2016-09-21

ゴリラドライブ

ゴリラドライブしたら楽しいだろうな。

行くなら海岸沿いの景色の綺麗な道がいいだろうな。

海なんかほとんど見たことないからウホウホ無邪気に喜ぶんだろうな。

で、一緒にバナナなんか食べたりして。

いつもより美味しいねなんて言ったりして。

だけど、そのあとバナナの皮をポイポイと投げ捨てたのはいけなかった。

びっくりしたんだろうね。後ろの車が「車からバナナを投げてるゴリラがいます」って警察通報しちゃって。

警察もびっくりしたのか、たくさんのパトカーでやってきて俺たちを取り囲んで、「手を上げて今すぐ車から出てきなさい」って。銃まで取り出して言うんだ。

仕方がないから車から降りるんだけど、警察は俺に向かって「危ないからそこから離れなさい」って言うんだ。きっとゴリラを撃つつもりなんだろう。

から俺は、「ここでおとなしく撃たれるよりは、いっそ逃げよう」ってゴリラに言ったんだ。

そしたらゴリラは俺を片手で持ち上げると、警察の包囲の外側へ思いっきり投げ飛ばしたんだ。

銃声と咆哮を後ろに聞きながら、俺はどうすることもできなくて必死に走って逃げた。

それっきり、ゴリラ消息は分からなくなってしまったんだ。

俺は、「あいつは無事に逃げられたのだろうか」なんて思いながら元の生活に戻ったんだけど、ある日、新聞を見たらこう書いてあるんだ。「ゴリラ捕まる、処刑今日

街の広場に着くと、もうだいぶ群衆が詰め掛けていて、真ん中には断頭台とゴリラがいるんだ。

俺は人混みをかき分けて近づこうとするんだけど、それに気づいたゴリラは驚いた顔をして目で合図をするんだ。

「俺のことはいいから、早くここから立ち去れ」って。

そこで俺はこう思うんだ。ゴリラが俺にしたように、俺も自分の命を投げ打ってゴリラを助けないといけない。絶対に助けないといけないって。

だけど、今の自分にそれが出来るかというと・・・・・。

から、俺はゴリラドライブには行かない。

きっと楽しいけど、行ったらいけないんだ。

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