東京都八王子市で2014年1月に起きた傷害事件で誤って起訴された後、無実だったとして起訴が取り消された不動産会社経営の男性(47)が5日、国に141万2500円の刑事補償を請求した。男性は113日間勾留されており、刑事補償法の上限に当たる1日1万2500円の補償を求める書面を東京地裁立川支部に提出した。
関係者によると、男性は無罪を訴えて防犯カメラなどの確認を警察官に求めたが取り合ってもらえず、検察官からは「証人はいっぱいいる」と言われた。提出した書面では、勾留によってがんの告知を受けた婚約者に寄り添えず精神的苦痛を受けたほか、仕事にも支障が出たとしている。
事件を巡っては、この男性と貿易会社経営の男性(39)が、トラブルになった2人に2週間~1カ月のけがをさせたとして今年3~4月に逮捕、起訴された。
その後、犯人が逃走に使ったとみられるタクシーのドライブレコーダーに別人が映っていると弁護人が指摘。東京地検立川支部が誤りを認めて2人の起訴を取り消し、東京地裁立川支部が裁判手続きを打ち切る公訴棄却を決定した。
98日間勾留された貿易会社経営の男性は請求通り122万5000円の支給が決定している。【小林洋子】
刑事補償
刑事裁判や再審で無罪や公訴棄却(無罪相当)になった場合、勾留や拘置の日数や既に終えた刑の執行について国に補償を請求できる制度で、刑事補償法が定める。無罪などを言い渡した裁判所に確定から3年以内に請求する。勾留や拘置の補償額は、警察や検察などの故意過失の有無、精神的苦痛などを考慮して、1日1000円~1万2500円の範囲で決める。