毎年夏になると、熱中症による緊急搬送がニュースとして取り上げられます。
熱中症は、重症化すると死に至ることもある恐ろしい病気です。猛暑を記録した平成25年では熱中症による死亡者数は1000人を超えました。
熱中症は発症しない予防対策が最も大切ですが、発症後に正しい応急処置の方法を知っていれば、重症化を防いで命を救うことができるのです。
この記事では、熱中症の応急処置の方法について解説します。
熱中症の症状や対策など、詳しくはこちらをごらんください。
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熱中症のサインを見逃すな!
熱中症の処置は早ければ早いほど、救命率を高め重症化を防ぐことができます。まずは、熱中症のサインを見逃さないことが大切です。
次のような症状がある場合、熱中症の可能性があるので十分にご注意ください。
めまい、失神、筋肉痛、筋肉の硬直、大量の汗、頭痛、不快感、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、意識障害、けいれん、手足の運動障害、体温が高い |
炎天下に長時間いく、激しいスポーツをするなど、熱中症が起きやすい環境にある場合は特に体調の変化に注意しましょう。
こんなときはすぐに病院へ
意識障害があるときはすぐに救急車を呼びましょう。意識に影響が出ているのは、かなり重症化した状態です。「ここはどこ?」「名前は?」など簡単な質問に対し、応答が鈍い、言動がおかしい、返答がないといった場合は意識障害があると考えられます。
また、自力で口から水分補給できない場合、点滴や注射で水分を補う必要があるので、すみやかに病院に行きましょう。
救急車を呼んだあとも到着を待つ間は、応急処置を施して症状の悪化を食い止めましょう。
熱中症の応急処置の方法
涼しい場所に移動
風通しのよい日陰か、できれば冷房がきいている屋内に避難し、本人が楽な体勢で休みましょう。顔が青く脈が弱い場合は、足を高くして寝かせましょう。
水分と塩分の補給
冷たい水を本人に持たせ、自力で飲んでもらいます。冷たい飲み物は胃の表面の熱を奪うので、体温を下げるのにも一役買います。
大量の汗が出ているときには、水分だけでなく塩分も補うことができるスポーツドリンクや経口補水液を飲むのが良いでしょう。また、水1リットルに1〜2グラムの食塩を入れた食塩水も効果があります。
意識障害がある場合や吐き気や嘔吐の症状がある際に、口から水分を飲ませようとすると、謝って軌道に流れ込む可能性があります。その場合は、決して無理に飲ませないようにしましょう。
衣服をゆるめて体を冷やす
着ている服を脱がせたりゆるめたりして、体から出ている熱を放散させます。ベルトやネクタイ、下着をゆるめると、風が通りやすくなります。
冷やすときは、服を脱がせて露出させた皮膚に水をかけて、うちわや扇風機などで扇ぐことにより体を冷やします。下着の上から水をかけても良いでしょう。皮膚の温度が異常に高いときは、全身に水をかけましょう。濡らしたタオルを当てるのも効果的です。
氷のう(アイスバッグ)などがあれば、それを首筋の両側、脇の下、ももの付け根の前面に当ててましょう。皮膚表面に太い静脈が流れている場所なので、効果的に冷やすことができます。氷のうがなければ、保冷剤や氷をいれたビニール袋、自動販売機などで買った冷たいペットボトルや缶をタオルでくるんで冷やしましょう。
体温が40℃を超えると全身けいれんなどの危険な兆候も現れます。そのため、体温の冷却はできるだけ素早く行う必要があります。
重症者の命を助けることができるかどうかは、体温をどれだけ早く下げることができるかにかかっています。救急車を待っている間も、体の冷却は行いましょう。
おわりに:応急処置後も症状が改善しない場合は医療機関へ
応急処置を施しても症状が良くならない場合は、医療機関を受診しましょう。病院の内科や救急外来、子どもの場合は小児科で診察を行っています。
熱中症は、7月から8月にかけて急増します。正しい応急処置の知識を持って、非常事態に備えましょう。