「発達障害ってどんな障害なの?」、「発達障害の子供にはどう関わればいいの?」と聞かれたらどう答えますか?
近年、発達障害の認知度の高まりとともに、医療現場や教育現場はもちろん、メディアや日常生活の中でも話題が飛び交うようになりました。
しかし、発達障害についての理解が曖昧なままに留まっている人はとても多く、実際、冒頭の質問に即答できる人はほとんどいないのが現状です。
発達障害の子供への関わりは、子供の特徴(特性)を理解し、それに応じた関わり方を工夫することが欠かせません。
そのため、発達障害の子供のパパママだけでなく、その子供に関わるできるだけ多くの人が、発達障害についての基礎知識を身につけておくことが望ましいと言えます。
この記事では、発達障害の特徴(特性)と、発達障害の子供への関わり方について紹介します。
発達障害の定義
発達障害とは、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」です(発達障害者支援法の定義)。
人の脳には、記憶、思考、判断といった様々な機能が備わっています。
通常、脳の機能は、成長の過程でバランスよく発達し、日常生活や社会生活に適応するために役立てられます。
発達障害は、こうした脳の機能の発達にアンバランスが生じている状態だと考えられています。
※DSM-5においては、自閉症などは「自閉症スペクトラム」という概念にまとめられています。
しかし、この記事では発達障害者支援法に基づいた分類(DSM-Ⅳに基づく分類)で記載しています。
- DSM:アメリカ精神医学会が出版する、精神障害のための共通言語と標準的な基準が示された書籍。DSM-Ⅳは第4版、DSM-5は第5版(最新版)
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発達障害の特徴(特性)
発達障害者支援法に明記されている発達障害は、次のとおりです。
- 自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、
- 学習障害
- 注意欠陥多動性障害
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害(自閉スペクトラム)の特徴(特性)
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害とは、①社会性の障害、②コミュニケーション能力の障害、③想像性の障害を特徴とする発達障害です。
- 社会性の障害:相手の気持ちを察する力が弱く、空気を読むのが苦手など
- コミュニケーション能力の障害:冗談、皮肉、慣用句が通じにくく、比喩表現の理解が苦手など
- 想像性の障害:物事を計画してやり遂げる力が弱い、融通を利かせたり、柔軟に対応したり、応用したりする(臨機応変に対応する)のが苦手、興味関心に偏りがあり「こだわり」が強いなど
自閉症は、言葉の遅れが見られます。
一方で、アスペルガー症候群は、社会性の遅れはありますが、言葉の発達の遅れは見られず、その他の遅れも目立ちません。
学習障害(LD)の特徴(特性)
学習障害(LD)とは、全体的な知的発達に遅れはないが、読む、書く、計算する、推論する、聞く、話すという学習能力のうち、1つ以上が困難な状態です。
- 文字を読むのが苦手:「ぬ」と「め」、「ろ」と「る」など似た文字を読み間違える。文章や単語の区切りが分からない。
- 文字を書くのが苦手:撥音(「っ」)や拗音(「ゃ」、「ゅ」、「ょ」など)、句読点(「、」や「。」)を間違えたり、書き忘れたりする。
- 計算するのが苦手:学習しても計算ができない。
- 推論するのが苦手:推論ができない。
- 話を聞いて理解するのが苦手:聞きもらしや聞き間違いが多い。集団場面で説明を受けるのが苦手。
- 話すのが苦手:うまく話せない。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)
注意欠陥多動性障害(AD/HD)とは、不注意、多動性、衝動性が通常より高いことにより、日常生活や社会生活に支障をきたしている状態です。
- 不注意優位型:集中できない。すぐ気が散る、物をなくす、忘れるなど
- 多動性・衝動性優位型:落ち着きがなく、ジッとしていられない。突然大声を上げるなど
- 混合型(不注意・多動性):注意欠陥多動性障害(AD/HD)の約80%を占めており、不注意と多動性の特徴を示す。
発達障害と個性
人の気持ちを理解するのが苦手な人や、話すのが苦手な人はたくさんいますが、全員が発達障害ではなく、個性によるところも多いでしょう。
発達障害と個性にははっきりした境界線はありません。
しかし、発達障害の子供は、日常生活や社会生活にうまく適応できず、そのことによって周りの人が困惑するだけでなく、子供自身が生きづらさを感じているという特徴があります。
発達障害の子供への関わり方
発達障害の子供に関わる時は、パパママのひと工夫が必要です。
- 指示は一つずつ伝える:「ちょっと待ってね。」ではなく、「10分待ってね。」
- 指示は具体的に伝える:「夕方、塾へ行く時に、月謝袋を持っていきなさい。」ではなく、「午後6時に塾へ行きなさい。塾へ行く時に月謝袋を持っていきなさい。」
- 低くてはっきりした声で、ゆっくり話す:声が高く、話すスピードが速いとしっかり聞き取れない。
- 短い言葉で簡潔に話す:「もう寝る時間だから、すぐにゲームを止めて部屋に戻りなさい。」ではなく「もう寝る時間だよ。ゲームを止めなさい。ゲームを止めたら部屋へ戻りなさい。」
- 二重否定は使わない:「水着をもっていかないと、プールに入れないよ。」ではなく「プールに入るには水着がいるよ。」
- 言葉だけでなく、文字、絵、図を活用する:耳よりも目で見た方が理解しやすい子供が多い。
- 見通しを伝える:見通しが不透明だと、強い不安を感じて混乱し、感情的になりやすい。
- 距離感や視線のやりかたに注意する:相手の目を見て話したり、近くに寄って来られたりするのが苦手な子供が多い。
- 刺激の少ない環境を用意する:他の刺激に気を取られて、指示や指導が入りにくい。
- うっかりを防ぐ工夫をする:メモを取る習慣をつける、書類はファイルにまとめる、チェック表で持ち物を確認するなどの方法で、忘れ物や落とし物を予防する。
まとめ
発達障害の特徴(特性)と、発達障害の子供への関わり方について紹介しました。
発達障害の子供は「育てにくい」と、よく言われます。
しかし、パパママが子供の育てにくさを悩んでいるのと同じように、子供も世の中に生きづらさを感じて悩んでいます。
大切なのは、発達障害の子供が、何が得意で何が苦手なのかをしっかり理解し、それに応じた対応を工夫することです。
こうした対応により、発達障害の子は、生きづらさを感じずに過ごせるようになり、目立っていた特徴(特性)も少しずつ落ち着いていきます。
それに伴って、お世話をするパパママや周囲の人も、子供と安定した関係を築きながら、落ち着いた生活を送れるようになっていきます。
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