天才かもしれない「ダメ社員」を覚醒させる術
「隠れアスペルガー」を知っていますか
空気を読めない。指示のとおりに動けない。いつまでたっても仕事を覚えない。そんなダメ社員、あなたの会社にいませんか。もしかしたら、その「ダメ社員」は、大きな能力を秘めた「グレーゾーンアスペルガー」という天才かもしれません。
『隠れアスペルガーという才能』(KKベストセラーズ)などの著書を出版しており、発達障害の専門家である吉濱ツトム氏は「多くの上司は本来優秀である部下の能力を引き出せず、ダメ社員にしてしまっている」と警鐘を鳴らします。
グレーゾーンの「隠れアスペルガー」
「アスペルガー症候群」とは「自閉症スペクトラム」とも言われます。強すぎる劣等感を抱え、「他人とコミュニケーションができない」「空気を読めない」「協調性が欠落している」など、さまざまな「生きづらさ」を抱えています。
一方で、アスペルガー症候群にはきちんと診断がつくいわば「真性アスペルガー」のほかに、グレーゾーンに位置する「隠れアスペルガー」の人たちが大勢います。彼らは社会生活には一定の順応性があるため会社勤務などサラリーマンとして就職していることが多いのですが、どんなに努力をしても周囲に迷惑をかけたり、上司にとってはトラブルメーカーであったり、なかなかに厄介な存在として扱われる傾向があります。
ただし、本人は悪意があるわけではなく、本当に気づかないケースが少なくありません。このグレーゾーンアスペルガーは、実は才能あふれるすばらしい人材であることが多く、枠組みがないためにただマイナス面だけが目立ってしまって、周囲の理解が追いついていないという面があります。
グレーゾーンアスペルガーは適切な環境さえ整えれば、天才とも言えるほどの大きな力を発揮できるのに、みすみすその才能を殺してしまっているケースが多い。これは、上司にとっても部下本人にとっても非常に残念なことです。