部活日常もの」を書くつもりだった。だが、ほぼ99%がホワッツ・マイケルへのファンレターの中で「日体大・古賀稔彦」のファンレターがあって…
・「こんなすごい人が読んでるんじゃ、これは田舎の柔道部話で終わらせてはいかん」と、王道もの=三五十五が日本最強になる派内なった。
・デッサンをきちんとやるために、自分がパンツ1丁になって柔道のポーズを撮影した。それを現像に出すと、「これですか?」といって奇妙なポーズのパンツ一丁の自分の写真を見せられる。店の人はどう思ってたんだろう(笑)
・「釣り手だけの片手背負い」が出てくるが、これも古賀の技。参考にビデオで撮った古賀の映像で、早すぎてぶれているけど、何か(ふつう相手を掴んでいるはずの)左手がここにある…見直す…どうも片手で投げてる?…本人に聞いて確認し、許可を得て描いた。
小林 …あの漫画は西野が出てきてからレベルアップした感じするね。
増田 西野というキャラクターはどこから生まれてきたのでしょうか。
小林 それは…『1、2の三四郎』まで遡っちゃうんだけど、あれが終わったときに、当時の編集長に言われたんだ。「小林さんはほんとの敵っていうのを、結局描かずに終わったね」って。それがずっと引っかかってて。たしかに三四郎とほんとに対等にやるようなライバルは出てきてない。仲間は作ったけど、敵はつくってない。それが頭の中に宿題みたいな感じで残っていて…そういうほんとうの敵をつくるというのは、この西野が出てくるまでは描いてないんですよ。
増田 なるほど…対西野で印象に残っているシーンは金鷲旗のとき三五がマッサージを呼んで…筋肉がすごく柔らかい、大丈夫あなたが勝つと太鼓判を押される場面です。(略)ギリギリのところで強い人たちがせめぎ合っていくときに、最後に筋肉の質が大事というのは説得力がありました…(略)どう思いついたんですか?
小林 うーん。もう勝ち目がない敵をつくったわけですよ。でも勝つなら読者が納得する形で勝たせなきゃいけない。努力したから勝ちましただけじゃ、説得力に欠けると思って。あの筋肉はただ鍛え上げるだけではダメなんだと。もともと持っている資質も重要で、それをどう活かすかということを、あのマッサージでやろうって思いついた。
(P15- 16)
・五十嵐先生のモデルは実在するんだけど、全然ひょうきんじゃない。元五輪候補ってのも事実なんだけど、あの国士館の 番 長 だったんですよ。その後接骨院を開かれたんだけど、待合室には「柔道部物語」が置いてある。漫画家になってよかったと思いますね。
・高校の柔道は怖いと入部を拒否してラグビー部に入る同級生にもモデルはあるけど、実際の彼は全然へなちょこじゃない。そういうふうにうちの高校でラグビー始めたんだけど、高校始まって以来の天才で、そこから明治大に入って1年でレギュラー。(※この学歴をたどれば、誰かわかるかも。小林まこと氏の後輩に当たる)
・(腕立て伏せの数や掃除をごまかす部員は必ずどこにもいる、という増田氏に)自分の狭ーい範囲の体験談かいたのに、全国どこにも当てはまった(笑)合宿で1人だけ太った部員というのも実」
・自分がどっかで賞状をもらうレベルの柔道歴だったら、どっかで自慢話が入ってしまったかも。弱かったから「柔道部物語」が描けた。
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柔道部物語 全11巻完結(ヤンマガKCスペシャル ) [マーケットプレイス コミックセット]
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このあとも若いころの経験談
ボクサーが最後まで気力で立っている試合をみて感動してたけど、漫画家もよく考えりゃ負けてない
編集者とは陰で愚痴をいうんじゃなく直に喧嘩しろ。俺はド新人のころから編集の指示とまったく違うものを描いて渡していた
青春少年マガジン1978?1983 (週刊少年マガジンコミックス)
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「女子柔道部物語」のために取材すると、岸本恵子はすごく稽古をしていたのに、楽しくてしょうがなかったんだって。そうううところを描いていきたい
・・・・・・・・・・・というような話でした。原文はもっと密度が濃い、というか12pもあるから(笑)
柔道部物語の創作秘話や、古賀稔彦との交流などについては、少し前にNHKでテレビ番組がありました。
ぼくらはマンガで強くなった「柔道・野村 “背負い”の秘密」【スポーツ・ラボ】
五輪柔道三連覇・野村忠宏さんがマンガ「柔道部物語」を熱く語る!
