3メガバンクの業績ピークアウトが鮮明に
海外の資源関連融資の不良債権化が重荷
日本銀行によるマイナス金利政策と世界経済の減速を背景に、3メガバンクの業績ピークアウトが鮮明になってきた。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が5月16日に発表した2016年3月期連結業績は、純益が前の期の過去最高から一転して前年同期比8%減の9514億円になった。今2017年3月期の純益も、さらに10%減って8500億円になる見通し、と会社側は公表した。
マイナス金利による減益要因は1000億円程度
マイナス金利政策による今期の減益要因は「すべて合計すると1000億円程度」と平野信行MUFG社長は言う。その内訳は、変動金利貸し出しを中心とした利ざや悪化で350億円、個人などの運用意欲減退による金融商品販売手数料減少で300億円、そのほかの取引悪化要因で350億円という。
さらに、海外のエネルギー・資源関連融資の不良債権化も重荷となってきた。MUFGの不良債権は、国内では減少が続く。が、海外では2016年3月末に2期ぶりに増加に転じ、1808億円増の4787億円となった。このうち注目のエネルギー・資源の不良債権は1200億円。これは対象となる上流工程(石油・ガスの探鉱・開発・生産等)、マイニング関連(石油・ガス以外の鉱物関連)の与信残高対比では3%弱に相当する。
これに対し、MUFGはエネルギー・資源分野の不良債権処理にかかわる与信関係費用を、前期・今期と2期連続でそれぞれ750億円程度計上する。2016年3月末の段階で、担保未保全・未引当の不良債権額は140億円まで減っていたが、それを上回る750億円の引き当てを今2017年3月期も見込むのは、「WTI原油価格の前提を、1バレル=35ドルと、油価のさらなる下落を織り込んだため」(平野社長)だ。
現状、WTI原油価格は1バレル=46ドル程度だ。平野社長によれば、WTI原油価格が1バレル当たり5ドル上振れすると与信関係費用は200億円減り、5ドル下振れすると300億円増えるという。