新潟県知事に米山氏当選-原発再稼働に慎重姿勢、東電株価に悪影響
新潟県知事選が16日に投開票され、東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に慎重な姿勢を示してきた医師の米山隆一氏(49)が当選した。
知事選は共産、自由、社民3党が推薦していた同氏と、与党が推薦した森民夫(67)前長岡市長との一騎打ちとなった。新潟県選挙委員会がウェブサイト上で発表した資料によると米山氏の得票数は52万8455票、森氏は46万5044票だった。
米山氏は「福島原発事故の検証なしに再稼働の議論はできない」と訴えていた泉田裕彦知事の路線を継承。NHKの報道によると、米山氏は当選後に「原発再稼働の話がきっとすぐに来るが、約束したとおり命と暮らしを守れない現状で認めることはできないとはっきり言わせていただく」と支援者らに話した。選挙公報などによると米山氏は魚沼市出身。東京大学医学部卒で、1999年の東海村の臨界事故時には放射線医学総合研究所当直医を担当していた。
東電HDにとって、同原発6、7号機の再稼働は最大で年2400億円の収益改善効果をもたらす。原油価格の下落により2016年3月期の営業利益は3年連続の増益となったが、ひとたび高騰すれば燃料費の増大は大きな圧迫要因となるため、原発再稼働は経営の安定化につながる。膨らむ廃炉の費用も東電HDの経営に重くのしかかっており、広瀬直己社長は今月、廃炉費用を一括計上すると債務超過に陥る可能性があると窮状を政府に訴えていた
大和証券の西川周作アナリストは14日のブルームバーグの取材で、米山氏が当選すれば東電HDの株価にはマイナスに働くとの見方を示した。ただ再稼働への多少ハードルが増えたとしても、「東電HDがすぐ赤字になるわけではない」とし、経営に致命的なダメージを与えるものではないと指摘した。
SMBC日興証券の塩田英俊シニアアナリストは14日の取材で、原発の再稼働への地元同意を判断する県知事に米山氏が当選すれば、「原子力への注文が厳しくなる可能性が高いので、与党より再稼働に時間がかかる」とし、東電HDの経営や株価に対してネガティブなインパクトを与えると話していた。