金島淑華
2016年7月24日14時53分
「五輪の名花」「東京の恋人」。1964年東京五輪の体操で三つの金メダルに輝き、日本の人々を魅了した旧チェコスロバキア出身のベラ・チャスラフスカさん(74)が、がんに侵され、事実上の余命宣告を受けた。24日であと4年となる東京五輪に「ぜひ行きたい」と以前は話していたが、表現が変わった。「2020年は、雲の上から、大好きな日本に向かって手を振りますね」。穏やかな笑みをたたえ、そう話す。
6月下旬、プラハのカフェでチャスラフスカさんと待ち合わせた。2年半ぶりに会った彼女は黒いリュックを背負っていた。食事はとらず、白ワインと水だけ注文。「水で半分に割って飲むの。少しのワインは健康にいいから」。リュックから伸びた細い管が、右腕につながっていた。「点滴で栄養をとっているから食べなくても大丈夫」
昨年4月、膵臓(すいぞう)にがんが見つかった。10時間に及ぶ手術の後、医師が驚くほどの回復を見せている。そう、聞いていた。
だから、次に彼女から発せられた言葉をすぐには理解できなかった。
「先週、また肝臓にがんが見つかった。もう治療はできないそう。医師から『残りの人生を味わいながら生きて』と言われた。リオデジャネイロ五輪も招待されているけど、ちょっと遠いし……。静かな部屋でテレビで見るつもり」
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