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ロココ美術をわかりやすく

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こんにちは、arto総研のToshiroです。いつもお読みいただきありがとうございます。今回はロココ美術を紹介しようと思います。

 ロココ美術

ロココ美術はバロック美術から続く美術様式のことで、フランスを中心に発展しました。自由奔放で、あま~い感じの表現が特徴的です。

ロココ美術とバロック美術の境界は曖昧なのですが、フランス国王ルイ15世あたりから始まったと考えられています。ルイ14世の窮屈な政治の不満からより開放的なものが求められるようになり、その結果ロココ美術が生まれることになりました。

実際に作品を見て頂ければわかると思いますが、ロココ美術は、女性的で、甘美で、自由奔放で、享楽的な表現が行われます。そのため批判を受けることもあるのですが、生きる喜びや恋愛を美術的に表現するようになったのはこの時代からであり、そういう意味ではかなり重要な時代でもあります。

ロココは当時のフランス文化全体を表すのですが、この様式は他国にも影響を与えました。大陸に遅れをとっていたイギリス絵画は、イタリアやフランスのマネをしていてはいけない、独自のものを作るべきだ、との考えからジョシュア・レノルズがロイヤルアカデミーを創設します。イギリスはロココ美術ようなものではなく、どちらかと言えばラファエロのような古典を意識しました。

またルネサンスやバロックを生み出したイタリアは、この時期は経済的に衰えていました。そのため、特別、美術様式が発達するようなこともなく、「ルネサンス美術を鑑賞するために行くところ」というような位置付けで、イタリア旅行が流行しました。

ロココ美術の作品

堅苦しい説明を読んでいても面白くないので作品を見ながらロココ美術の特徴を押さえていきましょう。

絵画におけるロココ美術では、代表的な人物が3人おり、ヴァトーブーシェ、フラゴナールです。

ヴァトー『シテール島への巡礼』

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こちらはヴァトーの代表作『シテール島への巡礼』です。アカデミー正会員として認められた作品です。言うべきところは多々あるのですが、ものすごーくかみ砕いて言うと、上流階級の若い男女が縁結びの神社に行くような感じ(例えですよ)が描かれています。しかしヴァトーの繊細な表現や独特の個性により、素晴らしい作品に仕上がっています。ちなみにこの作品がアカデミーに認められた際、ふさわしいジャンルがなかったため、「雅宴画(がえんが)」というジャンルが新たに作られました。

ブーシェ『ソファーに横たわる裸婦』

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ブーシェは盛期ロココの代表的な人物で、ロココ美術の典型的な作品を残しました。ブーシェと言えばやはりこの作品が有名で、またロココ美術をよく表しているとも言えます。モデル(ルイーズ・オマフィー)の女性的な曲線や、裸でソファーに横たわるという自由な感じ、神話的ではなくソファーという現実的な表現など、ロココ美術の特徴がよくわかる作品です。

フラゴナール『ブランコ』

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こちらはフラゴナールの『ブランコ』という作品なのですが、ロココ美術の代名詞的存在となっています。甘美なドレスを身に付けブランコに乗る女性というだけで十分ロココ的ですが、注目すべきは画面左下の男性です。男性の目線の先にはっ!?(/ω\)

この作品を形式的に解説するならば「自由恋愛を謳歌する若い男女を描いた傑作」とかになるのでしょうか。こういう堅苦しい表現するから美術離れが進むのでは、とか思うのですが、別の話になるので止めておきましょう。

イギリスのロココ

イギリスにはロココは根付かなかったのですが、唯一ロココの影響を受けた画家がおり、それがゲインズバラです。

ゲインズバラ『ジョヴァンナ・バチェッリの肖像』

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なぜイギリスのゲインズバラがフランスのロココ美術の影響を受けているのかというと、ゲインズバラの師匠がブーシェの弟子であるからです。つまりゲインズバラはブーシェの孫弟子であるということになります。

ゲインズバラは風景画が好きで、風景画のレベルも高いのですが、当時のイギリスでは肖像画が人気でお金になったため、お金のために肖像画を描いていたとも言われています。

ジョシュア・レノルズ『マスターヘア』

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フランスがロココ美術でにぎわっている間、イギリスのレノルズは「イタリアやフランスのマネをしていてはダメだ」ということで美術学校ロイヤルアカデミーを創設します。ロイヤルアカデミーはラファエロのような古典を重要視したのですが、結果的にはイギリス絵画の発展を阻害するような形になった、という指摘もあります。

ちなみにこの作品はレノルズの代表作で、非常に人気となりました。『マスターヘア』のモデルはよく女の子と勘違いされるのですが、実際には男の子です。

 

今回もお読みいただきありがとうございました。
Toshiroでした。それでは、また。

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