エントリーを読みまして。
モノ作りの世界はかくも厳しい世界だ。
これで確実に上手く行く! と思った方法が全然ダメだったりする事が良くある。
そんな中、カラープリンタと100円カッターで等身大パネル作成に挑んだハル(id:haruka1229m)さんのエントリーを読んで感動した。
「作りたい物を作る」ってモノ作りでは大切な事だ。
カラープリンタから出力した紙を切って貼って切って貼って、それはそれは大変な作業である事は想像に難くない。
通常の等身大パネルはオフセット印刷した用紙をスチレン等に合紙(ごうし)するのが一般的だけどそれを手作業でやるのは大変な事だ。
最終的に、ハルさんの等身大パネルは無事に完成する。
その情熱と努力は本当に凄い。
ハルさんがパネルを作ったのならば、等身大パネルには付き物の紙足を作って陰ながら応援したい。
紙足が着く事で等身大パネルは自立し、どこにでも設置する事が可能となる。
等身大パネル用紙足の仕様を決定する
何事も目的地を決めなければ、話は進まない。
先に今回作成する紙足及び、等身大パネルの仕様を確認しておきたい。
七瀬遙さん(175cm)爆誕
この時の製作ステップを参考に今回も作りました。
今回作ることになったきっかけはShining Dream Festaでした。
ハルさんが今回作成する等身大パネル(七瀬さん)の高さは175cm、つまり1750mmである。
この手の制作物の仕様を決定する際にはmm(ミリメートル)で表すのが一般的だ。
横幅は明記されていないが、「Free!」は水泳男子のアニメだ。
従って筋肉質な体つきを想定して、600mmとやや広めの肩幅に設定した。
以下がパネルと今回作成する紙足の仕様となる。
左側が等身大パネル、右側が紙足だ。
等身大パネルは通常、納品される際は二つ折りにする場合が多い。
ヤフオク等を行っている人は想像できるかもしれないが、1750×600の物を宅急便で送ると恐ろしい金額になる。
そこで、運賃を下げる為にも二つ折りにしてコンパクトにしたい。
ちなみに作ったものの思ったより大きくて置くところがなくて困っております。
製作は計画的に...
上記の言葉にもある通り、等身大パネルは文字通り、人一人分のスペースが必要なので大量生産し、大所帯になると男子寮の様になる。
好きなキャラクターに囲まれて暮らしたい気持ちはもっともだが、どちらかと言うと包囲されている、と言った方が近い状態は良くないと思う。
後ほどふれるので、是非ハルさんが次を作る際は真ん中に折り筋を追加し、畳める仕様にしていただけると、直ぐに展開可能&場所も取らない&綺麗に保存可能だ。
なお、紙足の材質も色々な物があるが今回は調達が容易で加工もしやすいAF(エーフルート)のダンボールを使用する。
(みかん箱などで使われる「あの」ダンボールだ)
紙足を作成する場合の注意点
紙足を作成するにあたっていくつかの注意点がある。
別に無視しても問題無いが、留意して作成にあたる事で等身大パネルの仕上がりが美しく、しかも長持ちする。
モノ作りにおいて、妥協は避けねばならない。
やむを得ず、当初の予定よりスケールダウンする事はあるが今回の場合は、自分との戦いになる。
妥協せず、自分が満足できる物を作成したい。
①垂直では倒れやすいので少し寝かせる(5~10度くらい)
※垂直ではわずかな風や接触で前倒れします
②両面テープを貼る場所を確保する(150mmくらい)
③折り筋は紙足の中央に
※偏ると綺麗に梱包できません
④中央の折り筋とパネルの折り筋は少し(100mmくらいを目安)逃がす
※距離が短いとパネルを畳む際に紙足が干渉します
⑤ストッパーをつけると倒れ難い
※今回は等身大パネルの背が高いので2箇所くらいあると良い
⑥紙足の上下に「アタリ」を着けると、貼る際にズレが少なくなる
⑦紙足の大きさとパネルの大きさが違うと、パネル上部に「反り」が発生する。
※パネルの上部が頭の形に切り取られているので少し低めに設定した
側面図の作成
仕様が固まったら、側面図の作成に進みたい。
何もない所から作るは大変なので等身大パネルを真横から見た「側面図」を作成し、そこから実制作に移るのだ。
1750mmがパネルの寸法、上下の775mmが紙足パネルの寸法となる。
ここで先の①や②に留意しならが紙足の寸法を決定していく。
例えば今回はパネルの横幅が600mm、紙足も同様に横幅は600mmの仕様だ。
②で、紙足の中央部分は両面テープを貼る箇所を150mm取っている為、残りは左右に225mmづつとなる。
この225mmより、横幅を大きく作ると等身大パネルから紙足が飛び出してせっかく畳むことで小さくなった梱包サイズが大きくなってしまうので注意したい。
この側面図の段階で注意点①~⑦の注意点を、仕様と照らし合わせておく。
確認がが甘いと実制作に移った段階で、問題点が大量に発生しリトライする事になる。
何事も事前の準備が大切なのである。
側面図を元に設計していく
当初の仕様通りと矛盾が無い側面図が出来ればいよいよ設計の段階となる。
ここで、先ほど作成した側面図を図面に落とし込んでいく。
紙足の背の高さと奥行きは既に決定している
その為、紙足の上部に適度な距離を持たせ下部と線を結んだ所が上の画像だ。
更にその部分を反転移動させ、注意点②に従って150mmの距離を開けておく。
最後に左右同士の線をつなぎ合わせ、紙足の上部に丸みをつければ図面の完成となる。
実際に切ってみる
図面が完成したら、実際にカットを行いたい。
カットが終わった状態。
二つ折りにして、コンパクトに保管&輸送が可能です。
組立て、展開した状態。
本当はここに等身大パネルが貼られています。
(実際に作ると大きいので模型して1/2サイズで作りました)
図面が正確に出来ていれば、あとはパネルに貼りつければOKだ。
ハルさんの記事で比較的スムーズに制作が進行していたが、完成するまでに何度もトライ&エラーがあった事だと思う。
写真を見ると細かい部分までしっかりと型抜きもしてあるので制作の苦労が忍ばれる。
カッターで切っていると「あ?」はセーフな時もあるけど「あ!」は致命傷になる場合があるので注意したい。
どんなきっかけでも「モノ作り」に興味を持つのは良い事だと思う。
今回はハルさんの記事を読んで感動した事と、普段TSUTAYA等にある等身大パネル制作の裏側を紹介した。
ハルさんがデザイン~印刷パネルの作成、今回の記事で仕様の決定~紙足の作成(本当はこのあと、貼り合わせをして梱包→出荷する)の流れは実際の制作現場でも同様である。
目に触れ難い、地味な部分ではあるが色々な人の手を経て世の中に等身大パネルは出て行くのだ。
機会があれば、TSUTAYAに行った際は等身大パネルの裏側も見てみて下さい。
たかが等身大パネルでも色んな知恵が詰まっているんです。
それでは、また。