自分では気づきにくいいびき。
家族や友人に指摘されて、はじめて自分がいびきをかいていることを知る人も多いでしょう。
いびきは男性に多いとされていますが、実は女性にも増えています。
いびきが原因で、家族と寝室を分けたり、友人との旅行を躊躇するなど、迷惑をかけると悩んでいる女性は多いようです。
また、いびきはうるささだけでなく、重大な病気が隠れていたり、いびきによって新たな病気を招くこともあります。
今回は、軽視しがちないびきについて、原因や対処法を紹介します。
いびきの仕組みとは?
いびきは、呼吸の際に空気の通り道である喉の「上気道」が狭くなることによって起こります。
健康な人の場合、上気道は極端に狭くなることはないため、ほとんどいびきはかきません。
何らかの原因で気道が狭くなると、空気が通過する際に空気抵抗が大きくなり、粘膜が振動することで音が生じます。これがいびきです。
医学的にいびきは、「睡眠中に上気道で発生する異常呼吸音」とされ、「睡眠時の呼吸障害」にあたります。
いびきをかきやすい人は?
いびきは身体的な特徴と生活習慣が関係しています。
以下、自分が当てはまるかどうかチェックしてみましょう。
身体的な特徴
・鼻炎などで鼻づまりが多い
・肥満
・首が短くて太い
・顎が小さい
・舌が大きい
・口蓋垂(のどちんこ)が大きい
・鼻中隔湾曲症(鼻が曲がっている)
生活習慣
・口呼吸が多い
・疲労やストレスが多い
・寝酒が習慣になっている
・睡眠薬を服用している
これらはいずれも気道をふさぐ原因となります。
いびきは、一時的な風邪などの鼻づまり、疲労や飲酒で起きることがあります。
これら一時的ないびきの場合は、原因を取り除けば解消するため心配は要りません。
危険ないびきとは?
いびきが出ていること自体、睡眠の質は決して良いとはいえません。
特に注意すべきいびきを知っておきましょう。
無呼吸を伴ういびき
睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」が問題となっています。
これは睡眠中に、無意識に呼吸が停止する「無呼吸」や、止まりかける「低呼吸」が何度も繰り返される病気です。
睡眠中、「7時間に10秒以上の呼吸停止が30回以上」または「1時間に5回以上の呼吸停止」があれば、睡眠時無呼吸症候群と診断します。
眠るたびに脳も身体も疲労してしまうため、異常な眠気や集中力の低下により、交通事故や労働災害の原因としても多く見らるほど大変危険です。
脳障害のサイン
喉頭がんや、脳腫瘍などの脳の疾患もいびきの原因となることがあります。
普段いびきをかかないのに、突然高びきをかいたら危険だ、というのは耳にしたことがあるかと思います。いびきが脳の障害をこしているサインだという可能性もあります。
合併症にも注意
いびきは生活習慣病との関連も注目されています。
大きないびきをかく人で、尚且つ無呼吸を伴う場合、眠りが浅くなるだけでなく、呼吸が止まるたびに脳内の酸素不足と心臓への負担が大きくなります。
これにより、高血圧、狭心症、心筋梗塞、糖尿病などの合併症を起こしやすいとされています。
自覚症状で疑ってみよう!
いびきをかいているかどうか分からなくても、以下のような症状が見られたら、いびきが原因かもしれません。
・朝起きた時、のどががひどく渇いている
・睡眠時間は十分なのに熟睡感がない
・起床時に頭が重い、頭痛がする
・日中に強い眠気が起きる
・集中力・記憶力の低下
・夜間頻尿
これらが見られたら、早めの対処が大切です。
いびきの対処法
いびきをかいていると分かっている場合、放置してはいけません。
まずは、以下を心がけましょう。
ダイエット
肥満気味の場合、首周りにも脂肪が付きやすく、気道が圧迫されます。
急な体重増加により、これまでなかったいびきが起きることがあるため注意しましょう。
横向きに寝る
仰向けに寝ると舌の付け根が落ちて気道を圧迫するため、いびきをかきやすくなります。
寝るときは横向で寝るようにしましょう。抱き枕などを使うと自然と横向きになるため有効です。
枕の高さを変える
枕が高く、首が曲がる状態で寝ると気道を圧迫し、いびきを悪化させます。首が曲がらないようにタオルで調整したり、ちょうど良い高さの枕に交換することをオススメします。
寝る前のアルコールを控える
アルコールは筋肉を緩める作用があります。もともと睡眠中は全身の筋肉が弛緩しますが、アルコールにより、さらにのどの周りの筋肉が緩んで舌が落ちやすく、気道が狭くなります。
大量にお酒を飲むと一時的にいびきをかくのはこのためですが、慢性的にいびきをかいている人は、寝酒は控えましょう。
口呼吸を治す:鼻炎など鼻疾患は治療を
アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、副鼻腔炎、蓄膿症など、鼻の疾患がある場合、鼻呼吸がしにくく口呼吸が多くなるため、いびきが起きやすくなります。
まずこれらを治療しない限り、いびきは解消されず、重症化につながることがあります。耳鼻咽喉科へ相談しましょう。
専門医に相談を
大いびきで無呼吸が伴う場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
睡眠時無呼吸外来がベストですが、近くになければ、呼吸器内科や耳鼻咽喉科へ相談しましょう。治療方法はマウスピース治療や、鼻に装着したマスクから空気を送りこむCPAP(持続陽圧換気療法)などがあり、状態に合わせた治療方針を相談できます。
自力で何とかしようとしても悪化が進むことがあるため、早めに医師へ相談することが大切です。
自分と家族のいびきチェックを!
快適な眠りは健康の最も基本になるものです。いびきが続くと、体調不良から仕事の効率が落ちたり、事故やケガを引き越すことにもなりかねません。
また心理的にも、いびきが恥ずかしいと思い、行動範囲が狭まったり、生活スタイルを変える必要に迫られるケースも少なくありません。
いびきは自分では分からないことが大きな問題ですが、もし誰かから指摘されたり、家族のいびきに気づいたら、放置しないことが大切です。