ママチャリが疾走する。特徴的なパーマ、セーラー服、ふっくら体型にガーターベルト。やっと見つけた。サザエさん女子高生。
≪10日前≫
地元の小さな駅のターミナル。マクドナルドの前で座り込んで煙草を吸う輩たち。ヤニで黄色い歯。僕を見つけると3人立ち上がる。
「まるでダチョウ倶楽部だな」と僕。
3人はお互いを見てくっくと笑い出した。
「うまいこというじゃねえか」と上島。
「バカにされてんだよっ」突っ込む肥後。
「なめてるとボコるぞ。ほんま」と寺門。
「最初からそのつもりだろ?」と僕。
僕はこの3人を知らない。おそらく苺がケンカをふっかけたのだろう。僕は俗に言う多重人格者で2人妹(人格)がいる。苺とミルク。
苺は正義感の強い空手の有段者。ミルクは退廃的な世界を好むライトノベル作家だ。僕は普通の引きこもりニートである。
「なにぼけっとしてやがんだよっ」寺門。
「この前のはなんだったんだ?」肥後。
「久々の獲物だと思ったのによ」上島。
ガッ、ゴッ、パーンッ、バキッ、ドゴッ。
一方的に振るわれる暴力。流れる赤い血。口の中に錆びた鉄の味がする。あーあ…。
僕の時間は終わった。血が苺の出てくるサイン。「アニキ、相変わらず弱えーな。こんな三下どもにやられるなんて」苺が言う。
「目つきが変わったな。誰から行く?」と寺門。3人が手を上げ、2人が「どうぞどうぞ」と上島に1番をゆずる。
だがあっけなく3人は僕(苺)に倒された。
シリアルキラーに勝てるやつなんていないんだ、と苺が僕と意識を変えようとした時、軽自動車からパンチパーマの男が出てきた。
「ラスボス登場……」とパンチパーマの男。
→パンチパーマと殺戮本能につづく。読み終わったら、ここに戻ってきてね〜
「えっ!まじっ?なんでこいつが…」苺
『どうした苺?なんかやばいのか?』僕
「アニキ、負けたらごめ……ぐはっ!」苺
僕(苺)の体が宙に浮く。まじかこいつ、パンチが速すぎて見えなかった。ハンマーで殴られる衝撃。こんな奴がいたなんて。
ジャブ、ジャブ、フック、ストレート、アッパー、ボディ、フック、頭突き、アッパー、
「きゃあ、アニキ、助けてっ!」苺の叫び。
ドスンと倒れる僕の体に跨り執拗にパンチを繰り出してくるパンチパーマの男。こいつ出所してたのか、殺戮本能ヤロウ。
頭の中に響く苺の叫びに耳を塞ぎたくなる。苺の泣き声を聞くのは初めてだ。ミルクも悲鳴を上げている。僕は何もできない。
パンチパーマの男が鉄パイプを僕の頭に振り下ろそうとした瞬間に、白い小さな三角形の布切れが目に入った。レースのパンティ?
「サザエでございまーす!」とハイキック。
「え?」と苺、僕、ミルク。
「なんだてめえ!」パンチパーマが叫ぶ。
「うちのカツオになんてことしてくれんの、このお返しは100倍よ!百烈キック!」
ストリートファイターの春麗の技である。
高速なキックは一旦発動してしまえば体力ゲージが0になるまで逃がれることはできないハメ技である。僕はチラチラする白いパンティに目を奪われながら意識を無くした。
→シリアルキラー(苺ミルク)につづく。読み終わったらここに戻ってきてね〜
≪10日後≫
ママチャリが疾走する。特徴的なパーマ、セーラー服、ふっくら体型にガーターベルト。やっと見つけた。サザエさん女子高生。
「あのっ!すみません!」と僕。
「えっ?」キキーッと煙を上げて止まるママチャリ。サザエさんカットの女子高生が「あらカツオ、どうしたのこんなところで?」
女子高生が驚いている。
『頑張れアニキ!当たって砕けろ!』苺
『大丈夫。勇気を出してお兄ちゃん』ミルク
「好きです!付き合って下さい!」僕
サザエさんカットのぽっちゃり女子高生は、こう言った。ミニスカートから覗くガーターベルトを引っ張りあげながら。
「本気ならクッパ大魔王の涙を持ってきて。そしたら付き合ってあげる」
「「「やった!」」」僕、苺、ミルク。
今、僕はクッパの涙を手に入れるために頑張っている。
→スーパーマリオブラザーズ「長い旅路の果てに…」につづく。読み終わったらここに戻ってきてね〜
長文お付き合いありがとうございました。今、僕はサザエさん女子高生と、手をつないで歩いている。女性と付き合うのは始めてなので、諸先輩方にコメントをいただけると助かります。