本日の記事は、Amazon ダッシュボタン(dash button)についてです。みなさん、Amazon ダッシュボタンというAmazonが提供しているサービスを、ご存知でしょうか?以前記事にも書きましたが、(以前の記事はこちら→Amazonの中で今後日本に登場するかもしれない新通販サービス10選)2016年6月現在日本ではまだサービス開始されていないサービスです。ざっくり言うと、このサービスはボタンひとつ押すだけで商品が届くという仕組みのものです。こんな簡単にお買い物できちゃうなんて、遂にアニメや漫画の世界の事が現実に起こったようなサービスですね。“IoT”という言葉が話題の近年、このAmazon ダッシュボタンは私たちの生活にどんな変化をもたらしてくれるのでしょうか?この記事では、そんなAmazon ダッシュボタンの登場から、製品の特徴、Amazon ダッシュボタンから読み取れるAmazonの狙い、メリット・デメリットなど様々な点から見ていきます。
Amazon ダッシュボタンの誕生
Amazon ダッシュボタンは、2015年4月4日に米国でサービス開始しました。このサービスについて、Amazonからアナウンスがあったのは、エープリルフールの前日だったみたいなので、アメリカ国内では、Amazonの一種のアメリカンジョークと捉えた方も少なくなかったそうです。確かにそう思ってしまうほど、夢のような商品ですよね。実際に登場すると、厚さおおよそ2cmで、商品ブランドがラベルに大きく貼られている小柄でかわいらしい外見のボタンです。発売当初から現在に至るまでAmazon ダッシュボタンはとても注目されています。
Amazon ダッシュボタンってどうやって使うのか?
そんな子供のおもちゃみたいなAmazon ダッシュボタンでどうやって日用品や食品などが買えるかを簡単にご説明します。
1:Amazon ダッシュボタンの注文
Amazon ダッシュボタンは、Amazonのサイトで他の製品を買うのと同じように$5で購入します。この購入時の価格の$5は、ボタンが届き、実際にボタンを押し、その商品の注文が完了するとAmazonから$5分のAmazonクレジットが付与されるので、Amazon ダッシュボタン自体は実質無料です。ここから、Amazonはハードウェア自体で利益を上げようとはしてないことが推測できますね。
2:Amazon ダッシュボタンの購入後の手順
Amazon ダッシュボタンを購入後、設定をする必要があります。まず、お持ちのiPhoneかAndroidに最新のAmazonアプリをダウンロードします。そして、アプリ内のアカウント設定内にある、Amazon dash buttonのセットアップの手順にしたがって、Wi-fiとパスワードを設定します。その設定の次に、ボタンを押したときに注文される商品を決定します(この時、1つ単位の販売だけでなく、5個セットなどまとめ買いも可能です。)。以上で、設定が完了します。ボタンを押してみると、先ほど設定したiPhoneまたはAndroidに注文を受けたという旨の通知が来ます。仮に、その後数度連打しても、すでに注文は完了しているとの通知が届くだけなので、子供がいたずらで注文後連打しても大丈夫ですね。配送完了後、また次の利用ができます。
Amazon ダッシュボタンのラインナップと売上ブランドシェア
Amazon ダッシュボタンは、発売当初は20種類以下のラインナップでしたが、現在は、150種類以上の商品ラインナップがあります。発売当初、その商品ラインナップは、Tideなどの洗剤や、レッドブルなどの飲料など日常でよく消耗される手近な商品が多かったですが、現在は、おもちゃなど少しずつ商品のカテゴリを広げています。さて、現在どんなブランドがAmazon ダッシュボタンを利用して購入されているのか気になりますよね?1010dataにおける、2015年5月ー2016年1月のブランドごとの売上シェアは以下の通りになります。
ブランド | 売上シェア(%) |
---|---|
P&G | 31% |
Kimberly Clark | 14% |
Clorox | 11.7% |
Pepsi co | 7.5% |
SC Johnson | 5.5% |
Kraft Heinz | 5% |
Reckitt Benckiser | 4.3% |
Amazon | 4.1% |
Coca cola | 3.7% |
Wellness | 2.6% |
以上のようになりました。やはり、Tideなど市場シェアが高いものをもつP&Gは、Amazon ダッシュボタンの売上シェアも高いです。2位のKimberly Clark(キンバリークラーク)、3位のClorox(クロロックス)は日本ではなじみのないブランドですが、Kimberly Clarkは、健康・スキンケアの会社、Cloroxは、一位のP&G同様洗剤を主に扱っている会社になります。他にも、JohnsonやCocacolaなど洗剤や化粧品や飲料が多いですね。
