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 火山中の岩に含まれる結晶に、噴火前のマグマの動きを示す痕跡が残されていることを、英ブリストル大などの研究チームが見つけた。噴火の前兆をとらえる一つの指標になる可能性があるという。

 研究チームは、長石という鉱物の結晶が、同心円状のしま模様をつくりながら年約0・1ミリ程度のペースで成長することに着目。1980年に50人以上の死者を出す噴火を起こした米国のセントヘレンズ山の火口周辺から長石の結晶を採取し、成長段階ごとの組成を詳しく調べ、形成された時の温度や圧力を解析した。

 その結果、カルシウムやストロンチウムなどの組成から、噴火前の3年間に、地下12キロメートルにあったマグマが8キロメートル程度急上昇し、不安定な状態になっていたことがわかったという。

 すべての火山に当てはまるかはわからないが、今後、世界の火山を調べる予定。ブリストル大のジョン・ブランディ教授は「継続的な調査ができる火山に対しては有効かもしれない」としている。横浜市で1日まで開かれた地球化学分野の国際会議で発表した。(野中良祐)