地元の木材を使って公共施設を整備する自治体などに工事費の2分の1を補助する林野庁の事業計311件について会計検査院が調べたところ、木材をほとんど使わない工事に補助金が支払われたケースが2015年度までの3年間で133件、約6億6400万円分あったことが分かった。調査対象の4割超に上っており、検査院は改善を求めた。
検査院は3年間に22道府県の240市町村などが行った計311件の事業を調べた。その結果、空調設備や照明器具などの設置工事に対して補助を受けたり、駐車場のアスファルト舗装や鋼製フェンスなどの外構施設工事を付帯施設として補助対象に含めたりするケースが19道府県の115市町村などで133件確認された。
このうち新潟県胎内市は13年度に総額約6億円で木造の認定こども園を整備し、補助金約3億円を受けた。木材をほとんど使わない空調設備の設置工事や駐車場のアスファルト舗装工事費などに対する補助として、約6200万円を受給していた。
林野庁は、電気や上下水道工事は補助しないとしているが、他の設備工事や付帯施設は補助対象外と明確には定めていない。
検査院は133件について「木材はほとんど使われず、地元の木材の利用にもつながらない」と指摘、林野庁に補助対象を再検討し、都道府県や補助を受ける市町村などに周知するよう要求した。
林野庁は「補助対象をより詳細に整理して周知したい」としている。【高木香奈】