運用成績世界一のヘッジファンド、高配当銘柄を空売り
- オスロ・アセット「AAMアブソリュート」、15年はプラス58.5%
- 低金利時代には配当実施企業のバリュエーションが高まりがち
運用成績世界一のヘッジファンドは、投資家に高配当を約束してバリュエーションの魅力を高めている企業の株式を空売りしている。
HSBCホールディングスが2015年のヘッジファンド運用成績トップに位置付けた「AAMアブソリュート・リターン・ファンド」は、「短期間でも配当の維持に苦労する」エネルギー企業の株価下落を見込んでいる。オスロ・アセット・マネジメントの最高経営責任者(CEO)として同ファンドの運用に携わるハラルド・ジェームズオタハーグ氏が明らかにした。
オスロにあるノルウェー王宮を見渡せるオフィスで22日にインタビューに応じたジェームズオタハーグ氏(43)は、「投資家が利回りを追求する低金利時代には、配当実施企業に気前の良いバリュエーションが与えられるケースが多い。一部銘柄は極めて割高になった」と指摘した。
世界の石油メジャーは減益の中で配当支払いを継続するため借り入れを増やしている。エクソンモービルやロイヤル・ダッチ・シェルなど大手石油会社の債務は合計1380億ドル(約13兆8300億円)に膨らみ、7-9月(第3四半期)と10-12月(第4四半期)も増加する可能性が高い。ノルウェーでは、国有石油会社スタトイルが6月末までの1年間に債務を53億ドル増やした。
ジェームズオタハーグ氏率いるAAMアブソリュート・リターン・ファンド(運用額2億3000万ドル)は、エネルギー関連株や天然資源関連株でのロング・ショート戦略を中心に運用しており、15年のリターンはプラス58.5%。エネルギー・インフラ株などの空売りが奏功した。
同ファンドはファンダメンタル分析を使って株価の割高・割安を判断し、どの資産クラスとの相関も避けることを目指した戦略を取る。これにより05年末の運用開始以降のリターンは年率でプラス12%、今年は7月時点でプラス10.2%となっている。
原題:The World’s Top Performing Hedge Fund Is Shorting Big Dividends(抜粋)