プラネタリウムといえば生真面目で学習的な要素が強い印象。ところが、最近は著名ミュージシャンの音楽やアニメを取り入れたり、雲型のペアシートで癒しを与えたりするなど、エンターテインメント性の高いプログラムも登場して、デートスポットにも使われる場所として変化してきている。学習施設のあり方が変わってきているのかもしれない。
昔とまったく違うプラネタリウムの世界
光学式プラネタリウム「インフィニウム シグマ」
シートに体を沈めると、ドーム型の天井が上に目に入る。場内が暗くなり、夕闇の都会のCG画像が映し出される。闇に包まれたドームに星が輝きだしたかと思うと、「スキマスイッチ」の音楽が耳に入ってきた。東京・池袋にある「コニカミノルタプラネタリウム『満天』in 池袋サンシャインシティ」で上演されているプログラム『スキマスイッチ 宇宙の奏(かなで)』の冒頭部だ。
一昔前のプラネタリウムを思い出す。その場所は地味で静かだった。「夏の大三角」がどうだとか、「はくちょう座」がどうだとか、星座を覚えて帰らなければいけないという無言の親からのプレッシャーを感じた。姿勢を正しくし、星座にまつわるギリシャ神話の話を聞きながら、やがてドームの夜が明けた。純粋な理科の学習時間だった。
カップルのために用意された雲型のペアシート
ここ「満天」は違う。星を投射する光学式プラネタリウムのメーカーであるコニカミノルタプラネタリウムは、池袋の満天と押上の「コニカミノルタプラネタリウム『天空』in 東京スカイツリータウン」という2か所のプラネタリウム直営館を運営。そこでは、『スキマスイッチ』などミュージシャンとのコラボ作品や、癒しをあたえるヒーリング作品など、エンターテインメント性の高いプログラムを用意する。
カップルの姿はもはや珍しくない。雲型をしたペアシートが置かれ、数組のペアが寝転がることができる芝シートまである。入場料は、通常1200円だが、これらの特別なシートは2900円と高い。しかし、一か月前から始まる座席の予約は完売。「繁忙期の新幹線並みに売れる」のだという。今年3月、「満天」の来場者は04年3月のオープンから400万人を突破した。