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制服警官で「見せる警備」ソフトターゲット重点

鉄道利用者らが行き交う横浜駅を巡回する警察官=横浜市西区

 26日から2日間行われる伊勢志摩サミットまで1週間を切り、神奈川県警はテロ警戒レベルを引き上げて新たに機動隊を数百人規模で動員するなど、県内の警備を本格化させている。首都圏が無差別テロの標的となる事態を想定し、横浜市内のターミナル駅やイベント会場など警戒の目が隅々にまで行き届きにくい「ソフトターゲット」では、制服姿の警察官が警戒する様子をあえて見せることでテロの未然防止を目指す「見せる警備」を展開する。【村上尊一、木下翔太郎】

     多くの鉄道利用者や買い物客が行き交う横浜駅では20日夜、「特別警戒」の腕章を付けた警察官が巡回を繰り返した。駅中央通路のJR線改札付近には二つの見張り台(高さ約30センチ)が設置され、機動隊員が周囲に目を光らせていた。

     近年の国際会議は、開催地から離れた大都市で無差別テロが起きる傾向がある。県警は公共交通機関をはじめ飲食店やショッピングモール、劇場、競技場といった警備が比較的緩やかで、パリとベルギーの同時テロで狙われたソフトターゲットを重点的に警戒。横浜、川崎両市内の駅や走行中の列車で、警察官の巡回を増やした。サミット直前には、爆発物の成分を嗅ぎ分ける警戒犬を投入し、不審物の発見に努めるという。

     ただ、こうした人海戦術には限界がある。ドローン(小型無人機)を使う新手のテロも懸念され、県警幹部は「利用者にも『不審な人や物を見過ごさない』という危機意識を共有してもらいたい」と話す。県警は民間事業者に協力を呼びかけており、横浜ランドマークタワーなど横浜・みなとみらい地区の複数の商業施設は、ゴミ箱の撤去やコインロッカーの封鎖を自主的に実施、鉄道各社も同様の取り組みをしている。

     このほか県警は、サイバー攻撃対策として、電気、ガスなどインフラ事業者との緊急時の連絡体制を整え、専門知識のある捜査員を24時間待機させる。また、海外のテロで使用された爆弾は製造方法がネット上に公開され、原料の化学物質が市販されていることから、不審な客に原料の用途を確認するよう販売側に要請し、ロールプレーイング形式の共同訓練を行っている。

    「単独便乗」も警戒

     「テロリストは海外からやって来るとは限らない。普段は周囲に溶け込み、内に秘めた疎外感や怒りを解消するきっかけを探している」。県警幹部は組織的なテロばかりではなく、インターネットで過激な思想に感化されたり、世間への反発を抱いたりして、単独の人物がサミットに便乗して起こす行動にも警戒している。

     昨年12月に横浜市の韓国総領事館に「靖国爆破への報復」と書いた紙を貼った箱を投げ込んだ男(23)=威力業務妨害罪で公判中=は、在日韓国人を批判している団体名を現場に残した。だが組織的背景は浮上せず、県警は前月に靖国神社のトイレで爆発音がした事件が引き金になった単独行動とみている。

     今月13日には小田原市内の河川敷で、時計とリード線、ガスボンベが組み込まれたプラスチック製ケースが見つかり、住民が一時避難する騒ぎが発生。県警の爆発物処理隊が出動して危険性のないことを確認した。捜査関係者は、「爆発物に見せかける意図で作った印象。あえてサミットが近いこの時期を狙って放置したなら、悪質だ」と話した。

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