子供の教育や躾(しつけ)をするにあたって、子供を褒めて育てている親、それとは逆に怒ることで育てている親、またそれらを併用して、褒めたり、怒ったりしながら育てている親、その他それぞれいると思います。
僕は、褒めるだけをつかい、怒ることはしない方法で子供の躾をしています。僕には、この方法が正しいのか、間違っているのかは、よくわかりません。(今のところは正しいと思っています)
しかし、どの教育方法をつかうにしても共通するとても重要なことがあります。
それは「一貫性を保つ」ということです。一貫性を保って子供を褒め、叱り、怒り、罰して育てなければ効果はなく、子供を教育することはできません。
そこで今日は、教育や躾をするうえで一貫性を保つことについてのお話ししたいと思います。この話は、相手が子供の時だけの話ではありません。相手が誰であるかは関係ありません。子供だろうが、部活の生徒だろうが、会社の部下だろうが、犬やイルカように動物であろうが同じです。何かを教える人は、どんなやり方であれ、必ず一貫性を保って、教えられる人と接しなければ、効果を得ることはありません。ですので、このお話は、誰かに何かしらを教えている立場の人には参考になる内容だと思います。
一貫性とは…
一貫性という言葉を調べてみると、
始めから終わりまで同じ一つの方針・考えによっていること。by goo辞書
とあります。言い換えると、最初から最後まで方針や考え方に矛盾がなく、同じ態度で接すること、それが一貫性があるとなるでしょうか。
教育や躾をするときには、常に同じことを言い、同じ態度で接しなければならないのです。
逆に一貫性がないとはどういうことでしょうか。親が子供を褒めたり怒ったりする時に、言っていることがその都度違っていたり、パパとママでは怒る基準がバラバラになっていることです。
例えば、子供が抱っこをしてほしいと言ったときに、すべての要求に一貫性ある返答をしていますか? 抱っこするときもあれば、しないときもある。機嫌がいいときはして、機嫌が悪いとしない。それでは、子供は混乱し、何をどうすればいいのかわからなくなってしまいます。
それが何度も繰り返されると、子供は親を信頼することをやめてしまいます。端から親の言ってることに耳を傾けなくなってしまうのです。
会社員なら一貫性のない上司にイライラした経験はないですか? 先日は、同じ状況でなんにも言わなかったくせに、今日はなぜだか怒れた。Why?って経験ありますよね。これは子供も同じなのです。
一貫性を保つことは簡単ではない
一貫性を保って常に同じことを言い、同じ態度で接することは簡単ではありません。親も人間です。その日の体調や気分、その時の環境によっても、言うことや態度が変わってしまうことはよくあることです。
子供が良いことをしても、忙しくて褒めれないときもあります。悪いことをしても、人前だからって怒れないときだってあります。しかしそれでは、子供をしつけることなどできないのです。簡単なことではないことはわかりますが、できる限り一貫性を保つ努力をしなければならないのです。
イルカやアシカの場合はどうでしょうか?
水族館で、イルカやアシカをトレーニングする時に、この一貫性は保つことはとても重要になってきます。そして多くのトレーナーが一貫性を保つむずかしさに苦労しています。なぜなら、トレーナーも会社員です。365日毎日イルカと一緒にいるわけではありません。休みもあります。一頭のイルカを複数名で担当し、トレーニングやパフォーマンスを行わなければなりません。複数名で行う場合は特に、一貫性を保つことは難しくなります。ではどうやってこの問題に対応しているのでしょうか?
新しく教えることは一人が行う
イルカやアシカには毎日新しいことを教えます。ジャンプだったり、検温することだったり。
そして新しく教える種目は、必ず一人のトレーナーが教えます。最初から最後までです。他のトレーナーは口は出しますが、手をだすことはありません。一貫性を保つためです。教えはじめた初期の段階は、褒める基準やタイミングは非常に微妙なものになります。それを複数のトレーナーで教えてしまうと、それがバラバラとなりやすく一貫性を保つが難しくなるからです。
コミュニケーションは重要
新しく教える種目以外は、複数名の担当者でトレーニングを行います。メイン担当のトレーナーが休みの日は、サブ担当のトレーナーがイルカショーを行います。
前日のイルカの状態や様子を必ずメイン担当はサブ担当に伝言します。その日できたこと、できなかったこと、体調や精神状態など、動物の日々起こる変化や状況を、トレーナー同士が共有するのです。これはすごく重要なことです。例えば、今日はジャンプが高くて褒めてあげた、とか、今日はオスイルカとケンカしたから、オスイルカの近くにいったら落ち着きがなくなるよ、などです。本当はもっと細かいのですが、このようなことを常に担当者同士で伝言しあうように心がけているのです。しかしながら、担当のトレーナーが増えれば増えるだけ一貫性を保つことは難しくなります。その場合、メイン担当が休みの日はショーやトレーニングを一切行わず、健康診断と餌を食べるだけの休日にする場合もあります。(特に陸上動物の場合は多い)
パパとママが一貫性を保つには?
それだけ一貫性を保つことは難しいことです。特にパパとママが一緒になって子育てする場合はむずかしいです。ここに、おじいちゃんやおばあちゃん、学校の先生や塾の講師が加わればなおさらです。おじいちゃんのお家に遊びにったら、今までできてたことが、急にできなくなった、ってことありませんか? これは、パパやママとおじいちゃんおばあちゃんのやり方に一貫性がないからです。
ですので、子供が混乱することがないように基本的には新しく教えることは、できる限りパパかママのどちらか一人が教えたほうが良いでしょう。我が家では、パズルのやり方、ストライダー、お風呂の入り方などは僕が担当し、箸の持ち方やお着替えはママの担当です。役割分担をすることで一貫性を保ちやすくなります。
二人で躾を行う場合や、完成したりある程度できるようになったことは、パパとママでコミュニケーションを図り、子供の情報を共有しましょう。二人で一貫性を保って接するように心がけてください。おじいちゃん、おばあちゃんも参加するのであれば、一貫性を保つように協力してもらいましょう。
子供は何ができて、何ができないか、この時はうまくいかないことがある、機嫌が悪いときはこうやって接するようにしよう、などです。
すごく大変なことですが、すごく重要なことです。
親が一貫性を保って行動ができれば、子供も周りの環境に左右されることなく一貫性のある行動ができるようになるでしょう。(例:ママの機嫌が良くても悪くてもルールをきちんと守ること)
まとめ
- 教育や躾には一貫性を保ちましょう。
- 新しく教えることは完成するまで、誰か一人が教えましょう。
- 親はコミュニケーションを図り、子供の情報を共有しましょう。
ここまで一貫性を保つことが大事だと話をしましたが、どうしても一貫性が保てないときはあります。必ずあります。と、いうかたくさんあります。
その場合は、どうか正直にそれを子供に伝えてください。今はなぜいつもと違うことを言っているのか、なぜ一貫性がないのか、その理由を正直に話せば子供は理解してくれるのではないでしょうか。(イルカには無理です)
最後に
いきなりすべてにおいて一貫性を保つことは難しいと思います。まずは簡単なことから始めてみるのもいいかもしれませんね。例えばこちらの「子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方 (PHP文庫)」のなかでは親が一貫性を保つ3つのルールが紹介されています。
- 子供の甘えをすべて受け入れる
- やりたいことはすべてやらせる
- 危険なことは絶対にダメ
どれも難しそうですね。どれか一つからだけでもはじめてみるのもいいかもしれませんね。