■2章:遍路2周目■映画のような話は実際起こる
2.本当の2周目の始まりは、ただ新たな苦悩の始まりだった

DAY51-2

沢村さんの軽トラで慈眼寺への上り坂に入り、内心、今日は沢村さんと来てよかったと思った。
ここも長い長い半端ない激坂に驚き、沢村さんのお蔭で、あっという間に別格3番の慈眼寺を打てたからだ。
ただ自転車に全く乗らないのも嫌だったので、ダウンヒルは自転車で行くと言い、自転車で下った。
麓でまた沢村さんの軽トラに乗った。

沢村さん「Noisy。次は、どうするん?Noisy自転車に乗りたいんなら鶴林寺は自転車で行くん?」
私「う~ん。自転車で自力で全走破と決めてたのは1周目だけど、2周目は、それにこだわってるわけじゃないのよ。ただ自転車で走りたいのは走りたいんだけど。」
沢村さん「ほんなら、鶴林寺は、自分で行くんやったら、荷物をもっとってあげるきん。」
私「う~ん・・・。鶴林寺か・・・。」

私は、あの真夏に死ぬ思いで荷物の重さに耐えながら激坂と闘った鶴林寺への道のりを思い返していた。

私「いや。沢村さん。今日は、沢村さんがせっかくいるなら、鶴林寺は軽トラで行こう。」
沢村さん「Noisyは、よっぽどここがきつかったんやね。ええよ。」

そう言って、鶴林寺へと軽トラで向かった。
まあ、この手が使えるのも沢村さんがいる今日だけだけど、上っている最中、ここは本当にきつかったなと思い返していた。今日、沢村さんがいてくれる間に、この機会を有効活用しておこうと思った。
鶴林寺を打った後、太龍寺へと向かう。

私「沢村さん、自転車を輪行してロープウェイで上まで行って、自転車で下って来るよ。」
沢村さん「え?Noisy、あそこは車でも行けるよ?ロープウェイ乗るん?」
私「え?車で行けるの?じゃあ、わざわざロープウェイに乗らなくてもいいじゃん!」

軽トラで太龍寺への激坂を上って行った。
1周目の遍路道で見たことないほどの傾斜に驚いていた。
1周目の時にロープウェイで行ったのは、本当に正解だったのだ。
もし、ここを自転車で上がっていたら、鶴林寺の比ではない程の傾斜だから、鶴林寺で死んだ後に太龍寺でもう死にようがない・・・。いや、むしろ死んだ後の世界が見えて悟りの境地に達していたかもしれないけど。
自転車遍路にとっては、四国88ヶ所中ここの傾斜が一番きつくて、きつい部分が長い道のりだろう。
軽トラで上がっても恐ろしいほどだった。
横にはガードレールもなく、そのまま崖になっていて、軽トラがようやく通れる道幅だ。
向かいから車が来たら離合(※すれ違い)も難しい。
上の駐車場から1キロ程、沢村さんと一緒に歩いて上った。
もはや沢村さんの話には、相槌を打っていないので、上りも更に楽だった。

太龍寺を打って、軽トラで下へくだる。
なんと、車で下るのも恐ろしいではないか!
少しでも間違えば、谷底へ真っ逆さまだ!
沢村ラジオが言っている。

沢村ラジオ「もう、ここはねえ、冬に来た時にびくびくして道も雪があって怖かったわー。車が事故って落ちとったんやきん。うわー思って。滑って僕も落ちるんやなかろか思って。その車を引き揚げるのにしばらくここは通行止めになっとったんですよ。なんちゃらかんちゃら。」

太龍寺麓まで降りてきた。

沢村さん「明日は、どこ行くん?」
私「明日は、別格の1番太山寺と、88ヶ所の1番から順に行こうかと思うよ。」
沢村さん「そしたら今晩寝るのにいいとこがあるんですよ。江川湧水源にトイレと東屋が一体になったのがあるきん。」
私「ってか、沢村さん明日用事があるって言ってたじゃん。それはどうなの?」
沢村さん「あ、それは明日やきん、まだ今日はいいんですよ。そこやったら、僕の用事も明日できるし。」
私「そう。じゃあ、丁度いいなら、そこへ行こう!そこからなら、この辺からより太山寺にも近いし。」

もはや沢村さんは、私のタクシーか何かのようだった。
沢村タクシーに乗って、江川湧水源へ向かう。
公衆トイレと幅広の東屋が一体化と言うよりも、わざわざお遍路さんがテントを張るか、ごろ寝ができる座の上がったスペースまであった。
なんとも四国は、旅人に優しい建物があちらこちらにある。
沢村さんは、テントを早速張ってくれた。
当然、沢村ラジオもなりやまない。

私「沢村さん、今日は一日連れて行ってくれたし、晩御飯をおごるよ。居酒屋に行こうと思うんだけど。」
沢村さん「Noisy、そんな気を使わんでええよ。」
私「それもあるけど、久しぶりに居酒屋気分なんだよね。」
沢村さん「悪いきん、ええよ。連れて行ってあげるきん。」
私「じゃあ、わかった。私が行きたいから、沢村さんも付き合え!」

私は、沢村さんとは最後の夜だと思ったので、一緒に行きたかった。
沢村さんはお酒を飲まないので、居酒屋で沢村さんもご飯を食べ、ずっと沢村ラジオを聞きながら、私はビールを飲んで、時々沢村ラジオに話しかけた。

沢村さん「明日、別格1番の太山寺まで上げてあげるよ。その後、1番の霊山寺まで連れて行ってあげるきん。」

え?いつまでこの人は付いて来るの?と思った。

私「沢村さん!あんた明日、用事があるって言ってたじゃん!」
沢村さん「明日、あるんやけど、朝一に行かんでいいんですよ。まだ時間があるきん。それまでだったら。」
私「え?そうなの?ってか、本当に?」
沢村さん「ほんまやきん!1番の霊山寺へ連れて行くまでしか、僕もできんので。」
私「なるほど。それじゃあ、霊山寺へ行った後は、沢村さんは用事があるって事ね?」
沢村さん「ははは。僕もその後まで言われたら、困るんでね。」
私「わかった。そう言うことなら、そうしてもらうよ!」

江川湧水源に戻って、テントに入った。
いつものように電話がなる。

ゴンちゃん「今日は、何処におるんや?」
私「江川湧水源だよ。」
ゴンちゃん「沢村さんもおるんやろ?」
私「うん。明日には沢村さん用事があるらしいから別れるけどね。」

高ちゃんにも電話を変わる。

高ちゃん「沢村さん、まだおるんやな。嫌やったら嫌って言わないかんよ!」
私「うん。わかってるよ。ありがとう。」

ゴンちゃんが電話に出る。

ゴンちゃん「とにかくなあ、高知市内から、こっちへ一旦上がって来るんやで!」

もう聞き飽きたセリフをまた聞いて電話は切れた。
私はテントに入り、沢村さんは、いつものように軽トラに戻って寝る。

夜中に外で物音がしていた気がするけど、疲れていたので放っておいた。

DAY52

朝、江川湧水源で沢村さんのテントの中で目が覚めて、外へ出てみると沢村さんがいなかった。
軽トラもない。

あれ?どこへ行ったのか?
自分のテントと引き換えに、新手の泥棒か?

泥棒

つづく・・・

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