文/ KS =グループ4 この7月、オンライン旅行会社(OTA)のローコストホリデイ(LCH)と傘下のベッドバンクが倒産した。予約された11万2000件は代金支払い済みで、そのうち英国からは6万件(1件平均2.3人)の旅行が取りやめになった。同社の約款は顧客に旅行出発84日前までの代金全額支払いを求める。また旅行中の顧客2万7000人は、同社からホテル代金の多くが未送金のため、旅行を中止するか、宿泊ホテルに直接、代金を支払わねばならない。 同社はスペイン国籍だが、13年に新パッケージ旅行指令(PTD、18年発効)を先取りして英国から事業コストの低いスペイン(バレアレス諸島のパルマ)に拠点を移した。英国を含む欧州全域で低価格を売りにして昨年約5億ポンド(約650億円)の売り上げがあった。LCH グループが英国を離れた理由の一つは、英国でパッケージを販売するオペレーターのATOL ライセンスが、ダイナミックパッケージを含む複数素材を同時販売するエージェントにもATOL フライトプラスが必要になったからだ。英国ではライセンス費用(ボンドなど)に加えてパッケージ販売時に顧客から2.5ポンド(APC)徴収義務がある。これはボンドと合わせて業者倒産時の消費者への弁済資金に充てられる。