外相抗議後も挑発やまず=中国、「管轄権」行使を誇示-尖閣接続水域に公船10隻
2016年08月10日 20:51 発信地:日本
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資料写真)。(c)AFP/JAPAN COAST GUARD
【8月10日 時事通信社】第11管区海上保安本部(那覇市)は10日、沖縄県・尖閣諸島の接続水域を中国公船10隻が航行したと発表した。外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は、在京中国大使館の郭燕公使に抗議した。午後3時現在、領海侵入は確認されてないが、岸田文雄外相らの再三の抗議にもかかわらず、日本を揺さぶる公船による挑発活動はやんでいない。
同本部によると、公船は主に久場島や魚釣島の北西の接続水域を航行。一部の公船には「砲らしきもの」が装備されている。
午前3時ごろには、日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国漁船の乗組員が公船に乗り移る場面を確認。中国海警局が自国のEEZ内と見なして活動した可能性があるため、金杉局長は郭公使に対して「当該海域で中国の漁業に関する管轄権の行使は認めていない」という日本政府の立場を強く申し入れた。
海上保安庁によれば、尖閣周辺では9日昼にも、海警局の搭載艇が中国漁船に横付けし、数人が漁船に乗り移った。移乗は同日夜にも見られた。中国側として海域の「管轄権」行使を誇示する狙いがあるのは確実だ。
移乗などの「特殊事案」は尖閣諸島が国有化された2012年以降、昨年までに15日間確認されているが、今年に入ってからは初めてだ。
一方、中国の程永華駐日大使は「当該海域で漁船の活動が増えていて、事態が複雑化しないよう中国は努力している」と説明。中国側は休漁期明けで急増した漁船の「保護と管理」を理由に、活発化する公船の活動をあくまで正当化する構えだ。
海警局は漁政部門を含め複数の海上治安機関を統合する形で13年7月に発足。近年は増強が著しく、軍と並んで習近平政権の掲げる「海洋権益の確保」の中核でもある。
10日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報は「安倍晋三首相はますます中国脅威論を強調するようになっている。民衆の危機感を呼び起こし、憲法改正のための世論をつくるためだ」と主張する研究者の見解を紹介し、日本側の相次ぐ抗議に反発している。
5日以降、日本政府は中国側に20回以上抗議している。外務省幹部は「今後も続くようなら次の手を考える必要がある」と述べており、引き続き厳しく対処する方針だ。(c)時事通信社