晴れた!昨日の天気予報では70%の降水確率だった。今日は神保町でサイン会がある。『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんのサイン会だ。雨なら家でゴロゴロ。晴れたら行こう、と思っていた。ヤフオクで買ったリュックサック、ノースフェイスのビッグショット2を背負って出かける。
ネコ師匠の記事を見て思わず買った逸品。
一泊二日のキャンプでも使える位の大きさなのだが、背中にぴったりフィットして疲れにくい。神保町はヤバイ町なのででかいリュックサックの方がよいのだ。電車内で『コンビニ人間』を再読して何度も笑ってしまった。神保町に着くと、携帯の地図アプリを見ながら慎重に歩いた。方向音痴なのだ。
10時45分に会場であるセブンイレブンに到着。まだ誰も並んでいない。神保町を散歩するか?いやいや、まずい。でももう40過ぎの不惑の年だし、昔と同じ過ちは繰り返さないだろうと、てくてく古書街を歩いた。やはりダメだった。古書街のいたるところから本たちの誘惑が始まる。だから嫌なのだ。
学生時代から35歳くらいまでジャンルを問わず本を乱読してきた。本の収集癖がある。こんな時にはビッグショット2が大活躍だ。
結局、1時間で6冊の文庫本を購入してしまった。絶版本ばかりだから仕方ないと自分で自分を慰める。『宇宙船とカヌー』と『エレンディラ』が買えたのは素直に嬉しい。前から欲しかったけどAmazonマーケットプライスより安く買えた。長居するとリュックサック一杯まで買いそうなので戻る。
会場のセブンイレブンには20人は座れるイートインがありそこで昼食を摂ることにした。カツサンドと伊藤園の野菜ジュースを買う。レジ係の方にサイン会の並び場所を聞いた。本を購入した人には整理券が配られる仕組みだそうだ。早速2冊目の『コンビニ人間』を買う。整理券番号は37番だった。
暇なので店内にiPhoneでこの記事を書いている。12時過ぎくらいにコンビニが混み始める。いつの間にか店内入口にスーツ姿の男たち。1人すらりとした女性が談笑している。もしかして、村田さんと出版社の人たちかな? おかげさまで大評判で、という会話が聞こえてくる。僕は暇なので本を読む。
13時。会場作りをするとのことでイートインを封鎖される。仕方なく2階のデニーズでシーザーサラダとオレンジジュースを注文する。なんとなくポー詩集を読み始める。店内に流れる音楽はなぜかバッハの無伴奏チェロ組曲。あまりの意識高い系な自分の行動に背中がむずむずして堪らない。ぐわぁ!
デニーズのエアコンが効き過ぎている。僕は寒さに震えながらトイレを我慢している。男子トイレがなかなか開かない。寒い寒い。早く用を足して会計を済ませサインをもらって日向の匂いのする布団で昼寝をしたい。オレンジジュースの残りを飲み干す。トイレが空いた。急いで駆け込み用をたす。ふう。
寒くて薄暗いデニーズを出るとセブンイレブン店内には沢山の報道陣とお客さん。14時ぴったりにサイン会が始まる。番号札一番の、綺麗なお姉さん、すごいフラッシュ写真撮られてる。インタビューに答えたりしてるし。ん?インタビューとかあるの?そんなのまともに答えられないよ?シドロモドロになってしまう。やばい。どうしよう。
番号順に店内に呼ばれる。中はクーラーが効いているはずなのだが熱気で暑い。汗が吹き出る。コンビニの通路すべてに人が立っている感じだ。月並みだがディズニーランド並み。それよりインタビューどうしよう、やばいやばい!と慌てて、小説を読み返して印象に残ったシーンなんかを慌てて探す。
気づくと前の女性が村田沙耶香さんと談笑しサインをもらい終わっていた。僕の番が来たー!どうしよう、なんて言えばいいのか?
僕は笑顔を見せて村田さんの前に立ち、爽やかに「こんにちは!」と言った。村田さんは優しい女神のような笑顔で「購入ありがとうございます」と言う。しばらく目線が合ったが頭の中が真っ白で突っ立っていると、サラサラとマジックペンでサインを書き始めた。なんか一言交わしたい。話題の作家さんと会える機会なんてないんだから。
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僕のレビューはこちら
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「とっても面白かったですっ!」
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お前は小学生か!脳内で自分に突っ込む。村田さんは笑顔で
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「ありがとうございます」と言ってくれた。
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まあこんなもんでしょう。もともと僕はあがり症で今でもプレゼンとかガチガチに緊張するし、沢山の報道陣のカメラが回ってるなかで気の利いたセリフを言えるなんてことはないのだ。村田さんの隣にいる眼鏡の女性が判子をポンと押してくれた。小説中で描かれるビッグアメリカンドッグを貰った。
【学んだことまとめ】
1.芥川賞受賞作のサイン会は、報道陣も多く場合によってはインタビューに答えたりするのできちんとした格好で行くこと。
2.小説でどこが面白かったかなどを作家さんに伝えるとよいので考えていくといいこと。
3.神保町(神田)周辺で行われることが多いので古本好きな人は買いすぎないように注意するか、大きなリュックサックを持って行くこと。
こんなしょーもないことを僕は学んできた。(1850字)