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 長崎原爆の悲惨さを伝えてきた写真の一枚が「黒こげの少年」だ。長崎市の姉妹が、少年は兄ではないかと直感し、鑑定の結果、その可能性があることがわかった。被爆から71年にしての「特定」。兄を思う姉妹の心は、若者を通し、世界へ広がろうとしている。

 9日午後、長崎市の西川美代子さん(79)と妹の山口ケイさん(76)は、長崎市の寺で営まれた原爆犠牲者のための法要に参列した。寺には、焼け野原に残された身元不明の遺骨が多数納められていて、兄の谷﨑昭治(しょうじ)さんの遺骨もあるはずだと信じ、毎月9日、足を運び続けている。亡き母も同じ思いで通っていた。

 71年前、昭治さんは地元の町を離れ、長崎市内の旧制中学に通っていた。原爆投下前日に父が連れ戻そうとしたが、翌日に英語の試験があると言って残った。遺骨も見つからなかった。

 姉妹は昨年、長崎市で開かれた原爆写真展を訪れ、「黒こげの少年」を見て直感した。「じっちゃん(昭治さんの愛称)だ」。優しかった兄の面影があり、思わずなでた。法医学者による鑑定で、目や鼻の特徴などから「同一人物の可能性がある」とされた。

 長崎市の長崎東高2年の安野(やすの)伊万里(いまり)さん(16)は、そのことを報じた新聞記事を見て「70年経ってお兄さんとわかるって、なんて強い思いだ」と驚いた。

 安野さんは昨年から、高校生に…

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