しかし、米ウォールストリートジャーナル誌が以前Amazon ダッシュボタンについて記事にした中で引用されたSlice intelligenceのデータによると、現在、昨年3月にAmazonボタンを購入した人の50%弱の人しかAmazon ダッシュボタンを日常で利用して商品を発注していないみたいです。その指摘について、Amazon側は、過去3か月において、Amazon ダッシュボタンを日々利用している人達の注文回数自体は2倍に上がっていて、全体でも70%の注文数の増加があり、今後も利用者も増加する見込みがあると主張しています。日本からでは実際のところはわかりませんが、時間が経つにつれて本当にAmazon ダッシュボタンをユーザーが利用しているかはわかるはずなので、アメリカから発信される記事やAmazonの発表には注目したいですね。
Amazon ダッシュボタンのメリット・デメリット
色々便利そうな、Amazon ダッシュボタンのメリット・デメリットはなんでしょうか?以下に列挙してみました。
メリット
- ボタン押すだけなので、手間がない
- 定期購入より、在庫を抱えるリスクが少ない。
- 後で頼もうと思って、忘れるといったリスクがない。
など
デメリット
- ふつうに注文しても、数分で終わるのでボタンをわざわざ買って設定するのが面倒
- 定期購入のほうが安い
- ラインナップが100種類以上とはいえどまだ少ない
- 子供がいたずらする可能性がある(もちろん通知が来るのでキャンセルはできる)
- まだ試験的なものなのでエラーの可能性もある
- 購入の都度、値段を見て買うことが出来ない
- わざわざ一つの種類の商品だけが梱包されて送られてくるのは少しおおげさ
などです
以上、メリット、デメリットを挙げました。実際に使うとなると、便利な反面、自分が使ってるブランドがなかったり、設定が面倒になってきたりしますよね。
Amazon ダッシュボタンを自分でプログラム
Amazonは、他にAWS IoT buttonというものも販売しており。それは、Amazon ダッシュボタンと異なり、自分で押したときに届く商品を決めることが出来るという点です。2015年5月に発売開始され、即時売り切れ、現在も3か月待ちという爆発的に人気の商品です。プログラムと言われると、なんだか難しい印象がありますが、Amazon曰く、20行以下の簡単なコードを書くだけでOKとのこと。この商品を利用して、具体的に何かの製品だけではなく、”クリエイティブな人材を24時間以内に派遣する”といったユーモラスなサービスもできるみたいです。このように、AWS IoT button応用すれば色んなサービスの発注が簡単に出来ますね。
Amazon ダッシュボタンを通じてのAmazonの狙い
Amazonは、ハードで稼ぐことが狙いではないことはわかりました。そして、ボタンを利用した注文があっても、洗剤や飲料などは無くなりそうになってやっと注文するものですから、Amazon ダッシュボタンがあるからといって、単価も安い商品ですし、急激に売り上げが増えることはないでしょう。では、AmazonはどうしてAmazon ダッシュボタンを導入したのでしょう?それには、DRS(Amazon Dash Replenishment Service)というものが関係してきます。このサービスは、アメリカで2016年1月にリリースされました。これは、Amazon ダッシュボタンとほとんど同じコンセプトの商品で、わざわざ手動で注文しなくても簡単に注文できるようなサービスです。異なる点は、なくなりそうな時にボタンすら押す必要なく自動で注文されることが出来る(通知が来て、手動で注文する方法もあります。)。そして、対象商品が、GE(ゼネラルモーターズ)社の洗濯機やサムスン社のレーザプリンタ、他にもコーヒーメーカーや浄水器など家電製品が中心です。すべて自動化されていて、単価もある程度高いので着実な収益が見込めるという点があります。したがって、Amazon ダッシュボタンはDRSを本格的に導入するための実験であるという見方もできます。
おわりに
色々見てきましたが、Amazon ダッシュボタンは試験的に実施してる中でデメリットも付随してきますが、明らかに画期的なサービスです。2016年7月上旬現在、日本でこのサービスが来るといった具体的アナウンスはありませんが、これだけアメリカで普及し始めている状況を見るともしかすると日本に来る日もそう遠くないかもしれません。もしこのサービスが世界的に普及し日常的に使われるようになれば世界の小売業が大きく変化し、人々のライフスタイルが劇的に変わるといっても過言ではないでしょう。私たちの家中ボタンや自動発注だらけになっている世界を想像すると少し怖いですが、そんな世界を可能にするかもしれないAmazon ダッシュボタンの動向にはスマートショッピングもとても注目していますので、定期的にアメリカでのアップデートをウォッチしていきます。