高頻度取引会社、SECの試験プログラムで企業秘密漏れを懸念
- SECは小型株取引の促進策を開始、一部銘柄で呼び値の刻み拡大
- 匿名性はごくわずかで取引戦略が露見すると高頻度取引会社は主張
高頻度取引会社の一部は、米株式市場における米証券取引委員会(SEC)の新たな試験的プログラムの影響で自社の最も価値ある資産の1つである極秘戦略が漏れると不満を募らせている。
シタデル・セキュリティーズやKCGホールディングスなどのブローカーは、3日開始された小型株の売買を促進する「ティック・サイズ・パイロット」と呼ばれる試験プログラムの要素について一斉に疑念を表明。このプログラムにより業者は詳細な取引データの公表を迫られ、匿名性はごくわずかしかないと訴えている。
高頻度取引業者にとってコンピューターの複雑なコードは市場で利益を上げるための秘密兵器。一部のブローカーはこの試験で公表した取引データを当局が十分に覆い隠せないと懸念を示している。
シタデル・セキュリティーズの執行サービス責任者、ジャミル・ナザラリ氏は「誰が誰だか3秒で分かるだろう」と述べ、取引会社が「知的所有権を保護するため行動パターンを変える可能性が高い」ため試験の結果の意味は薄れると指摘した。
SECはコメントを控えた。
2年間にわたるこのプログラムは、小型株売買の収益性を高めて取引高の増加を促すのが狙い。小型株約1200銘柄の呼び値の刻みを1セントから5セントに拡大することでマーケットメーカーの収益機会を広げ、こうした小型株売買により多くのブローカーを引き寄せて取引促進を図る。
昨年承認された計画では、試験プログラムの成否を見極める一助として、トレーダーに対象銘柄をどう扱ったかデータ報告を義務づけている。当局は対象銘柄の売買に関する月次データを匿名で公表するが、一部のブローカーディーラーは抜け目のない競争相手が簡単にどの会社のデータかを特定し戦略上の好機にすると指摘している。
原題:High-Speed Traders Fear Regulator Spilling Their Biggest Secrets(抜粋)