旅先の本屋で一目惚れして買った写真集。遠い国の美術館で手にした思い出の画集。運ぶのも、開くのも、ちょっと重たい。けれどもその重ささえも愛しくて、心を決めてお財布を握りしめ、ようやく手に入れた時、秘かに人生の味方を得たような気持ちにさせてくれるのです。
昔ほど身軽に動くことができなくなった今、お気に入りの本たちの出番は、なかなかやってこなくなりました。慌ただしい日常とは切り離されて、彼らは静かに本棚で眠っている。
久しぶりに思い出して手に取ると、懐かしさと同時に心は動き出します。美術館のように、身体全体を、緊張感や高揚感や充足感で包み込む力はないけれど、パラパラとページをめくるだけで、心の中で何かが響き始めるのです。
忘れていた感覚。目醒める感触。染み込む静けさ。解れていく感情。
非日常的な存在の本たちは、もしかすると日常に寄り添う存在になれるのでは。本棚で眠らせているのは、ものすごくもったいないことなのでは。
そんな想いを出発点に、今日から3日間に渡り、特集「インテリアとして飾れる写真集・画集たち」をお届けしたいと思います。
当店のメンバーの共通点は、アートの力をそれぞれが信じていること。これまでの人生、心と脳裏に色濃く残ったアートの出会い、というものをもっています。そこで、各メンバーの家の本棚で眠っているであろう、写真集や画集をひっぱり出して、飾って楽しめる本たちを紹介したいと思います。
第1回は、当店の運営会社non-standard world, Inc.のアートディレクター・佐藤が選んだ本たちをご紹介します。WEB制作会社のアートディレクターを務めながら、フォトグラファーとしての一面ももつ佐藤。どのページを開いても心が潤うような本たちを紹介してくれました。
リビングに飾って、子どもも大人も味わう。
アートディレクター佐藤のおすすめ
毎朝同じ時間に、同じ海を同じ画角で撮り続けた写真集
Robert Weingarten “6:30 am”
Q.購入したきっかけ
とある洋書屋で何気なく手に取り、シンプルなコンセプトと空の色の変化を再発見するような写真に惹かれて購入しました。
Q.オススメのページ
写真家の自宅の窓から、毎朝同じ時間に、同じ海を同じ画角で撮り続けた写真集。同条件という縛りがあるからこそ、全て並べると色とりどりのパレットのように変化する空が、一層印象的にうつります。その日の気分で、しっくり来るページがまた違うのではないでしょうか。


Q.どんな時に飾りたいか
忙しくて自然に目をやったり季節の変化に耳を傾ける時間が取れないような時に飾りたいです。
単にきれいなだけでない植物の力強さも感じられる本
Nick Knight “Flora”
Q.購入したきっかけ
インターネットでたまたま見かけて、Amazonですぐに購入しました。
Q.オススメのページ
ファッション写真家であるニック・ナイトによる、押し花の写真集。透過光も使って、植物のフォルムが印象的に切り取られ抽象化された画面は、単にきれいなだけでない植物の力強さも感じられるのが魅力。中でも、唯一見開きで登場するピンク色の植物の写真は、この写真集のハイライトとなっています。
Q.どんな時に飾りたいか
少し、頭に新鮮な刺激が欲しいときに飾りたいです。
子どもと過ごす空間と時間にも飾れる一冊
Bruno Munari “Zoo”
Q.購入したきっかけ
学生時代、この作家の『きりのなかのサーカス』という本をカフェで見かけ、興味を持って他の作品を探していた時に知り、数年経って子どもがうまれてから購入しました。
Q.オススメのページ
象の重厚な質感と、軽やかな小鳥のタッチの対比。 余白を生かしてトリミングされたシマウマに対して、画面全体に広がるカラフルな鳥たちといった、ページ間の対比がおもしろいです。
Q.どんな時に飾りたいか
子どもと過ごす休日、リビングに。
お気に入りの本、私はこんな風に飾りたい
Robert Weingartenの “6:30 am”は、リビングに置いておいて一日の終わりなど、句読点のように一息つく時間を持ちたいときに手に取れたらいいなと思います。
佐藤が選んだ本たちは、どれも日々に彩りを添えてくれる、毎日の暮らしの中で目に入れたいようなものばかりでした!こうした写真集や画集は、ただ心を癒やしてくれるだけでなく、普段とは異なる視点を私たちに教えてくれているような気がします。
明日は、現代アート好きのデザイナー南舘に、たっぷりとおすすめ本を教えてもらいました。ちょっと尖った本もあったりと、写真集の中から広がる非日常感をお届けします。(第2回へ続く)
▼今日ご紹介した本
















