再配達による二酸化炭素削減 宅配ロッカーの新システム開発へ

再配達による二酸化炭素削減 宅配ロッカーの新システム開発へ
宅配便の再配達で車から出ると試算されている、年間およそ42万トンの二酸化炭素を削減し、地球温暖化対策を進めようと、環境省は駅などにある「宅配ロッカー」を普及させるための新たなシステムの開発に乗り出すことを決めました。
宅配便の再配達はネット通販の普及に加え、不在がちな1人暮らしや共働き世帯の増加に伴って増えています。
国土交通省などによりますと、営業所から届け先に向けて配達用の車が再配達のために走った距離は、年間およそ5.2億キロに上ると試算されていて、この結果、環境省は年間およそ42万トンの二酸化炭素が再配達で排出されているとしています。
この再配達を減らし、二酸化炭素の削減につなげようと、環境省は駅などへの設置が始まっている「宅配ロッカー」を普及させるための新たなシステムの開発に乗り出すことを決めました。
新しいシステムでは、これまで宅配会社がそれぞれ設置していたロッカーを統一して管理し、一つのロッカーでどの会社の荷物でも受け取れるようにするということです。
地球温暖化対策をめぐって、政府は2030年に、2013年に比べて宅配便を含む運輸部門で温室効果ガスの排出を30%近く削減する目標を掲げています。
環境省は国土交通省と共同で、来年度からの5年間、システムの開発やロッカーの普及に取り組む方針で、来年度予算案の概算要求に関連予算を盛り込むことにしています。

再配達の割合が増加

NHKが23日、千葉市内で大手宅配会社のトラックに同行取材したところ、受け取り主が不在だったケースが相次ぎました。
この会社によりますと、マンションに設置されている宅配ボックスに空きがないことも多く、再配達の割合が増えているといいます。
この会社では、毎日午前8時から午後9時までの時間帯に宅配を行っていますが、共働きや1人暮らし世帯の増加、それに出勤や帰宅時間の多様化などで不在のケースが増えていると見ています。
配達に当たった担当者は「不在が多くなっていますが、私たちもできるだけ早く届けたいと思っています」と話していました。
環境省はこの再配達でトラックから排出される二酸化炭素の量を、年間42万トンになると推計しています。これは1年間に一般家庭12万世帯が排出する量にあたり、すべて吸収するにはJR山手線の内側のおよそ2.5倍の面積の杉林が必要になるということで、環境省は再配達を減らす取り組みを進めることが重要だとしています。

宅配ロッカー設置の課題

国土交通省によりますと、平成25年度に宅配便で運ばれた荷物は、およそ36億個に上り、このうち再配達が占める割合は、およそ20%と高くなっています。
再配達を減らそうと宅配会社は、去年から東京都内を中心に「宅配ロッカー」の設置を進めていて、日本郵便は駅や郵便局など36か所に、ヤマト運輸も駅や営業所など19か所に「宅配ロッカー」を設置しました。
このうち、地下鉄の小竹向原駅の宅配ロッカーを利用している女性は「平日は仕事で夜遅くなることが多いので、なかなか荷物が受け取れない。自分の好きな時間に取りに来れるのが便利です」と話していました。
しかし、大手宅配会社によりますと、まだロッカーの数が少ないほか、会社によって場所が違うことなどから、あまり知られておらず、利用率が低いところもあるということです。
ただ、ロッカーの数をさらに増やすには、設置代や駅などに支払うテナント料などのコストがかさむため、難しい面があるということです。
こうした現状を受けて、環境省と国土交通省が共同で開発に乗り出す新しいシステムでは、ロッカーに新たなプログラムを加えることで、これまでそれぞれの会社ごとに設置していたロッカーを各社が共同で使えるようにします。
環境省は「複数の会社が共同でロッカーを使ったり設置したりできるようになれば、コストを下げることができ、設置場所も広がる。再配達を減らすための積み重ねが、二酸化炭素の大きな削減につながるので、その一環として宅配ロッカーの共有化を進めたい」と話しています。