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校長、町議に「いじめ」情報漏らす

 福岡県苅田町の町立小学校の女子児童(9)の父親が今年3月、同級生らからの「いじめ」を放置したなどとして、学校側を相手取って提訴する意向を学校に示した際、校長から相談を受けた町議が提訴しないよう父親に求めていたことが分かった。その際、校長は町議側に児童の個人情報を漏らしており、町の個人情報保護条例に違反している可能性がある。識者は「いじめ問題のような大事な情報を第三者に漏らすことがあってはならない」と指摘する。

 児童は現在、小学4年生。父親によると、3年生のころ同級生らに持ち物を隠されたり、仲間外れにされたりしていた。父親は学校側と何度か話し合いを持ったが平行線をたどり、3月、校長に「法的措置や転校を考えている」と伝えた。

 これに対し、校長は、以前に赴任した小学校でPTA会長を務めた町議に児童の氏名やトラブルの概要などの個人情報を明かして相談。町議は3月下旬、父親と面識があった別の町議の事務所で父親と面会し「丸く収めてほしい」などと提訴や転校を思いとどまるよう説得したという。結局、児童は4月中旬に転校し、父親は学校側を提訴する準備を進めている。

 校長は取材に「法的措置を取れば、双方の子どもの心を傷つけることになる。どうにかならないかと思い、町議に相談した」と説明。個人情報漏えいについては「コミュニティーの中で解決できればと思ったが、公私混同があったかもしれない」と述べた。

 父親は「町議を通じて圧力をかければ、こちらが引くと思ったのだろう」と話したが、校長は「圧力のつもりはなかった。子どもを守ろうと思っただけだ」と釈明。町議も取材に「町民相談の一環としてやった」と父親を説得したことを認めた一方で「圧力をかけたとは思っていない」としている。

 苅田町の個人情報保護条例は「職員は、職務上知り得た個人情報をみだりに他人に知らせ、または不当な目的に使用してはならない」と規定。父親の弁護士は「児童や両親にとって極めて機微に関わる情報であり、安易に関係のない第三者に口外することは極めて大きな問題だ」と批判している。

 教育問題に詳しい武庫川女子大大学院の小林剛名誉教授(臨床教育学)は「本来、児童・生徒の個人情報は校内で慎重に取り扱うべきもの。まして今回のようにいじめが疑われるケースでは、より慎重であるべきで、校外に出すようなことは決してあってはならない」と指摘した。【木村敦彦】

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