評価:★★★★★ 5.0点
この映画の、上から下、横から斜め、押しつぶされ、飛び跳ね、燃え上がり、溺れかけ、落とされ、走らされ、閉じ込められ、魔法にかけられ、撃ち、殴り、駈る、像に乗り、人力車を放り投げ、毒を飲まされ、キスをする。
サービスが過剰すぎて、ちょっと休ませてと言いたいぐらい、たっぷりコッテリ楽しませてくれます。
ストーリーは主人公インディー・ジョーンズ(ハリソン・フォード)の宝探しの物語です。
前作の「失われた 聖櫃」はアフリカを舞台に、ナチス・ドイツを敵に回しての冒険物語でした。
今回は舞台をインドとしてマハラジャの宝を、邪教集団と奪い合う物語です。
一見したところ設定がスケールダウンをしたように感じられるかも知れませんが、実を言えば敵や舞台を絞り込む事で、より自由にアクションに集中できるようになり、個人的にはシリーズ最高傑作だと思います。
かつて、スピルバーグがルーカスに自分の撮りたい映画の夢として、「007」のような作品と話していいたそうですが、まさにこれがその一作だと感じます。
立派なテーマらしいテーマはどこにもありませんが、実はそれは「OO7」のようなイギリス冒険小説の真髄であり伝統のようにも感じます。(なぜなら、「イギリス冒険小説」は「イギリス貴族」を読者にしてきたため、人生に不満といえば「退屈」ぐらいの彼らにとって、ヒマな時間を紛らわせてくれる娯楽であれば、それでいいのです。物語の「テーマ」とは、しょせん、貧乏人がどうすれば金持ちになれるかという疑問に対する、答ではないでしょうか?)
この1970年代のハリウッドはベトナム戦争などもろもろの影響で、1940年代の黄金期のようにアメリカ的な「民主主義」「自由・平等」などの価値観を謳えないため「強いテーマ性を持つ映画」が作りづらい時期でした。
それでハリウッドの映画界は、新しいビジネスモデルとしての映画の形を模索していた時期だったように思います。
そんな時にスピルバーグとルーカスは、この映画のように特殊効果を駆使して、テーマなど必要ないぐらいに刺激たっぷりのエンターテーメントを提供することで、ハリウッド映画の歴史に新しい「モデル」を提供したと思うのです。
そしてこの映画によって、観客というのはテーマが無くとも遊園地のような刺激に満ちていれば、その作品を支持するという事実を知ったハリウッドは、以降この『遊園地』映画をヒット狙いの超大作で展開する事となります。
それは、お金を掛けてでも今まで誰も見たことのない、ビジュアルイメージを作り上げ、そこに観客が眼を離せないスペクタクルを盛り込むという方法論で、程度の差こそあれ『ブロック・バスター』と呼ばれる、大作映画では欠かせない手法として定着しています。
しかし考えて見れば、この「007」のような英国冒険小説風の『遊園地』映画というのは、かつてのハリウッド黄金期にも一つの流れとして有ったものです。
イギリス出身のアルフレッド・ヒッチコック監督のサスペンス映画がこそがそれです。
そのヒッチコックの流れを継ぐ作品だとすれば、この映画は新しいビジネス・モデルというよりは、いっそのこと『ハリウッド・ルネッサンス』と呼ぶべきかもしれません。
ま〜ぐちゃぐちゃ書きましたけど、見終わった後に絶対「あ〜面白かった」って言いますから、アタマ空っぽにしてインディと一緒に冒険の旅に出よう!!!
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ありがとうございます。じいちゃんになってますね。ただし、特報!!!2019年インディシリーズ新作公開だそうです・・・がんばれハリソン・フォード(笑)