地震大国の日本では、記憶に新しいもので1995年に阪神・淡路大震災、そして2011年に東日本大震災といった大きな地震が起きています。
つい先月にも、熊本県熊本地方を震源とした震度7の大地震が発生しました。
大きな地震が起きると、「地震保険に入っておこうかな」と思う方もおられるのではないでしょうか。
損害保険料率算出機構の「地震保険 都道府県別付帯率の推移(平成26年度)(参考 世帯加入率)」によると、地震保険の世帯加入率は、2014年度において28.8%と、大震災を経てもまだ3割に満たない状況です。
では、地震保険を検討するにあたり、何から始めたら良いのでしょう。
地震保険を検討する前に知っておくと役立つポイントがいくつかあります。
まず、地震保険はどこの損害保険会社で加入しても、補償内容も保険料も同じということです。
一般的な損害保険や生命保険であれば、補償(保障)内容と保険料を各保険会社で比較して、「補償(保障)内容が自分に最も合っている商品」、あるいは「保険料がお手頃な商品」を選ぶことがあると思います。
しかし、地震保険においては、「地震保険に関する法律」に基づき、各保険会社が政府と共同で保険事業を行っているため、どこの損害保険会社で加入しても補償内容と保険料は同じになっています。
これにより、大規模な災害においても、保険金を安定して支給することが可能になっています。
地震保険の基準料率は、損害保険料率算出機構が都道府県ごとに、地震発生リスクの度合いから予想される地震が発生した場合の支払保険金と、保険業務に掛かる費用(事務処理等の社費や代理店への手数料)をもとに算出しています。
定期的に見直しが行われ、2014年7月の料率改定の際、全国平均で15.5%上がっており、今後も上がる方針とされています。
つまり、保険料率は保険期間中であっても変更されることがあり、毎年保険料が見直されますので、早めに入ればお得ということはありません。
また地震保険は、基本的に火災保険とセットでなければ入ることができません。
そのため、地震保険に加入する場合は、既に火災保険に加入しているのであればその損害保険会社で加入し、まだ火災保険に加入していないのであれば、火災保険のサービス内容をみて損害保険会社を選ぶことが一般的になります。
次に、地震保険の対象は建物と家財で、契約金額は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内(建物:5,000万円 家財:1,000万円が上限)であることには注意が必要です。
そもそも地震保険は、震災時の当面の生活の安定に寄与することを目的としていますので、建物を建て直すほどの保険金額は設定できません。
もし、震災時に建て直しまでを希望されるのであれば、不足する費用は貯蓄で準備するか、震災時の融資・支援制度の利用を考えておく必要があります。
さらに、地震保険は震災時であっても補償ができないものがあることもポイントです。
例えば、崩れた自宅に車が押しつぶされてしまった場合、車は地震保険では対象外になります。
もし、車の補償も震災時に備えたいのであれば、自動車保険に特約を付けることで補償することができます。
この他、30万円を超える貴金属や宝石なども対象外になります。
なお、地震発生日の翌日から起算して10日を経過した後に発生した損害や盗難・紛失も対象外になりますので、被災時には、損害の状況を写真などで証拠として残し、貴重品は持ち歩くなどして気を付けましょう。
最後に、地震保険は、建物の免震・耐震性能に応じた保険料の割引制度があったり、年間の支払保険料の合計額のうち最大5万円までが地震保険料控除の対象として住民税・所得税の負担が軽減されたりと、保険料による負担を抑えることが可能です。
以上のポイントを踏まえながら、その他の保険契約の見直しや家計のコストダウンも考慮に入れて、地震保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。
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■「保険市場」で現在取り扱い中の地震保険の一覧はこちら!
https://www.hokende.com/damage-insurance/fire/earthquake
執筆者プロフィール
松原 季恵(まつばら きえ)(マイアドバイザー.jp®登録)
CFP®、DCプランナー2級
銀行、損害保険会社での勤務経験から、多くのお客様の相談に乗ってきました。
現在はファイナンシャルプランナーとして、ライフプランを軸に「お金で楽しい毎日を」を心がけて情報発信しています。
※この記事は、「金融・保険メールマガジン【保険道場】」で、2016年5月27日に配信されたものです。
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。