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深海底レアアースは資源ではない。
読売新聞が海底レアアースについて報道している。「1キロ54万円のレアアース、南鳥島沖に大鉱床」がそれだ。南鳥島沖の海底にスカンジウム資源が存在する。埋蔵量は15万トンであり年間需要の9900倍、現在の単価はキログラム54万円といったものだ。
■ 採掘できれば価格暴落
もし、これが安定的に採掘できたらどうなるのだろうか?
どうにもならない。レアアース価格が暴落するだけで終わるためだ。
記事のスカンジウムは年間15トンしか需要がないため、価格は鋭敏に動く。1.5トン掘るだけで年間需要の1割が市場に流れ込む。市況次第だが価格は半分となっても不思議はない。年間需要量と同量、15トンも掘ると暴落する。
つまり商業的に成立しない。破格の技術進歩により激安の採掘プラントが完成し、事業全体のコスト込みで年間10億円で維持でたとしよう。それでも現在価格では精錬後の重量で2トン採取してトントンである。収益を挙げるにはそれ以上を採掘しなければならないが、掘れば掘るほど価格が低下するので意味はない。
■ 技術的に不可能
そもそも技術的に採掘する目処も立たない。
まず大水深対応が難しい。南鳥島付近は水深5000-6000mある。NaturalGas.orgによれば、石油・天然ガスの採掘リグは通常型で水深500m程度までである。特殊型でようやく3000mまでだ。http://naturalgas.org/naturalgas/extraction-offshore/ その倍以上の水深に対応することは難しい。
また、採掘側が動き回らなければならない問題もある。資源は海底に薄く堆積した状態にあり採取器を動かして回収しなければならない。この点、パイプを通すだけで枯れるまで地層から吸い上げられる石油や天然ガスとは違う。そして商業的な成功例はない。これは先行した海底資源フィーバー、マンガン団塊採取が全く成功しなかったことから理解できる。
そして、遠すぎるといった問題もある。付近には拠点がない。南鳥島は港湾はなく通常船の接岸は不可能である。補給の限界であり、航空基地を持つ海自も隊員数も絞っており、水不足となればさらに人減らしをする島でしかない。
■ 問題点の指摘がない
つまり海底レアアースの採掘はなりたたない。技術的に実現不可能であり、技術進歩でそれが可能となっても商業的に成立しない。
そのような無意味な資源が注目される理由は何か?
日本人にある資源飢餓感の反動である。戦争は鉱工業の資源確保に失敗して敗戦に至った。戦後もオイルショックで社会的混乱を経験している。そのため、資源の少ない日本は資源開発に手を尽くさなければならない。特に、広大なEEZにある未開発の海洋資源は日本の生命線である。そう考えているためだ。
これは海底メタンハイドレートが先行している。国産資源といった言葉に踊りその発見はニュースとなり資源開発には国費も投入される。
だがそこには問題点の検討がない。メタンハイドレートなら長期的なガス価格低落との比較検討が必要となる。いまでも米豪からの天然ガス輸出は急増しており、ガスそのものはダブつく見込みにある。だが、そのような問題は一顧だにされない。
レアアースもメタンハイドレートも資源量だけが語られる。「日本周辺にこれだけある」や「エネルギー大国になれる」といった夢物語だけが繰り返される。だが、そこに本来あるべき技術的な実現性や経済性といった問題点の指摘はない。これは不思議なことだ。
■ 月極契約しないと残りが読めない
とまあ書いてどっかに投稿しようと思ったけど、読売オンラインで読めるのは300字だけで、あと200字は新聞月極+150円払わなきゃ読めないとなっている。指摘内容がその有料部分で書いてあることだと掲載先に迷惑かけるから、自分のところにアップするに留めるよ。
流石に投稿用はレアアース詐欺とは書かないもんだね。
読売新聞が海底レアアースについて報道している。「1キロ54万円のレアアース、南鳥島沖に大鉱床」がそれだ。南鳥島沖の海底にスカンジウム資源が存在する。埋蔵量は15万トンであり年間需要の9900倍、現在の単価はキログラム54万円といったものだ。
■ 採掘できれば価格暴落
もし、これが安定的に採掘できたらどうなるのだろうか?
