IS捕虜を待つ“報復処刑”の末路
収容所開設に逃げ腰の米政府


佐々木伸 (ささき・しん)  星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

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米国が過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いで大きな厄介事に悩んでいる。今後のIS壊滅作戦で予想される捕虜の取り扱いの問題だ。生き残って捕まった戦闘員が増えるにつれ、報復のため手当たり次第に処刑される事態が憂慮されるからだ。かといって米政府には、捕虜収容所を開設するつもりは一切なく、新たな難題に頭を抱えている。

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アフガンの悪夢再び

 イラクとシリアでのISの劣勢は日増しに明らかになりつつある。IS側はこれまでに両国にまたがる占領地の30%以上を失い、幹部の半分以上が死亡し、戦闘員も米主導の有志連合の空爆などで2万5000人以上が殺害された。

 幹部の死亡では、軍司令官のオマル・シシャニが3月の空爆で、またナンバー2のハジ・イマムが米特殊部隊によって殺害された。最近では5月6日、イラク西部のアンバル州で、ISの前身「イラクのアルカイダ」からの大物幹部であるシャキル・ワヒブが空爆で死亡した。

 米国とイラク軍は近く、バグダッドから約80キロ西にあるファルージャの奪回作戦を開始し、来年にはIS最大の占領都市である北部のモスルを攻略する計画だ。このため、オバマ大統領は最近、前線近くに米軍顧問団を配置することを承認した他、新たにアパッチ型攻撃ヘリ部隊を増派しつつある。

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佐々木伸(ささき・しん)

星槎大学客員教授

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