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関連法第一人者、大島元教授しのぶ会開催へ

在りし日の大島俊之さん=2008年撮影

 性同一性障害(GID)に関する法律研究の第一人者で、今年2月に68歳で亡くなった元神戸学院大教授、大島俊之さんをしのぶ会が28日午後2時、大阪市北区梅田2の梅田ガクトホールで開かれる。戸籍の性別変更の手続きを定めたGID特例法(2004年施行)の理論的支柱だった。【高瀬浩平】

    特例法の理論的支柱

     大島さんの専攻は民法。医師が多数を占めるGID学会では法律家として唯一、理事長を務めた。メディアや講演を通じ、広く社会に法の不備を訴えた。

     2月19日に肝硬変で亡くなった。大阪医科大准教授の康純さん(神経精神医学)や、当事者で高校教員の土肥いつきさんらが「大島さんがいなかったら特例法はなかった」と、しのぶ会を企画した。会場に遺影を掲げ、土肥さんが弔辞を読む。参加者にはノートに思いをつづってもらい、家族に手渡す。

     大島さんは1983年、GIDの当事者に戸籍の性別の訂正を認めるよう主張する法律の論文を発表。(1)性同一性障害だと診断された(2)性別適合手術を受けた(3)現に結婚していない−−の3点を性別変更の条件とするよう唱えて「大島三要件」と呼ばれた。

     20年後の03年、議員立法で特例法は成立した。立法の過程で、大島三要件に「現に子がいないこと」の条件が加わったが、法律上も自ら望む性別で生きる道が開かれた。弁護士でもあった大島さんは、子どもがいて性別を変更できない当事者のため、裁判所への申し立てを支援。法改正の必要性を説き、08年に「現に未成年の子がいないこと」に緩和された。

     一般社団法人「gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会」によると、15年末までに6021人が性別を変えた。最近は当事者の負担が大きいとして、手術を要件から外すよう訴えた。大島さんは「法制化を優先させたので、要件が厳しかった。21世紀型の特例法にしたい」と語っていた。

     当事者や医師らとお酒を酌み交わし、深夜まで語ることで研究の糧とした。しかし、肝臓を悪くし、入退院を繰り返した。今年1月には大阪市内であったNPO法人「関西GIDネットワーク」の会議にも駆けつけた。

     康さんは「国内で特例法ができたのは奇跡に近い。大きな業績を残された」と敬意を表す。土肥さんも「社会を変えられることを教わった。特例法も枠組みを変えられるかどうかは自分たち次第だと思う」と悼んでいる。問い合わせは同NPO(06・6346・0569)。

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