プーチン大統領が「大ユーラシア経済」構想
【モスクワ真野森作】ロシアのプーチン大統領は17日、ロシアが主導する旧ソ連5カ国の経済ブロック「ユーラシア経済同盟」に中国やインドなどを取り込み、「大ユーラシア経済パートナーシップ」に発展させる構想を打ち出した。ウクライナ危機で関係が悪化した欧州諸国にも参加を呼びかけた。
米国の影響から外れた巨大経済圏を形成し、自国の将来の成長につなげたい狙いとみられるが、実現性は不透明だ。毎年恒例のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでの演説で語った。
ロシアと中国は昨年5月、中国が推進する陸と海のシルクロード経済圏「一帯一路」構想と、ユーラシア経済同盟(露、カザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、キルギス)との連携に合意している。プーチン氏は「大ユーラシア」という新たな概念を付け加え、広範な経済統合を主導したい考えだ。
ロシアは日米など12カ国が参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について「秘密主義」と批判的で、大ユーラシア経済パートナーシップは「開かれたものになる」とアピールした。
一方、今回のフォーラムには主要7カ国(G7)からイタリアのレンツィ首相が参加。プーチン氏と並んで登壇し、「ロシアにおけるイタリアの存在感を強化したい」と経済関係改善に積極的な姿勢を示した。両国はこの日、首脳会談を経てイタリア製ヘリコプターの供与など総額13億ドルの各種ビジネス契約に調印。G7や欧州連合(EU)が対露制裁を続ける中、結束のほころびが露呈した形だ。