MERYなどのキュレーションサイトにおける画像の無断使用や記事構成のパクリなどはよく聞かれます。
@mecchanikuniku
— ごんちん (@gonchin555) 2016年8月4日
うちの業界も画像ごと丸パクリがまぶしいです・・・
【被害サイト】 https://t.co/Xqo6rkhakD
【MERY】 https://t.co/nA2g3vfrFU
【masimaro】 https://t.co/6WDZN3Pn26
記事の構成や画像を流用しつつ、記事作成の工数を大幅に減らし、更新数の多さという物量作戦を危惧する声も聞かれます。
現在のキュレーションメディアは、Googleの「情報量が多ければ多いほどそのドメインを評価する」というアルゴリズムをハックし、クソ記事を粗製乱造することで検索流入を増やしています。そのような蛮行がまかり通るインターネットの未来は、一体どうなるのでしょうか。
この記事に少し異論が有って、単にMERYなどを真似しただけのキュレーションサイトでは、SEOが上手く行っていないサイトも多く見かけるので、単に更新数や情報量が多いだけでは、SEO的なメリットを享受できません。
パクリ系の話は数年前から出尽くしている感満載なので、少し違った目線で彼らキュレーションサービスが許せない理由を書いてみたいと思います。
記事後半では、駆け出しはてなブロガーの私がどうすべきか考えてみました。
1.高単価なアフィリ案件 2.購買ニーズの高いワードを抑える 3.即時性の情報を追い求めるサイト運営 4.自身がインフルエンサーになる 5.小規模サイトの量産
という5パターンをとりあえず想定。はてなブログを書いている方にも参考になるかも?と用意してみました。
キュレーションサービスはグレーゾーンを走り抜けきりつつある
まとめサイト、キュレーションサイトとして一番最初に成功を収めたのがNAVERまとめかと思います。
その後の後発組として、NAVERまとめ以上にキュレーション業界に影響を与えたのはMERY(メリー)だったと感じています。(当時のキュレーションサイトは集客にそれぞれ特徴があり、FacebookなどSNS中心のバズメディア寄り、アプリ中心のアクセス、SEO優位なキュレーションなどなど、現状を鑑みるとSEOで結果を出したキュレーションサイトがリードしているように見受けます。)
そのMERYの運営会社㈱ペロリは、佐俣アンリ氏という独立系VCから運営開始当初に出資を受けていたはずです。
その佐俣氏の発言を切り取ってみたいと思います。
スタートアップにとって「無風」の時代
ここで言う「潮目」とは、デバイスの切り替わりや法律の改正など、大きな転換点を指します。
では「潮目」を狙うにはどうすればいいのか。簡単に言うと、一般にグレーゾーンとされている領域にチャンスがあります。「潮目」を探す具体的なポイントをまとめてみると、次のようになります。
・法律的にグレーゾーンで、かつ意見が分かれている
・法律が整備されれば大きな産業になると確定しているもの
・ほかのスタートアップが参入していない
引用:スタートアップにとって「無風」の時代、若い起業家はどう乗り越えるべき? — The First Penguin
ニュアンスとしては理解できるんですが、ペロリに出資していた投資家さんがこの発言をしているのを見るとどうしても、意図的にMERYはグレーゾーンを走り抜けたと見てしまいたくなります。
佐俣氏が言うように、法整備が整っておらず世間的にグレーゾーンでだったとしてもイノベーションをもたらすことで世の中が良くなるサービスは沢山あると思います。(UBERやAirBnBなど)
既得権益や旧態依然とした業界やシガラミを打破し、世の中に大きなインパクトをもたらす、そんな事業はベンチャーこそ行うべき事業ですが、キュレーションサービスって有っても無くても感満載です。
ただ、尊敬すべき点として、グレーゾーン(著作権の引用の範疇からすれば限りなく黒)を走りぬけ、赤字が継続したとしても健全化に舵を切れるだけのひとまずの着地点(買収)までたどり着いた点は素直に凄いと感じています。
『資本主義の戦いに綺麗も汚いもない。彼らはリスクを背負った勝負に勝った。』
と、自分に言い聞かせていますが、やはり感情論としては許したくない気持ちもあります。
結局キュレーションサイトの多くは独立系ベンチャーか、大手でも子会社で運営していることが多かったと思います(サイバーエージェントを除く)。子会社運営で最悪の場合のリスクヘッジしてたのかな。
MERY買収からのDeNAへの美しいバトン:welqのSEOが超強い
記事前半で引用させてもらったツイートのように、MERYなどは最近でも著作権的には完全に白になったとは言い切れません。
ただ、時代の転換点を上手に乗りこなし、グレーゾーンを走りぬけ切りそうなMERYのノウハウを最大限に活用してDeNAはいくつかのキュレーションサイトを運営開始しています。
※引用:DeNA
この中の一つwelq(ウェルク/画像右下)は物凄くSEO強いです。リンクは掲載しませんので、ご興味ある方は検索してください。
