ソウル=牧野愛博
2016年8月19日20時26分
北朝鮮のテ・ヨンホ駐英公使が17日、夫人や子どもと共に韓国に亡命したことが明らかになった。北朝鮮の外交官は外国でどんな生活をしているのか。2000年代後半にモスクワの北朝鮮大使館に勤務し、その後亡命した金旻奎(キムミンギュ)・韓国又石(ウソク)大客員教授に聞いた。
北朝鮮外交官は厳しい生活環境と思想統制のため、華やかさとは縁遠い生活を強いられている。
金教授によると、モスクワは北京と並ぶ北朝鮮最大規模の在外公館で各50人前後の外交官が派遣されているが、全員が家族を含めて敷地内の施設に住む。基本的に子どものうち1人は「人質」として平壌に残すよう指示される。
部屋は、一世帯3~4人用の2DKで約20坪(66平方メートル)ほど。テレビもあるが、主に北朝鮮国内向けの朝鮮中央テレビを衛星放送で視聴する。「仕事柄、英BBCや米CNNも必要だが、必ず仕事場で見るよう指示された」
街の映画館に入ることは厳禁だった。大使館外に出るときは必ず2人以上で行動。30分以上の単独行動は基本的に禁じられた。
月収は大使が450ユーロ(約5万1千円)、職員が350ユーロ。食費と電話代、ガソリン代だけで消えたという。生活苦で、子どもは基本的に無償の公立学校に通う。大規模公館には本国から送金もあるが、「館の運営には全く足りない」。カネがないので、レストランでの接待や贈り物はできず、外交活動はもっぱら、大使館で開く宴会で間に合わせたという。
北朝鮮外交官は公館の運営など…
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朝日新聞国際報道部
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