終戦から71年経過しましたが、いまだに解決していないのが、不法占拠されたままとなっている北方領土の問題です。ことしは、平和条約締結後に歯舞群島、色丹島の引渡しを決めた1956年の「日ソ共同宣言」からちょうど60年の節目になりますが、まだ平和条約も、北方4島の返還も実現していません。そうした中、9月に行われた日露首脳会談で、12月にプーチン大統領の来日が決まり、領土交渉の進展が期待されています。

 あらためて、北方領土とはどんな場所なのか、どのような自然や産業があったのか。どのような生活を送っていたのか。そして、4島をめぐる今の人々の思いなどを、紹介していきます。

 第1回は、北方領土の大きさや面積など地理的なデータです。

総面積は県サイズ では日本で最も大きい島は……

本州関東地方の上に北方領土を重ねるとその大きさは一目瞭然

 北方領土とは、北海道本島の北東洋上に連なる「歯舞(はぼまい)群島」「色丹(しこたん)島」「国後(くなしり)島」「択捉(えとろふ)島」の島々を指します。地質学的には、歯舞群島と色丹島は、北海道本島の東南部にある根室半島の延長になります。一方、国後・択捉両島は、千島列島とともに、ユーラシア大陸北東部のカムチャッカ半島に至る約1200キロの弓上に連なる火山列島に位置します。

 では、北方領土の大きさはどのくらいあるのでしょう。最も小さい歯舞群島は95平方キロメートル、北方4島の総面積の中では1.9%分ですが、小笠原諸島(104平方キロメートル)と同程度の広さがあります。2番目に小さな色丹島は、北方4島のうち5.0%分にあたる249平方キロメートルです。こちらは徳之島(248平方キロメートル)と同じくらいになります。

 国後島は全長122キロあり、面積は1489平方キロメートルにのぼります。沖縄本島(1207平方キロメートル)より広く、本土(北海道本島・本州・四国・九州)を除くと、日本で2番目に大きい島になります。北方4島総面積の29.8%を占めます。

 それでは、日本で最も大きい島はどこなのでしょうか?

 実は、日本最大の島(本土を除く)は択捉島です。その全長は204キロ、広さ3167平方キロメートルあり、これは鳥取県(3507平方キロメートル)の広さに近く、北方4島の中では63.3%分になります。

 その北方4島合わせた総面積は、5003平方キロメートルです。これは47都道府県の面積で比べた場合、どのくらいの広さになるのでしょう。ちょうど、全国28番目の面積である千葉県(5158平方キロメートル)と、29番目の福岡県(4986平方キロメートル)の間に相当する大きさとなります。