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 無料通信アプリ「LINE(ライン)」で賭け事を募るのは「賭博場の開帳」にあたるか――。明治時代にできた刑法の処罰対象の解釈をめぐり、検察と弁護側が対決する野球賭博事件の裁判が大阪地裁で始まる。賭博場は物理的な空間に限定されないとする検察側、電子空間は法の想定外で拡大解釈は不当とする弁護側。司法の判定はどうなる?

 この事件は、大阪府藤井寺市の建設業ダルビッシュ翔被告(27)がラインを使い、野球賭博の胴元となって昨年4~10月に友人ら数十人から969回、総額1億円余りの賭け金を集めたとして刑法の賭博開帳図利(とり)罪に問われたもの。プロ野球や米大リーグの試合結果を予想させ、1口1万円を募ったとされる。

 被告は10月末に大阪府警に逮捕され、起訴後に保釈された。取材に応じ、「幼なじみの友人との仲間内の行為。利益のためにやったわけではない」と無罪を主張。「暴力団とのつながりもない。裁判で事実を訴えたい」と話した。事件に絡み、自らが賭け客になったとする常習賭博罪は認め、集めた金の使途は公判で明らかにするという。

 賭博開帳図利罪は、「賭博場を開いて利益を図った者」に3カ月から5年以下の懲役刑を科す。今年1月に始まった検察と弁護側の協議で「賭博場」の定義が争点に浮かんだ。