年度始めの今の時期、季節の変わり目も重なって体調が優れない人も多いのでは?今回は、健康まわりのお金について、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さんにお話をうかがった。
■健康保険は助け合いの制度
体調が悪くて病院に行く際には、必ず持参する健康保険証。実はコレ、意外と使えるモノなのはご存知だろうか?「健康保険証は、その言葉の通り、健康保険に入っている“証(あかし)”なんですよ」と、八ツ井さん。そもそも、“健康保険”という制度について、普通の人はさほど関心を持ったことがないかもしれない。
実際のところ、どういった制度なのだろうか?「健康保険は、簡単に言うと“相互扶助”の制度です。加入者みんなでお金(保険料)を出しあって、万一のこと(病気やケガなど)があったら、その人に給付金などが支給される制度を言います。」
■給付はこんなにたくさん
保険料を支払うことで、どんな恩恵が受けられるのだろうか?八ツ井さんの話をもとに、給付を次の表に整理してみた。
■どうする? 医療費が多額になってしまった時
表を見て、「健康保険という制度、意外と使えるんだな」と思った人も多いのでは?それでも、もし入院や手術などをして医療費が多額となった場合は、高額療養費制度を使っても月額8~9万円の出費は避けられない。これだけの額となると、月々の生活費から捻出するにはかなり大きな額となる。
「そこをどうカバーするか?というのは、御本人の考え方次第なんですよ。“貯蓄でカバーできる”と思われる方もいらっしゃるでしょうし、“いやいや、それは厳しい”と思われる方もいらっしゃるでしょう。そこをカバーする選択肢のひとつとして、医療保険という金融商品があるんです」と、八ツ井さん。
■“医療費が不安だから、医療保険に入る”は違う!?
医療費が多額になってしまった場合、高額療養費制度は、大きな助けになる制度だ。ただ、この制度だけで、本当にお金は足りる?と考えてみた場合、少々、心もとないのも事実。先にお話した通り、貯蓄がある程度あれば、保険に入る必要性はさほどないんです。反対に言えば、貯蓄ができていないのであれば、入院・手術になった場合に備えて入っておいた方がベターなのが医療保険なのです。」
■“万が一”に備える金額は、最低日額5千円
もし医療保険に入るという選択をしたのなら、まず気になるのは入院日額だ。いくらぐらいを目安にすればいいのだろうか? 八ツ井さんに具体的金額を計算してもらった。
「だいたい日額5千円程度あれば、ひとまず安心できるのではないでしょうか?ただし、これは医療費のみを考えた場合の額です。入院すると医療費とは別に、諸雑費(※)がかかりますからね。そこを手厚くカバーしたい場合、入院給付金は千円単位で決められますから、日額5千円~1万円程度の保険に入っておくと良いでしょう」
※差額ベット代、パジャマなどの入院に必要な物品購入費、お見舞いの交通費、テレビ代など
■手術給付金の倍率も必ずチェック!
八ツ井さんは「医療保険に入る際、入院日額の他にもうひとつ重要なチェックポイントがあります。それは手術給付金です」とも。少し前までは、どこの保険会社でも、ほぼ横並びだった手術給付金だが、最近、会社毎に支給に違いが出てきているそうだ。
「手術給付金は、入院日額の○倍という形で出ることが多いのですが、ここが何倍であるか?という具体的金額と支給要件を、必ずご自身で計算して確認して下さい。」
たとえば、入院日額が5千円の場合、手術給付金が5倍であれば2万5千円、10倍であれば5万円、20倍であれば10万円と、かなり大きな金額の違いとなる。手術給付金の倍率が低く、入院日数が短い場合だと、医療保険だけでは、かかった費用全てを賄いきれない可能性も出て来るからだ。
■よくある保険についての勘違い
女性が医療保険を選ぶ際、気になるのが“女性疾病特約”という言葉。保険会社によって名称はまちまちだが、女性特有の病気になった場合に保障をしてくれるという特約だ。
「割と多いのが、女性疾病特約に入っていないと、女性疾病になった場合にお金が出ないと勘違いされていらっしゃる方。それは間違いで、医療保険は全ての病気、ケガによる治療目的の入院・手術が対象ですから、女性疾病になった場合も医療保険でお金は出ます」
■女性疾病特約って何?
では、女性疾病特約というのは、何のためにつけるものなのだろうか?「女性疾病特約は、簡単に言えば医療保険のオプション保障です。入院費などは医療保険でカバーした上で、“女性疾病になったら大部屋はイヤ、そのためのお金を備えておきたいわ”といったニーズに備えて、安心料と割り切って付加されるのがいいのでは? 実際にそういった相談者もいらっしゃいますよ」
下記のデータの通り、女性特有の病気は増えている。現場で相談を受けている八ツ井さんの感覚としても、「女性特有の病気は増えていると感じています」とのこと。自分がそういった病気になった時、どう思うか? どう感じるか? 健康な時だからこそ、一度考えてみてもいいのかもしれない。
■女性疾病特約の利用で保険料を下げる裏技
ところで、同じ「日額1万円」を保障したい時、医療保険で賄うのと女性疾病特約をつけるのとでは、どちらが保険料が安くなるかおわかりだろうか?答えは、女性疾病特約をつける方が、保険料は安くなる。なぜなら、カバーする病気の範囲が狭いからだ。
具体例を出そう。たとえば医療保険の保障額を日額5千円とし、女性疾病特約を5千円オプションでつけると、通常の病気やケガは5千円、気になる女性疾病については1万円の保障を確保できる。つまり医療保険だけで1万円の保障を確保するよりも保険料は安くあがる。こんなふうに保険料を抑える目的で、女性疾病特約を敢えて使う裏技もあるのだ。最後に「女性疾病特約の保障の範囲は、保険会社によって違いがあるので、入る前に保障内容を確認しておくと良いでしょう。」
取材/楢戸ひかる
※本記事は、2014年4月24日、2014年4月25日、2014年4月28日に掲載された記事です。そのため、記事内容は掲載日のものであり、現在と情報内容が異なっている場合がございますので、本記事の閲覧・利用等に際しては、以下の点をご了承ください。
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