高頻度取引会社の一部は、米株式市場における米証券取引委員会(SEC)の新たな試験的プログラムの影響で自社の最も価値ある資産の1つである極秘戦略が漏れると不満を募らせている。

  シタデル・セキュリティーズやKCGホールディングスなどのブローカーは、3日開始された小型株の売買を促進する「ティック・サイズ・パイロット」と呼ばれる試験プログラムの要素について一斉に疑念を表明。このプログラムにより業者は詳細な取引データの公表を迫られ、匿名性はごくわずかしかないと訴えている。

  高頻度取引業者にとってコンピューターの複雑なコードは市場で利益を上げるための秘密兵器。一部のブローカーはこの試験で公表した取引データを当局が十分に覆い隠せないと懸念を示している。

モニター画面を見つめるトレーダー
モニター画面を見つめるトレーダー
Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

  シタデル・セキュリティーズの執行サービス責任者、ジャミル・ナザラリ氏は「誰が誰だか3秒で分かるだろう」と述べ、取引会社が「知的所有権を保護するため行動パターンを変える可能性が高い」ため試験の結果の意味は薄れると指摘した。

  SECはコメントを控えた。

  2年間にわたるこのプログラムは、小型株売買の収益性を高めて取引高の増加を促すのが狙い。小型株約1200銘柄の呼び値の刻みを1セントから5セントに拡大することでマーケットメーカーの収益機会を広げ、こうした小型株売買により多くのブローカーを引き寄せて取引促進を図る。

  昨年承認された計画では、試験プログラムの成否を見極める一助として、トレーダーに対象銘柄をどう扱ったかデータ報告を義務づけている。当局は対象銘柄の売買に関する月次データを匿名で公表するが、一部のブローカーディーラーは抜け目のない競争相手が簡単にどの会社のデータかを特定し戦略上の好機にすると指摘している。

原題:High-Speed Traders Fear Regulator Spilling Their Biggest Secrets(抜粋)

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