さて、3つ目のファイナルカレーは、欧風カレーとインドカレーのいいとこどりをしたカレーです。スパイシーで刺激的でコクとうま味がある。軽やかなのにリッチなカレーです。
基本的には、これまで紹介してきたインドカレーと欧風カレーのレシピを合わせます。
肉にした味を付けるなどの処理をしたうえで、インドカレースタイルでスパイスを使い、ベースとなるをタマネギなど炒めていき、欧風カレースタイルでブイヨンを使って伸ばし、煮込み、最終的に伝家の宝刀、カレールウをほんの少し隠し味に使って仕上げる。
いいとこどりというのは、とても素敵な響きを持っていますね。おいしいカレーができそうな気がしませんか? 欲張り物は損をするとか、二兎追う者一兎を得ずとか、そんな格言もありますが、ファイナルカレーに関してそれらはあてはまりません。
タイプの違う2種類のカレーの魅力をひとつの鍋に封じ込めましょう。まるで特徴の違うふたつのカレーをひとつに合体させるとすごいことが起こるんです。結果は作ってみてのお楽しみ。
【材料・4人分】
豚肩ロース肉or 豚ばら肉(大きめのひと口大) 500g
梅酒 50ml
紅花油 大さじ2
玉ねぎ(みじん切り) 1個
バター 10g
香味ジュース
・にんにく(すりおろし) 1片
・しょうが(すりおろし) 1片
・にんじん(すりおろし) 1/2本
・セロリ(すりおろし) 1/2本
・ホールトマト 100g
パウダースパイス
・ターメリック 小さじ1/2
・レッドチリ 小さじ1/2
・クミン 小さじ1
・コリアンダー 大さじ1
塩 小さじ1/2
チキンブイヨン(顆粒でOK) 300ml
隠し味
・しょう油 小さじ1
・はちみつ 小さじ1
・ローリエ(あれば) 1枚
カレールウ 1/2~1/3かけ
1. 豚肉に梅酒を漬け込み、2時間ほど(できれば一晩)置く。
2. 鍋に油を熱し、玉ねぎを加えて飴色になるまで炒める。
3. バターと香味ジュースを加えて水分が完全に飛ぶまで炒める。
4. パウダースパイスと塩を加えて炒める。
5. 豚肉をマリネ液ごと加えて表面全体が色づくまで炒める。
6. チキンブイヨンを注いで煮立て、隠し味を加えてふたをして弱火で45分ほど煮込む。
火を止めてふたを開け、カレールウを溶かし混ぜ、再び加熱して2~3分ほど煮る。
いよいよ、ファイナルカレーの材料を説明していきます。といっても、「欧風カレー」と「インドカレー」とだいたい共通していますので、違う食材は、豚肉と梅酒とブイヨンだけ。順に解説しますね。
<欧風カレーより>
●玉ねぎ/にんにく/しょうが:おうちでできる究極の「欧風カレー」のレシピ へ
●塩/油/バター/ローリエ/カレールウ:「欧風カレー」のコクと旨味の素材たち へ
●香味ジュース:「欧風カレー」の2つのポイント“香味ジュース”と“飴色玉ねぎ” へ
<インドカレーより>
●スパイス:おうちでできる究極の「インドカレー」のレシピ へ
●ホールトマト:しっかり火をいれる「インドカレー」の調理のコツ へ
豚肩ロース肉or豚ばら肉(大きめのひと口大) 500g
豚肉を買う。豚肉はできるだけ大きな塊肉を探しましょう。そのほうが好みのサイズに切れるから。かたまりの状態で一番手に入りやすいのは、おそらく豚ばら肉だと思います。割とよく見る。豚ばら肉を買うときは、白い脂身の部分をチェックしてみてください。あまりに白い部分が多すぎるのは、ちょっと避けたほうがいい。
好みによりますが、豚ばら肉の脂身は、おいしいけれど、量が多すぎるとしつこく感じます。適度に切り落とすことになるから、ものによっては脂身をそぎ落として行ったら塊が半分になっちゃった、ということもあり得ます。もったいない。500gを使いたいから、600gくらいは買ったほうが無難です。
豚ばら肉よりもおすすめなのは、豚肩ロース肉。スーパーでかたまりで売っているのを探すのはちょっと難しいかもしれません。でも、肩ロース肉というのは、適度に脂身があり、赤身の部分も味わい深くておすすめ。僕は、豚肉の部位で最も好きな場所です。ちょっと値段が高いのが玉に瑕。でも、ファイナルカレーのためですから、見つけたら買いましょう。
豚ばら肉も豚肩ロース肉もなければ、その他の部位でもかまいません。「カレー・シチュー用」のひと口大に切れている豚肉でもOK。この手のものは、おそらくさまざまな部位が混在しているはずです。それはそれで食べる時に「あたり!」、「はずれ……」などと楽しめます。
梅酒
梅酒を自宅で飲むという人は、キープしている梅酒を使いましょう。なければ買いますが、なんでも構いません。僕はなんとなく、色の濃いものを選ぶ傾向にあります。これは、個人的に好きなシングルモルトのウィスキーに影響されています。色の濃いウィスキーは、シェリー樽でまろやかな甘味に特徴のあるものが多い。要するに梅酒も甘味や風味の強いものの方がいいんです。豚肉をマリネしたときに存在感を発揮してくれますから。
梅酒がない、という方は別の酒でも構いません。ビールや日本酒などのバリバリの醸造酒はちょっと合わないかなぁ。ワインなら赤よりも白がよさそう、でも、そんなにお勧めしません。いいのは、カシスをはじめとする果実酒やカンパリ、アマレットなどのリキュール類がいいですね。あ、でも、これらは梅酒よりも手に入りづらいのかも。ウィスキーやコニャック、ブランデーなどもいいですが、アルコール度数が高いので、使うなら控えめに。焼酎もいいです。ただ、個性が強く出すぎてしまうかもしれません。
そう考えると、やっぱり少々面倒でも梅酒を手に入れてもらうのがいいですね。色んなお酒を試しましたが、このレシピには梅酒が最適です。
チキンブイヨン
チキンブイヨンは鶏ガラと香味野菜から自分で作るのがベストです。これにかなうものはありません。が、さすがに手間がかかりすぎますよね。気にならない人なら市販の顆粒のものでOKです。コンソメの素とか鶏ガラスープの素、と書かれた商品でも構いません。
次回「限られたコツをすべて詰め込んだ「ファイナルカレー」の調理」は11/1(火)更新予定
更新が待ちきれない方は、この企画の元になった
「インドカレーVS欧風カレー!究極の家庭料理対決」を併せてお楽しみください。
水野仁輔さんのnoteがはじまりました! 多彩なカレーのコンテンツをお楽しみください。