こんにちは、NAEです。
ブロガーまわりで「質と量のどちらを優先すべきか?」という議論が起こっているのを見ました。
- 量は質に転化する
- 型を守らない素振りには意味がない
- 結局は思考の質がすべて
アウトプットとスキルの話が混ざっているなーと思いつつ、もしスキルの話だとしたらひとつ言いたいことがあるのです。
「キャッチアップ力」こそ、これからは大事だよ
今回はそんなお話。
- キャッチアップ力とは
- キャッチアップ力の重要性をあらためて強調する理由
- キャッチアップが早い人こそ生き残る
- キャッチアップ力に必要な2つの観点
- キャッチアップ力をつけたいならコンサル業界においでよ
- まとめ:考えるのをやめないこと
キャッチアップ力とは
キャッチアップ力を一言であらわすとスキルを素早く身につけるスキルです。
厳密に言うと戦力になるまでのリードタイムを短くする能力でしょうか。
新しいことを始めるときには必ず「学び」の期間が必要です。研修期間というやつですね。あるトピックやビジネスにおいて価値を出せる存在になるためにスキルを身につける期間です。修行と呼ぶこともできます。
必要な修行期間はトピックや当人の過去の経験によって幅があります。匠の技を身につけるなら長い時間が必要でしょうし、簡単なオペレーションであれば数時間で済むこともあります。同じような仕事経験があれば即戦力として扱われることでしょう。
キャッチアップ力の重要性をあらためて強調する理由
そんなん知っとるわ。昔から言われとろうが。
なんていうツッコミが聞こえてきそうなので、なぜ今あらためてキャッチアップ力なのかという話しをしておきたいと思います。
ぼくがあらためてキャッチアップ力の重要性を書こうと思った理由は、求められるスキルの変動が激しくなってきているからです。
変化が激しい中でひとつのスキルに依存するのは危険
これまではひとつのスキルを磨き上げる専門職人的なキャリアでも十分戦えるフィールドがありました。(もちろん分野によりますが)
しかし、今やデジタルディスラプションの時代です。テクノロジーの力を使ってAmazonが書店やサーバ販売業者を蹂躙したように、これまで競合としてみなしてこなかった黒船企業が突然やってきてすべてを奪っていく。そんな不連続な変化が日々起きています。
マクロな視点でそのようなことが起きている。ではミクロの視点ではどうか。
最悪の場合、自分が強みにしているスキルが役立たずになるなんてことが起きえます。だってそのスキルが役立つとみなされるフィールドがどっか行っちゃうんですから。
極端なモノ言いかもしれませんが、ひとつのスキルに依存するのは危ないという危機感は持っておいたほうがよいと感じています。
リスクヘッジの代表的な手段はこちらのふたつ。
- より汎用的なスキルを身につける
- スキルポートフォリオを築く
ですが、これらにも限界があるんですよね。
汎用スキルは「で?」に答えにくい
汎用的なスキルとは、需要がなくなる危険は少ない、どこでも使えるスキルを指します。細分化された専門的なスキルの対局にあるものです。語学、コミュニケーション能力、ビジネスフレームワーク、抽象的な思想や学問などがそれにあたります。最近ではプログラミングもこの範疇に含まれつつありますね。
ただ、汎用的であるぶんそのまますぐに役に立つことが少ない、個別具体的な課題に当てはめて活用するには「応用力」が必要、などの課題がつきまといます。
英語ができます
→なるほど。で、英語で何ができるの?
コミュニケーション得意です
→ほう。それ使ったら何が実現できるの?
フレームワークによる分析できます
→教科書的な分析に意味はないんだけど?
思想・哲学に詳しいです
→目の前の人はそれ理解できる?
プログラミングできます
→で、何が作れるの?