バルセロナ五輪金メダルの古賀稔彦さんが与えた「柔道部物語」への大きな影響が明らかに・・・
柔道マンガ「柔道部物語」の驚くべき秘密!▽金メダリスト・野村忠宏が語る五輪三連覇秘話▽古賀稔彦が明かすマンガ家との意外な交流!▽リアルな柔道描写の魅力を徹底解明
今回の【スポーツ・ラボ】は「ぼくらはマンガで強くなった」 ▽これまでにない柔道マンガを描きたい! ▽金メダリストを生んだ「柔道部物語」の舞台裏に迫る! ▽マンガ家・小林まことが明かす創作秘話! ▽作者の心に火をつけた“事件”とは? ▽「背負いの野村」はこうして誕生した!? ▽“一本”にかけたライバルたち! ▽ポイントの攻防!スポーツ描写のリアルとは? ▽柔道界とマンガの絆!
どこかで再放送するかもね。
小林まこと氏の作品は、実は後続作品にすっごく影響を与えているのではないか。
しかし、自分はずっと「非マガジン」派で、小林まことは「1、2の三四郎」から間をおいて「柔道部物語」ということで、どうも実感がないのですけど…「三四郎」はマンガ史の中でも非常に画期的で、その後に影響を与えたという話をよく聞く。
なにしろホノオモユルさんも、「熱血スポ根漫画(そういえば「スポ根」って誰の造語?)をギャグにする」というのは小林まことが開拓者だ、と認めているのだ
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http://murasakilg.blog64.fc2.com/?m2=res&no=1418&sp=1&page=1
オラが大好きな
は、やっぱり三四郎の影響を受けてるなと思います。愛と誠の砂土屋のパロディもしてるし。
島本和彦の「アオイホノオ」の中でも、新しいギャグ漫画を試行錯誤していた主人公が、梶原一騎に笑いを混ぜる手法は小林まことに全部持って行かれた…、と書かれてましたね。
三四郎集めた後、I am マッコイも集めました。アレもおもろかったなぁ〜。
でもこの小林まことが本当の意味でブレイクしたのが「what's マイケル」ってのが意外ですよねぇ〜。
なんで俺が猫の漫画描かなきゃいけねぇんだ、とか思ってたらしいですが…。
あぁ、「青春少年マガジン」が読みたい…。
この話、なにかもっと面白い資料があったはずだ…と思ったのだが、その面白い資料を探したら「見えない道場本舗」という面白いブログを見つけた(笑)
「オールラウンダー廻は『格闘技漫画』でなく『スポーツ漫画』の流れにある」(作者:遠藤浩輝) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120818/p1
遠藤浩輝 @hiroki_endo
こんな事言うと怒られるかもしれないが、私は「プロレススーパースター列伝」と「はじめの一歩」位しか格闘技漫画に思い入れがなく、どっちかというと「スラムダンク」みたいなスポーツ漫画の流れで今の連載描いてますです。
(略)
これを受けて「何が格闘技漫画で何がスポーツ漫画か」を考えるわたくし。
、「巨人の星」は・・・というか梶原一騎作品は、野球を描こうとなんだろうと「格闘技漫画」に置くべきだし、たしかに「柔道部物語」は柔道がテーマでもスポーツ漫画なのである、という気がする。「バキ」をスポーツ漫画と考えるトンチキはいないわな。しかし「バキSAGA」はスポーツ漫画といえなくもない気がする(笑)。
或いは「月下の棋士」は格闘技漫画で、「ヒカルの碁」はスポーツ漫画。
「3月のライオン」は意外や格闘技漫画。
マトリックスをつくるわたくし。
「オールラウンダー廻」9巻発売に際し色々&「格闘技漫画とスポーツ漫画」考その2 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120824/p1
参考にならん(笑)
で、「業界の中」でも、小林まことといえばヒット作連発の大物だから当然と言えば当然なのだが、だがそれ以上のプラスアルファとして、「漫画界のレジェンド」であるようなのだ。
「小林まこと氏の漫画界に与えた影響」については、BSマンガ夜話で「1,2の三四郎」が特集されたことなどもあるけど、もっと誰かが論じてほしいですな。
たとえば「猫漫画」(というジャンルがあるといえるかどうかもわからん)に「ホワッツマイケル」が与えた影響など、わしはまったくわからんので。
新装版 What’s Michael?(1) (講談社漫画文庫)
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