「改良すべき踏切」が多い鉄道会社はどこ?
欧州より日本で「踏切事故」が多発するワケ
世界でもトップレベルの安全性を誇るといわれる日本の鉄道。実際に、鉄道側の原因による大規模な事故は少なく、利用者からの安全性に対する信頼は極めて高いといえる。だが、鉄道側だけでは防ぎきれない事故はどうしても起こる。その代表例が踏切での事故だ。
5月15日の夜には、神奈川県川崎市内の小田急線の踏切で、特急ロマンスカーと乗用車が衝突し、乗用車の女性が死亡する事故が起きた。4月19日には静岡県の天竜浜名湖鉄道で列車とバスが衝突し22人が負傷、同24日には福井県のえちぜん鉄道で列車と軽乗用車が衝突する事故が発生するなど、この1カ月間でも踏切事故は複数発生している。高い安全性を誇る日本の鉄道の「アキレス腱」となっているのが踏切だ。
日本の鉄道事故の多くは踏切事故
国土交通省の資料によると、2014年度の国内の鉄道運転事故の件数は758件。運転事故とは、列車の衝突や脱線などのほか、踏切での車や人との接触、また自殺以外の人身事故などが含まれる。これら全てを含む列車の走行100万㎞あたりの事故件数は0.56件で、列車の衝突や脱線、火災といった「列車事故」は12件(1.6%)と極めて少ない。
一方、線路内やホーム上での列車との接触などの人身障害事故は449件(59.2%)、次いで踏切で人や車と衝突・接触する踏切障害事故が246件(32.5%)と、これらの事故がほとんどを占めている。列車と衝突したのは自動車が44.8%、歩行者が36.7%となっており、原因では直前横断が47.2%と最も多い。
踏切が多いのは日本の鉄道の特徴とよく言われる。では、先進国で鉄道の発達しているヨーロッパ各国の鉄道はどうだろうか。国際鉄道連合(UIC)による、ヨーロッパ各国の国鉄など22社を対象としたデータでは、2014年度に起きた死者や重傷者などを伴う重大な事故の件数は合計で1830件。列車の走行100万㎞あたりの事故件数は0.44件だ。このうち列車の衝突や脱線は169件で約9%。踏切での事故は427件で23.3%、人身事故は1061件で58%となっている。