鬼だ逃げろと隠れん坊、巫山戯、飛び跳ね、駆け回る、矢庭に変易お天道は、狐の嫁入り土砂降りだ、てんでに散り散り逃げ惑い、何時の間にやら独りきり、御堂に駆け込み雨宿り、和郎故の六感か、嫌な気色に心付き、御堂を覗くが空っぽで、屈んで覗く縁の下、闇がり慣れろと目を凝らす、闇がり住いの薦被り、暗くて面様見えないが、牡丹餅あるよと囁いた、手招く御手々は真黒で、おいでおいでと囁いた、和郎故の六感は、不穏な空気を感じ取り、一歩後ろに後退り、逃げ出すために振り向くが、黒い御手々に掴まれて、驚き腰抜け尻を着く、縁の下から高笑い、旨そな臭いだ、上物だ、こっちへおいでと囁いた、黒い御手々は足掴み、闇がり陰へと引き摺った、既の所で柱に縋り、足掻いて脚を我武者羅に、暴れ引き抜き仕懸るが、脚に劇痛感取して、鼻も涙も小便も、弛み止まらず垂れ流し、父ちゃん母ちゃん、叫び呼ぶ、土砂降り雨に掻き消され、喚くも騒ぐも誰も来ず、闇がり中へと呑み込まれ、草履が一つ残された。
蜩鳴く声耳にして、閉ざした目蓋を開けてみる、何時の間にやら日は暮れて、地面に残るは水溜り、今見た悪夢は現実か、落ちてる草履に気が付いて、一歩前へと歩を進め、己の体に違和感を、感じ取って見下ろすと、股には真っ赤な染みがあり、急いで着物を捲り上げ、腰から下を覗き込む、朝にはあった陰茎が、すっかりなくなり、跡形無く、股には割れ目があるだけで、小便仕方も分からずに、途方に暮れて思い出す、恐る恐る目を遣ると、縁の下には気配なく、近づき屈み覗き込む、薦被りの姿やはりなく、そこにあるのは洒落頭、曽ては股に垂れていた、朝にはあった陰茎を、咥えて転がる洒落頭。
-あとがき-
夏なので怪談書きたいと思い立ち、気付けば変なの書いていた。
カメ隠し。分かりますよね?(笑)
明日からブログはお休みです。夏休み明けに再開予定です。
取り敢えず糞して寝ます。じゃまた。