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復職5年、5割が勤務継続 大企業社員追跡調査

 がんと診断されて復職した大手企業会社員の約半数が5年後も継続して働いていることが東京女子医大の遠藤源樹助教の大規模調査でわかった。がん患者の長期の追跡実態調査は日本で初めてで、復職後の実態が判明した。中小企業ではがん患者本人や企業が仕事をあきらめる例が多いが、遠藤助教は「復職支援を充実させれば、がんを患ったベテランを切らずに戦力を維持できる。企業のためにもなることが示された」と話している。

 26日に福島市で開かれる日本産業衛生学会で発表する。遠藤助教は2000〜11年末までにがんと診断され、治療後に復職した会社員1010人を追跡調査した。長期の休業期間など復職支援が充実した大企業に属する人が対象。その結果、復職日から5年後に51.1%が仕事を継続していた。女性では60.4%に及んだ。がんで休業した重症者が対象で、内視鏡手術など短期の治療を受けた人は含まれない。実際の5年後勤務継続率はさらに高い可能性がある。

 勤務継続率はがんの種類で差が大きく、男性の肺がん(14.2%)▽男性の食道がん(28.7%)は低かったのに対し、前立腺など男性生殖器がん(73.3%)▽子宮など女性生殖器がん(67.8%)▽乳がん(63.4%)▽胃がん(女性63.1%、男性62.1%)は高かった。

 復職後の勤務年数の中央値を見ると、女性の乳がん、生殖器がん、男性の生殖器がん、男女の胃がんは10年を超えていた。

 ただ、調査対象は大企業が中心で、中小企業や派遣社員では身分保障期間が短く、離職も多いとみられる。厚生労働省研究班の04年のアンケート調査では勤労者の34%が依願退職か解雇されていた。遠藤助教は「がんだと復職が難しいというのは偏見で、十分な支援を行えば、長期に働ける。がんによる復職を法的に保障すべきだ」と話す。【斎藤義彦】

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