どうにもならない。レアアース価格が暴落するだけで終わるためだ。
記事のスカンジウムは年間15トンしか需要がないため、価格は鋭敏に動く。1.5トン掘るだけで年間需要の1割が市場に流れ込む。市況次第だが価格は半分となっても不思議はない。年間需要量と同量、15トンも掘ると暴落する。
つまり商業的に成立しない。破格の技術進歩により激安の採掘プラントが完成し、事業全体のコスト込みで年間10億円で維持でたとしよう。それでも現在価格では精錬後の重量で2トン採取してトントンである。収益を挙げるにはそれ以上を採掘しなければならないが、掘れば掘るほど価格が低下するので意味はない。
■ 技術的に不可能
そもそも技術的に採掘する目処も立たない。
まず大水深対応が難しい。南鳥島付近は水深5000-6000mある。NaturalGas.orgによれば、石油・天然ガスの採掘リグは通常型で水深500m程度までである。特殊型でようやく3000mまでだ。http://naturalgas.org/naturalgas/extraction-offshore/ その倍以上の水深に対応することは難しい。
また、採掘側が動き回らなければならない問題もある。資源は海底に薄く堆積した状態にあり採取器を動かして回収しなければならない。この点、パイプを通すだけで枯れるまで地層から吸い上げられる石油や天然ガスとは違う。そして商業的な成功例はない。これは先行した海底資源フィーバー、マンガン団塊採取が全く成功しなかったことから理解できる。
そして、遠すぎるといった問題もある。付近には拠点がない。南鳥島は港湾はなく通常船の接岸は不可能である。補給の限界であり、航空基地を持つ海自も隊員数も絞っており、水不足となればさらに人減らしをする島でしかない。
■ 問題点の指摘がない
つまり海底レアアースの採掘はなりたたない。技術的に実現不可能であり、技術進歩でそれが可能となっても商業的に成立しない。
そのような無意味な資源が注目される理由は何か?
日本人にある資源飢餓感の反動である。戦争は鉱工業の資源確保に失敗して敗戦に至った。戦後もオイルショックで社会的混乱を経験している。そのため、資源の少ない日本は資源開発に手を尽くさなければならない。特に、広大なEEZにある未開発の海洋資源は日本の生命線である。そう考えているためだ。
これは海底メタンハイドレートが先行している。国産資源といった言葉に踊りその発見はニュースとなり資源開発には国費も投入される。
だがそこには問題点の検討がない。メタンハイドレートなら長期的なガス価格低落との比較検討が必要となる。いまでも米豪からの天然ガス輸出は急増しており、ガスそのものはダブつく見込みにある。だが、そのような問題は一顧だにされない。
レアアースもメタンハイドレートも資源量だけが語られる。「日本周辺にこれだけある」や「エネルギー大国になれる」といった夢物語だけが繰り返される。だが、そこに本来あるべき技術的な実現性や経済性といった問題点の指摘はない。これは不思議なことだ。
■ 月極契約しないと残りが読めない
とまあ書いてどっかに投稿しようと思ったけど、読売オンラインで読めるのは300字だけで、あと200字は新聞月極+150円払わなきゃ読めないとなっている。指摘内容がその有料部分で書いてあることだと掲載先に迷惑かけるから、自分のところにアップするに留めるよ。
流石に投稿用はレアアース詐欺とは書かないもんだね。
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No title
22:22
チャイカ
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編集
>そもそも技術的に採掘する目処も立たない。
主様のこの御指摘ですが、南米在住の船舶レーダー技術者で、移民査証の関係から、現地海軍の特務中尉の軍籍も有されていた、高名な地球の裏側氏は、数年前に巨大掲示板2ちゃんねる上で、以下の様な見解を延べられておられます。長文ですが、引用させて頂きます。
"319:地球の裏側 ◆/lYVcP7um2 :2012/06/28(木) 21:49:40.09 ID:w3E32sDY
別に新しい技術なんて全く必要なし。今回のレアアースの存在は、海底の地中じゃなく深海軟泥と呼ばれる泥に含まれる。深海軟泥の採取なんぞ、すでに100年以上前から、海洋調査船がやってる。 この資源採掘で考えなければいけないのは二つだけ。
まず量。海洋調査では様々な分析が出来るだけの量があれば良いが、商業的採掘では桁違いの量を採掘する必要が有る。もう一つは、遮蔽。例えばドレッジャーなどで海底からすくい上げることは商業的にも出来るが、水面まで上げる過程で少なくない量の泥が水中に拡散する。これをどう防ぐか。 この二つ。まぁ、どちらも金を掛ければ解決する問題。
今、最も現実的な方法としては、「吸い上げる」だと思う。必要なのは5000mの海底まである直径のパイプを降ろす装置と、気体を高圧にして貯留する装置。採掘点の水圧以上の気圧が作れるなら後は簡単。すでに油田の掘削では万単位のpsiを扱うポンプがあるから、それを応用すればいい。
気体を採掘パイプの下端近くに繋いで、大量の高圧気体を送れば、気体がパイプ内を上昇する事で上向きの水流がパイプ内で発生して、採掘パイプ下端の泥を一緒に吸い上げる。
これは沈没船捜索や潜函工法で泥や砂の下の地質を表面に出す、などという時に使われる方法。すでに実績がある。ただし5000m超える水深では圧縮で気体の体積が小さくなるから、量を稼ぐには工夫が必要と思われる。
ですから、技術的には不可能ではないのでは?
何だかんだ言われても、地球の裏側氏も船舶関連の職責を永らく勤められており、其れなりの見識なり、何なりを持ち合わせておられますが、如何でしょうか?
それに、何だかんだ言っても、資源に乏しいのが、日本です。しかし、目の前の宝の海の開発等を図るべきでは?