2016年10月28日金曜日

幸福の科学信者による殺人事件で懲役15~20年の求刑=甲府地裁

山梨県・富士河口湖町で祖父母を殺害したとされ殺人罪に問われている少年についての裁判員裁判が10月27日に結審し、検察は少年に懲役15~20年の不定期刑を求刑しました。公判で少年は起訴事実を認め、動機について「祖父母の遺産が母親に入れば幸福の科学学園高校とハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)に入ることができると考えた」などと説明しました。殺害された祖父は創価学会信者で、祖母は幸福の科学信者。少年の母親が経済的に困窮し実家の支援を受けていながら幸福の科学の100万円の御本尊を購入していたことも明らかになりました。


この事件は、2015年9月に当時高校3年生(18歳)だった少年が、自宅から数キロ離れた場所に住む祖父母を包丁で刺殺したとされるもの。直後に逮捕された少年は今年2月、犯行は計画的で「かなり犯情が重い」として甲府家裁から検察官に逆送され、今年10月24日から甲府地裁で裁判員裁判が行われていました。

少年を含む一家4人全員が幸福の科学信者で、殺害された祖父が創価学会信者だったことは、すでに『週刊新潮』(2015年10月15日号)が報じています。今回の公判では、殺害された祖母は少年と同じく幸福の科学信者だったことが、母親の証言で明らかになりました。

■犯行動機はハッピー・サイエンス・ユニバーシティ

少年が入学を希望した幸福の科学学園の実態
少年は、文部科学省から不認可とされ宗教法人幸福の科学が運営する私塾として開設された「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ」(HSU)に入ることを希望。しかし学力が足りず、また自身が通う高校でいじめにあうなどして居場所がなかったことから、幸福の科学学園高校に1年生から入り直すことを希望していました。母親から「幸福の科学学園とHSUの両方は金銭的に難しい。どちらか片方ならなんとかなる」と言われた少年は、祖父母の遺産が母に入れば学園とHSUの両方に行けるのではないかと考え、犯行に及んだといいます。

父親は病気のため働くことができず、母親が家計を支え、殺された祖父母から毎月3万円前後と不定期の金銭援助を受けていました。家族の中で幸福の科学の信仰に特に熱心だったのは母親と少年で、母親は経済的に苦しい中、幸福の科学の100万円の御本尊を購入していました。

■生育環境や精神的特性の影響

しかし公判で主な論点となったのは、幸福の科学への信仰よりも、少年の生育環境と精神面・知能面での特性でした。

少年は、父親が病気のために働けないのだという事情を母親から知らされておらず、働こうとしないダメな父親だと考えていたようです。祖母から「母親を父親と結婚させたのは自分だ」と聞かされていた少年は、そのことで祖父母を恨んでいたといいます。

母親は日々の生活に疲弊しており、少年が幼少の頃から少年に対する関心が薄く、食事も満足に与えない場面も多々あったようです。子供を家に残したまま家出するといったことも繰り返しており、尋問で「その間、子供がどんなふうに過ごしているか気にならなかったのか」などと尋ねられた際には、「子供のことを考えている余裕はなかった」と答えていました。犯行直前には、一家は互いの会話もなく、毎日の食事の時間や場所すらもバラバラという状態だったといいます。

少年は人間関係が不得手で、父親のことに加えて幸福の科学信者であることが理由でいじめられたこともあったといいます。同学年に友人がおらず、高校生になってからも中学時代の後輩に食事をおごったり高額なiTunesカードをあげるなどして気を引きながら交友関係を保とうとしていました。そのしつこさから、その後輩たちからも疎まれていたようです。

後輩との「付き合い」のために少年は繰り返し祖父母宅から金を盗んでおり、その回数はのべ100回ほどで金額にして40~50万円。盗むペースは2015年に入ってからエスカレートしていたようです。盗んだ金はカードゲームのカードの購入など、自分のためにも使っていたとのこと。

公判では精神鑑定などの結果に基づいて、少年は結果を見通す能力が低く、対人的な機微に疎く雰囲気が読めず、不快感情にもろく対処力が弱い傾向があることを弁護側が主張。愛情不足を物欲で満たそうとする傾向も指摘されています。検察側も、少年にこうした特性があること自体は否定しませんでした。精神鑑定を担当した医師は、統合失調症など狭義の精神疾患や発達障害には該当しないとした上で、行為障害と判断したと証言しました(弁護側は「発達障害の圏内」と主張)。