妊娠初期、キス、不倫、美人、ヘルペス、かわいい、胃腸炎、便秘など で検索すれば1位に出てくると思います。
welq(ウェルク)は驚くべきことに、ドメイン取得からたった1年しか経過していません。
<welq(ウェルク)の強さ分析>
- 外部へのリンク無し
- ある程度、質の担保された記事(ライターが確保できている)
- 資金力に依存した更新数の多さ
- イベント登壇・ニュース掲載など自然リンクが付きやすい環境
- 旧ドメインからの移管
1はMERYなどで見られた引用(グレーゾーン)の際に必要だった外部リンクをなくしています。
※引用:Getty Images
主に有料の画像素材を使う事でMERYなどで見られた引用リンクが必要ありません。Getty Imagesは有料のフォトストックサービスで、welqなどを始め大手が運営しているキュレーションサービスで利用されています。Licensed by Getty Images プログラムというらしく値段を調べてみたものの価格は不明。なんだか物凄く高そうなイメージ。
要はキュレーションサービスの一番のリスクであった著作権についてクリアにして健全運営しています。
健全なだけでなく、引用時に必要だった出典元としてのリンク掲載が不要なため、外部リンクを減らすことにも繋がっており、welqの一つの強さの理由となっているのではないかと想像しています。
2と3の記事の質と更新点数もSEOの大きな評価ポイントです。これらはスピードを高めようとすればするほど工数がかかります。この辺りはDeNAの体力が非常に優位に働きます。
4.はMERYなどがよくやっているのですが、SEOやアプリの成功のポイントといったイベントへの登壇を積極的に行っています。
これらのイベントに参加することでMERYそのものにも被リンクが付きます。インタビュー記事や登壇時のレポートブログなどでリンクが掲載されます。また、PVやUUが増えた際のニュースリリースも話題性があり、welqにもリンクがついています。
5.旧ドメインからの移管も大きそうです。
welqはもともとmedegeというドメインで運営していましたが、現在のwelqにブランド名変更とともにドメインも移管しています。その際、301リダイレクトをかけています。明確にプラスかは不明ですが、過去の資産を受け継いでいることは間違いないと思います。
ちょうど今日のニュースで、
新規事業のなかでも、女性向けキュレーションメディア「MERY」などを擁するキュレーションプラットフォーム事業が好調で、利用者数や事業売上収益も順調に伸びていると説明。2016年度下期の黒字転換、2017年度中の四半期営業利益10億以上の創出に向けて順調に成長しているという。
とあり、本年度下半期には黒転見込みとのこと。MERY+iemo50億での買収は成功を収めそうです。
キュレーションサービスを根絶できたかもしれないタラレバ
キュレーションサービスの今を根絶できたタイミングをタラレバしてみましょう。
NAVERまとめの運営開始が2009年、MERYが2013年運営開始。
2014年ごろまでにキュレーションサービスのどれでもいいので、著作権法の違反で訴訟を起こして勝っておくことができていれば、今のようなキュレーションサービス全盛にはなっていない可能性が高いです。
著作権の侵害は現状親告罪ですので、著作権者が訴える必要があります。そして、その訴訟はたとえ勝てたとしても、訴訟費用の方が上回ったであろうと想像されます。2014年には既にVCマネーが各社キュレーションサービスに入っていたと思うので彼らも真剣に戦ってきていたでしょう。
この厳しい戦いに挑み、勝てているメディア運営者がいて、一つでも判例が残っていれば大手企業による買収はありえなかったかもしれません。
完全にタラレバです。
私は法律を学んだことはありませんので、想像が多分に含まれます。そして、健全化が進んでいるwelqなどの例を鑑みると、今キュレーションサービスへの訴訟を起こして勝つことができてもほとんど意味をなしません。彼らは既にサービスを健全化させるだけの資金力があります。
キュレーションサービスとは別の方向に進まねばならないというのが結論です。
ここまで悲観的な内容ばかりでした。そして、ありもしないタラレバだけ考えていても仕方がありません。具体的な将来に向けた行動案に落とし込んでみます。
検索ボリュームの大きいジャンルでPV依存の収益化はもう辛い
実際問題パクリを嘆いても仕方ありません。そしてキュレーションメディアの攻勢を防ぐことは現段階では困難です。正面から戦っても勝つことは難しいです。完全にブラックSEOに振り切って勝ってそうなサイトも見受けますが……。
検索ボリュームのあるキーワードでPV依存、AdSense収益というモデルで戦うにはかなり厳しい戦いが想像されます。
現時点で私は脱落しつつあります。
パレートの法則よろしく、上記サイトの8割のPVは、2割の上位記事のPVから成り立っていました。要は主力級の記事の下落がPV下落の主要因です。そして、それらの主力級であった記事たちは、キュレーションサービスに押されています。
ではどうしましょう?