結局はスキルを価値に転化するための能力がないと役に立たないのが汎用スキルの痛いところです。
そもそも戦力になるまでの時間を短くするには汎用スキルのさらに先、細分化した専門スキルの獲得が必須だったりもします。
スキルポートフォリオは選択を誤ると茨の道
次に、複数のスキルを身につける=スキルポートフォリオを築くアプローチについて。
たしかに、多くのスキルを身につければスキルを活かすフィールドがゼロになるリスクは減らせます。
しかし選択を誤るとその先には茨の道が待っています。強みとなるスキルを3つに増やしました。しかし実はその3つ、同じ分野に閉じていました。それじゃあまり意味がありません。
でもこれ、やりがちなんですよね。だって近いスキルは身につけやすいし楽なので。Javaでプログラミングを学んだ人ならC#が覚えやすい。でもJavascriptやGoLang、Scalaはきっと難しいでしょう。
スキルポートフォリオを築いているようで実は全然ポートフォリオになっていない。楽にやろうとするとそんな事態になってしまう可能性だってあるんです。
リスクヘッジの観点からは、スキルポートフォリオを築くのであれば真反対のトピックを選ぶのが鉄則です。医者であれば法律を、技術者であればマーケティングを、ロジカルな人はエモーションを。
投資の世界ではすべての卵をひとつのカゴに入れるなという言葉があります。集中投資はリスクが大きいため、異なる業界・分野・企業に分散投資せよというお話です。スキルポートフォリオについてもこのアイデアは有用なのです。
キャッチアップが早い人こそ生き残る
汎用スキルとスキルポートフォリオの話をしましたが、両方に共通するのは
キャッチアップが早くないとしょうがない
ということです。汎用スキルは結局専門スキルが必要になりますし、スキルポートフォリオを築くのに時間がかかるならそれだけリスクも高まるんですから。
かのダーウィンが進化論を唱え自然淘汰を語ったときに「変化するものこそ生き残る」と言いました。ビジネスの世界でも同じです。「変化」しないと生き残れない。個人のレベルでもそれは同じ。
そのために必要なのが「キャッチアップ力」なんです。
キャッチアップ力に必要な2つの観点
では、どうすればキャッチアップ力を磨き、身につけることができるのか。
スキルの構成要素である知識と技能の観点からひもといてみようと思います。
知識をすばやく吸収する方法
まずは知識について。知識を頭に入れないことにはなにも始まりません。英語をしゃべるためにはそもそも単語を覚える必要があります。プログラミングを身につけるには書き方や予約語などが頭に入っている必要があります。
知識をすばやく吸収するためには、質のよいインプットを大量に流しこむこと、そして圧倒的な回数の反復に尽きます。
インプットの質と量は是非に及ばずですよね。スキルに関連する知識を正しくわかりやすく体系的に解説しているような質の良いインプット。それを肉付けする大量の関連情報。知識を体系的に理解するには絶対に必要です。
圧倒的な回数の反復については、小学校での漢字の書き取りを思い出してもらえればよいと思います。読む、書く、話す、聞く、5感のすべてを使って何度も繰り返すことで頭に知識を定着させていました。それと同じことをすればいいんです。
技能をすばやく身につける方法
次に技能について。知っていることとできることは全く違う。知識があったとて、それを実践できなければ意味がありません。
技能をすばやく身につけさせるのは良質な経験と高速なPDCAです。良質な経験を積むためのポイントは以下の過去記事でも触れています。
ライティングは筋トレ?筋トレに学ぶ上質なライティング経験のための5つの要点 - NaeNote
勝ち組の戦略 - 短時間で濃密な経験を積むべく「極端な道」をあえて選ぶ - NaeNote
簡単にまとめると
- 冒頭で触れた「量は質に転化する」「型を守った素振り」は両方やれ
- 少し難易度の高い、ストレッチした課題にあえてチャレンジしろ
- 自己レビューやふりかえりは欠かすな。そこに自分だけの学びがある
ということ。あとはこれをいかに短時間でやるかだけです。近道はありません。正道を進まずに身につけた小手先の技能は虚構でしかないのです。
キャッチアップ力をつけたいならコンサル業界においでよ
さて、ぼくの働いているコンサルティング業界では担当するプロジェクトが変わるごとに「キャッチアップ」が発生します。そのためすばやいキャッチアップがコンサルタントの必須要件と言っても過言ではありません。
特に戦略系のコンサルティング案件の場合、プロジェクトの期間が短いぶんキャッチアップにかけられる時間も限られています。過去の経験で最も短かったのは2週間という超短期プロジェクト。キャッチアップのために与えられたのは半日のみ、なんてこともありました。
さて、プロジェクトの変化はコンサルタントの経験する変化の1つでしかありません。
人、プロジェクト、クライアント、市場、自社組織、キャリアステージ。
以上の6つの次元において常に変化が起き続けている。これがコンサルティングの世界だ。ああ、なんとも楽しい世界ではないか。
外資コンサルというキャリアで得られた一番の強みは「変化に即応するスキル」だった - NaeNote
いつも、いつでも、常にキャッチアップしながら学んでいます。貪欲さ、好奇心、知識欲、ゼロベース思考、とっさの判断、スピード、さまざまな観点で成長できる職場です。
これからの時代に重要なキャッチアップ力を身につけたければ、ぜひコンサルティング業界の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。
そのぶんキツいこともあるし求められるレベルも高いんですけどね・・・
まとめ:考えるのをやめないこと
というわけで、スキルを身につけるスキル「キャッチアップ力」について一筆したためてみました。
学びをやめ、スキルを固定するのは楽ちんです。でもそれでは危なっかしいのが変化の激しい今の時代。
考えるのをやめず、学びをやめない。キャッチアップする力をつけ、変化に即応できるようにすること。ぜひ目指してみませんか。
これまでになく変化激しい時代だからさ、スキルの数や種類を増やすことよりも「スキルを素早く身につけるスキル」を身につけた方がはるかに有用だしリスクヘッジになると思うんですけどね。
— なえ(低速運転中) (@__NAE__) 2016年9月26日
今回は以上です。