マグロの刺身が大好きな人は多かろう。
しかし、筆者(私)は「ことさらにマグロの刺身を称賛しありがたがる気持ち」とはやや距離を置いていた。
理由は簡単。
美味しい魚は他にもたくさんあるのに、マグロ派が多いため特別視されすぎて割高感があるからです。
――少なくとも、今までは、そう思っていた。
そんな「反マグロの刺身派」の筆者だが、とあるお店のおかげで「私が今まで食べてきたマグロの刺身は何だったのか!?
それに、マグロって楽しいしスゴイ!」と、マグロに対する印象が一変してしまった。
今回は、そんなスゴイお店を紹介しよう。
さすが専門店、希少部位が豊富
“とあるお店”の場所は新宿、「歌舞伎町一番街」のゲートを越えてすぐ-。『売切御免!毎日解体 まぐろ商店』というお店である。
マグロがなんかスゴイってことが100%伝わってくる、素晴らしい店名だ。その名のとおり、毎日マグロの解体ショーを行っている(平日は19時30分、土日は18時30分から開始なので気を付けて!)。
地下1階に着くと、そこは113席の広さを有するマグロの楽園。
「まぐろの卵」「まぐろ胃袋」「まぐろの心臓」「まぐろ白子天ぷら」など、専門店だからこそお目にかかれるマグロの希少部位のメニューも豊富だ。
▲まぐろの卵(1200円)。
炭火で炙ってあり、プチプチとした食感。タラコに似ていると言えば似ているが、濃厚な旨味がある。1日5食限定。
▲まぐろの胃袋(1200円)。
弾力のあるモツのような食感。血合いの部分に似たような「臭み」が逆に魅力となっていて、酢味噌でサッパリ食べるか、濃厚な味噌味で食べるかはお好み次第と言ったところ。こちらも限定5食。
▲まぐろ心臓(1本780円)。
素材の味がダイレクトに楽しめる一品。お肉に例えれば、ハツの弾力とハラミの分厚さとレバーの旨味が一挙に味わえるような部位。個人的には、今回食べた希少部位の焼き物のなかで一番好き。限定10食。
▲まぐろ白子天ぷら(780円)。
大振りでクリーミー。熱いうちはとろりとした舌触り、少し冷めるとプリプリした弾力が楽しめるので、白子好きの方にはオススメである。
「マグロの刺身はともかくとして、解体ショーは見てみたいな」と思った筆者は、少し早めの時間帯に予約をし、上記の希少部位を堪能した。どれもこれもお初にお目にかかるものばかりで、しかも想像以上に美味しい。
魚っぽくもありお肉っぽくもあって、好奇心も刺激される。マグロの楽しさは希少部位にあるのでは? と思いつつ、食べ終わって「これでもう満足だな」と感じた……のだが、マグロ解体ショーが始まってからがやはり“本番”だったのだ!
解体ショーすごい、でも中落ちはもっとすごい
店内に響き渡る「解体ショー始まります!どの席にいらっしゃる方でも、こちら(解体ショーが行われるカウンター席周辺)に来てくださって大丈夫です!スマホ撮影も大歓迎!」との案内に、店内は大盛り上がり!
テーブル席から立ち見にくるお客さん多数!
その「大盛り上がり」が「大大大盛り上がり」になったのは、巨大マグロまるまる一尾が眼前に登場した瞬間である!
目の前で巨大マグロが捌かれていく光景は圧巻だ。映画やドラマでいう“殺陣”がごとく、グロテスクなはずの行為を美しく軽やかに魅せるその姿に、職人の技と魂を感じる。
しかも解説が面白い。
「泳ぐときは、このヒレをたたんで尻尾の方を動かしてるんです」「ここの部位が、いわゆる中トロ! おすすめです!」「皆さん、ここの色と、こっちの部位を比べてみてください。違い、わかります?」など、お客と掛け合いをしながら進めていく素晴らしいショーだ。
赤身の部分は、空気に触れる時間が長くなるにつれ深い紅色になるとのこと。30~40分ほどの間に、“姿”だけでなく色の変化まで見られるマグロ解体ショー。
楽しさだけでなく、なんとなく「命を食べること」について考えさせられる、哲学的な時間でもあった。
▲まぐろ骨身
解体後、筆者は貴重な中落ち部分を味わうべく、「まぐろ骨身(1880円)」を注文。
解体したばかりの背骨とその周りのお肉がドーンと出される、ド迫力の一品。ビジュアル的にも盛り上がること間違いなしだ。巨大なので2人ぐらいで食べるのが良いかも!
背骨の周りの身(中落ち)をスプーンでこそげ取って食べるのだが、この作業が案外楽しいうえに、(当たり前だけど)鮮度もバツグンで美味しい!
うまみしっかり、そしてこれがマグロの味なのか、と思う独特のよい香りが鼻をぬけていく。格安スーパーはもちろんのこと、高級スーパーでも、こんなふうに血生臭さ皆無、脂はノリつつしつこさを感じさせないマグロは食べられない!
最高に美味しくて最高に楽しいなんて、もう盛り上がるしかない!
お店の方によると、「毎日19時30分(土日は18時30分)からの解体ショーの時間帯は大盛況。解体直後しか食べられない希少部位も注文できるので、早めにご予約を」とのこと!
しかし、その時間帯に入れなくても大丈夫!
「21時30分から、頭の部分の解体ショーがあるんです。この時間帯は穴場ですね。職人が目の前で解体するんで、寿司屋の板さんと話す感覚で楽しめます」とのマル秘情報が!
そんなわけで、究極のまぐろ尽くしを味わい、解体ショーを間近で見れば、宴会でもデートでも盛り上がること間違いなしの名店です!
なにせ「毎日解体」なのだから鮮度は折り紙つき、希少部位も食べられるので、皆様も是非マグロを思いっきり楽しんでください!
まぐろのしゃぶしゃぶ食べ放題プランが「毎日限定数」で登場!
著者・SPECIAL THANKS
ライター/シマヅ
1988年生まれ。フリーライター。 武蔵野美術大学造形学 部芸術文化学科を卒業後、2年ほど美術業界を転々としていたが現在は主にWEB上で文章を書き生計を立てている。女性向けコラム、インタ ビュー記事、グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。