ストレートに言ってしまうと大きめのワード(月間検索母数の多いワード)で検索上位を維持することは避けたほうが無難です。競合は増え続ける一方です。
- 高単価なアフィリエイト案件のサイトを中長期で頑張る
- 検索母数は少なくても購買ニーズの高いワードを抑える
- ブロガーとして即時性の情報に追いかけつづけPVを確保する
- 自身がインフルエンサーになる
- 小さめのお題を絞った情報サイトを量産
1,2がアフィリエイターさん寄り、3,4がブロガーさん向きとなるかと思います。
2は既存のブログでもある程度ドメインが育っていれば狙えるかもしれません。(ただ、中長期の視点で順位を維持するとなると少し話は別になってきます)
1は競合が既にいますし、SEOにかなり注力されている方も多く、運営経験もドメインの履歴も勝ちに行くにはかなり厳しいと思ってしまったりします…。特別なことをしなければ、年単位の勝負が必要そうです。
既存のブログドメインで2.か3.もしくは新規ドメインで専門サイトをつくり2.を実践するのが個人や小規模事業者としての最適解だと思います。
ただ、ブログ経験が長ければ長いほど、アフィリエイトとのギャップはあると感じていますので、我慢と試行錯誤が必要にも感じます。
@ktsn1129 仰るとおり、はてなブロガーの場合一番の問題はそこだと思いますね。無風で閑散とした状態に耐えつつ、反応のないサイトにコンテンツを詰める労力を注ぎ込めるかがポイントになるかと。兼業ブロガーも多いですから、反応が無い辛さで耐えられず、止めてしまう人が多い気がします。
— 付利意雷布亜@東南アジア (@freelifer1) 2016年8月9日
私自身は、ダイエット専門サイト⇒小規模なAdSenseサイト⇒いくつかのアフィリサイト⇒はてなブログと実践してみていますが、落ち目のダイエットサイト以外はあんまり上手く行っていません。(アフィリエイト向いていないかもと思い、ライファーさんに相談したツイートが↑です。)
ライファーさんの記事ではニュアンスが少し異なりますが、はてなブログで検索上位を取れている人も安泰では無さそうな示唆があります。特に太いキーワードがアクセスの主体になっていると……、私みたいになりますwww
ブロガーさん向けにリスク分散を進めるべきとの言及があります。リスク分散の方法として3〜5があると思います。
3.4.は既にPVを確保できているはてなブロガーさんなら狙って見る価値はあると思います。この辺りは、僕よりも諸先輩方の方が詳しいと思うので割愛します。
その他にも、記事前半でご紹介したツイートの『浴衣の着付けなど別の商売がある方』は、被リンクの付きやすいサイトに一部コンテンツを再運用し直すこともメリットがあると思います。(例えば、はてなブログに新規記事を投稿しつつ、画像は再利用、など。注意点は既存記事と同じような構成ではまずいので、テキストの再構成したりする必要はあります。)
これは5.に該当します。ウチもダイエットサイトから切り出した、新規コンテンツで小規模なヨガサイトを運営してますが、特別な対策もせず絶賛放置中ですが、数万PV位なら維持できています。量産すれば収益になる可能性もありますが、やはり狭めのジャンルに特化して、コンテンツはしっかり作り、時間をかける必要があります。コツコツ派の人には向いているかもしれません。
以上です。
基本ネガティブなもんで、どうしてもマイナス感情が先立ってしまいますが、なるべく冷静に、そして今後できそうなことをプラス面として書き並べてみました。
SEOに関してもどこかの会社に属して体系だって教えてもらったことが無いので、分析とかがおかしいところがあるかもしれません。もしあればブコメなどでご指摘お待ちしています〜!