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核実験の可能性 人工地震波を観測

米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮分析サイト「38ノース」が公開した核実験場の衛星写真。写真中部に複数の鉱山用とみられる車両が確認される=エアバス・ディフェンス・アンド・スペース/38ノース提供

 【北京・西岡省二、ソウル大貫智子、ワシントン会川晴之】韓国軍合同参謀本部は9日、同日午前9時半(日本時間同)ごろ、北朝鮮北東部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)吉州(キルジュ)郡豊渓里(プンゲリ)付近で人工地震波を観測したと発表した。地震の規模を示すマグニチュード(M)は5と推定されるという。9日は北朝鮮の建国記念日で、韓国政府はこれに合わせて北朝鮮が核実験を実施した可能性が高いとみて分析を急いでいる。

 国防省によると、爆発の規模はトリニトロトルエン(TNT)火薬換算で約10キロトンと推定され、過去4回の核実験と比べて最も大きいと見ている。聯合ニュースによると、地震波が観測されたのは、今年1月に北朝鮮が初の水爆実験を実施したと主張した地域と同じだという。

 日本の気象庁も自然地震でない可能性があるとしている。同庁によると、地震の発生時刻は9日午前9時29分57秒、震源は北緯41.3度、東経129.2度、震源の深さは0キロ、M5.3と推定される。

 韓国青瓦台(大統領府)は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が外遊中のため、黄教安(ファン・ギョアン)首相をトップに国家安全保障会議を開いた。韓国軍は、危機管理チームを招集。国防省や外務省もそれぞれ緊急会議を開き、対応を協議している。

 国連安全保障理事会は6日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難する報道声明を発表。8日にラオスの首都ビエンチャンで開催された東アジアサミットなど各国は一連の会議でも北朝鮮の行動を非難した。これに北朝鮮は反発し「核戦力強化の成果を拡大する」(7日、外務省報道官)などと、核実験の可能性に言及してきた。

 北朝鮮は7月10日の段階で、国連代表部を通じて米政府に通報文を送り、米朝間の唯一の公式接触方法であるニューヨーク・チャンネル(国連代表部を通じた連絡ルート)を完全遮断すると通告し、緊張を高めてきた。並行して核実験場付近での動きを活発化させていた。

 今月2日付朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は論評で、韓国で実施された定例の米韓合同演習「乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン」を「極悪非道な核戦争演習だ」と指摘し「祖国と人民、わが革命を保衛して地域の安全を守護する」として、核兵器を強化する必要性を強調してきた。

 米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮専門サイト「38ノース」は8日、8月27日撮影の商業衛星写真に基づく分析を発表。豊渓里の地下核実験場の北側坑道で、衛星からの監視を遮るためにテントを張る動きが見られるほか、西側坑道付近でも土砂置き場の量が増大していると指摘していた。

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