7月末以来の国債価格急落を受けて社債価格も下落し、直近では7月発行分が全て額面割れとなった。日銀の異次元緩和の継続性に対して不安が高まる中で、これまでゼロ近辺まで低下していた社債の利回りが上昇(価格は下落)した。

  ブルームバーグのデータによると、7月の国内社債発行額は2兆円を超えており、2009年以来で最大規模。同月に発行された63本の国内社債は全て額面割れとなっている。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、国内社債の平均利回りは、7月27日の0.1%から8月2日には0.25%に上昇した。

  日銀が7月29日に決定した追加緩和では、期待されていた政策金利(マイナス0.1%)の引き下げや国債買い入れの増額は行われなかった。また、次回9月の会合で緩和政策の「総括的な検証」を行うと日銀の黒田東彦総裁が話したこともあり、新発10年債の利回りは2日、一時マイナス0.025%と3月以来の水準まで上昇した。2日夕方に行われた麻生太郎財務相との会談後、黒田総裁は「総括的な検証」が金融緩和の縮小につながるとの見方を否定した。

  SMBC日興証券の阿竹敬之クレジットリサーチ課長は、低金利のうちに資金調達を済ませたい企業がいる可能性を指摘し、「金利が底を打ったというイメージになると社債発行は増えるかもしれない」と話した。また、これまでに低い金利で発行された社債を購入した投資家は、保有社債を売却して「利回りが高い方に入れ替える話はあるかもしれない」との見方を示した。