公判で少年は「申し訳ないことをした」などと語りましたが、検察官から指摘されたり弁護人から促されたりするまでは、祖父母に対する後悔や贖罪にかんする発言は殆どなく、自分の母親などを気遣う発言が中心でした。公判終盤でも「家族を幸せにしたい」といった、過去の犯行より将来の家族関係を語る発言を繰り返し、「空気が読めない」様子を改めてうかがわせてました。

弁護側は、母親の証言に基づき「被害者の遺族が少年を許している」と主張しました。しかし検察官は、殺害された祖父母の孫で少年のいとこにあたる遺族からの書面を紹介。「少年の周囲の大人が少年を擁護するばかりでいいのか」「長い刑期を求めることはしないが、更生のために適切な刑期を望む」といった趣旨の内容で、必ずしも少年を許している遺族ばかりではなく、また現在の少年の扱われ方に疑問を呈する遺族がいる事実も示されました。

■金銭目的で強い殺意をもった計画的犯行

少年は犯行直前、後輩を富士急ハイランドに連れて行くための金を盗む目的で祖父母宅を訪れ、祖母から「本当のことを言いなさい」と、盗みを見抜いているかのようなことを言われています。盗みが発覚し今後の盗みが難しくなったタイミングでの犯行で、殺害のために祖父母宅に侵入した際に現金を物色しています。金は見つからず殺害だけ実行しましたが、HSUや学園をめぐる事情とは別に、自身の金銭欲や盗みの発覚を防ぐためという動機もうかがわせる行動でした。

犯行前日から道具のリストを携帯電話にメモした上で、変装用のマスクや血を拭うタオル、指紋を残さないための手袋などを準備。犯行の際は、祖父母の首や頭部、胸など、より確実に殺害できそうな箇所を集中的に狙って包丁で刺しています。犯行後は、道具や衣類の血を洗い流し曲がった包丁を直して自宅の台所に戻したりしたほか、携帯電話に入力したメモを削除するなど、ことの重大性を理解していたことをうかがわせる隠蔽工作も行っています。

検察側は「犯行は強い殺意のもと計画的に実行された」とし、動機も身勝手なものであることから「懲役15~20年」を求刑。弁護側は犯行の重大セについては否定せず、少年の生育環境や精神・知能面での特性といった事情を考慮して「懲役7~12年」を主張しました。判決は11月1日に言い渡されます。

■大川隆法総裁は何をやっているのか

今年のHSU祭では宇宙人の解剖展示も
公判を全て傍聴した本紙・藤倉善郎総裁は、こう語ります。

「動機は身勝手で犯行内容も凶悪だが、少年がもともと粗暴だったり悪意に満ちていたりというふうには見えない。少年自身の精神・知能面の特性と周囲の環境がからみあって少年が追い詰められていった様子が、あまりに悲しかった。一方、初公判の前日まで千葉県の長生村で開催されていた“HSU祭”では、殺人事件を題材にしたふざけた裁判演劇が上演されていたと聞く(本紙記事参照)。山梨ではHSUのために幸福の科学信者が殺したり殺されたりして裁判になっているというのに、無神経にもほどがある。大川隆法総裁は、こんなHSU祭を視察してニヤけている場合ではないだろう。地球至高神なら、困窮する生活の中で100万円もする御本尊を買った信者一家を、なぜこのような事件に至る前に救わなかったのか」

今後について少年は幸福の科学からの脱会を考えているという趣旨の発言もしていましたが、まだはっきりと決めてはないようです。母親は「幅広いことに興味を持ってもらいたい」として様々な本を差し入れていると語り、具体例として「本人(少年)は松下幸之助やイチローの本」を挙げました。なんだか幸福の科学の霊言のようなラインナップですが、霊言本なのかどうかは不明です。

幸福の科学への怒りを抑えきれない藤倉総裁は、最後にこう付け加えました。

「少年は幸福の科学信者であることが理由でいじめにあっていたようで、これは断じて許せない。バカにするなら幸福の科学に向かって幸福の科学をバカにすべきだ。悪いことをしているわけでもない個々の信者の日常生活を追い詰めないでほしい」

2 コメント:

匿名 さんのコメント...

裁判所GJ
この調子で、統一教会の信者による殺人テロおよび、統一教会教祖による殺人についてもビシバシ裁いて頂きたく

匿名 さんのコメント...

ブラック企業じゃないなら一緒に働きたいですね。