ウィキペディアにも載ってない「選ばれしドブス様」に相応しい女子力

ブスな人、ブスではない人でも、心や目に沁みてしまうカレー沢薫さんのブス金言。第6ブスのテーマは「ブスの女子力」です。「女子力が高い」というと、何だかモテそう……。ですが、〝女子力〟は今や女性のみならず、男性にも「女子力が高い」などと使われることがあります。そんな女子力をブスが身につけると、一体どんなブスが生まれるのでしょうか?


ブスは「顔の女子力が低い」

今回のテーマは「ブスの女子力」である。
そもそも、「女子力」とは一体なんなのか。「ググれブス」と言われる前に、ウィキペディアで調べてみた。

《女子力:輝いた生き方をしている女子が持つ力。自らの生き方や、自らの綺麗さ、センスの良さを目立たせて自身の存在を示す力。男性からチヤホヤされる力。》

前半の綺麗事を最後の一文が完全に破壊するという、見事なまでのビルド&スクラップだ。私も、これくらい美しい文章を書いてみたいものである。
つまり、女子力の定義は正確には決まっていないようだが、男にモテる力だとすると、ブスは「顔の女子力が低い」ということになる。

よって、「ブスの女子力」と言われたら、横山光輝が描く『三国志』の関羽のような顔で「そんなものはない」と答えるか、「やめて! ブスの女子力はゼロよ!」と止めに入るほかない。

しかし、一般的に使われる「女子力」の中には、あまり顔の良し悪しは含まれていないような気がする。むしろ、顔があまりイケてなくても、女子力を高めれば、顔が良いだけの女を蹴散らしてイイ男をゲットできる、というような使われ方をしている気がする。

女子力が高いブスは〝闇のブス専〟の餌食になりやすい

では、具体的に〝男にモテる女子力〟とは何かというと、「家事全般完璧。気が利いて、聞き上手の褒め上手。優しく明るく愛嬌があり、かといって出しゃばらず男を立てることができる」といったところであろうか。
このように、モテを目的とした女子力というのは、どうしても男から見て〝都合が良い女力〟にもなってしまうのだ。

その昔、上記のような女子力の高いブスが「ブスカワ」と言われ持て囃された時期があった。
「ブスカワ」とは「ブスだけど明るく前向きに頑張っていればカワイイ」の意であり、「ミミズやアメンボだって生きてていいんだ」ぐらい上からのお言葉である。

ミミズが人間如きに認められなくても、平気で生きているように、ブスだってそんなこと言われなくても元気だし、飯だって人の三倍食う。
そもそも、ブスに「だけど」も「けれど」もない。そんな平仮名三文字如きで覆せると思っているなら、ブスを舐めているし、軽く見ている(体重的にも重い場合が多い)。

それに、女子力が高い(男にとって都合が良い)ブス、というのは、〝闇のブス専〟の餌食になりやすい。

ブス専にも種類がある。「お前と過ごす日々は、お前の顔と同じぐらい面白い。俺の手を一生、その首の後ろの肉で離さないでくれ」と言っているのは、〝光のブス専〟だが、尽くすブスは便利だし、ぞんざいに扱っても離れていかないから楽。という理由でブスを選んで、つきあう〝闇のブス専〟もいるのだ。
せっかくブスに生まれてきたというのに、《女子力》などという言葉に踊らされ、そんな男の機嫌を取りながら一生を終えるのは、もったいなさすぎる。

もっと、ウィキペディアにも載っていない「選ばれしドブス様」に相応しい女子力というものがあるはずだ。合コンで、いち早くサラダを取り分ける力など、そこら辺のザコ女にくれてやる。

ミニスカブスは、現れた時点で敵が100人くらい死ぬ

ブス様に似合う能力といえば、やはり目から怪光線、口からファイアーブレスであろう。
それが何の役に立つのだと思われるかもしれないが、そうなれば、まずブスの一番の弊害である「男女ともに舐められる」がなくなる。

それに、ブスというのは生物学的に見ても、美人よりそういった特殊能力に目覚めやすい。洞窟などに住む生き物は、視力が退化するが、聴覚や嗅覚などが発達する。それと同じように、ブスは顔が退化している分、他の力が伸びるはずなのである。

その理屈でいくと、鼻や耳が異常に良いブスになってしまう気もするが、それも悪くないし、エラ呼吸ができるブスになれる可能性だってワンチャンある。
にも関わらず、フィクションの世界で、超能力や魔法を使えるようになる女は大体美少女である。全くリアリティも説得力もない。

そもそも、戦地にミニスカコスチュームを着た、魔法美少女グループが現れても「なんだお前ら、エロ同人誌みたいにメチャクチャにされにきたのか」としか思えず、全く頼もしさがない。やはり、ここで登場するのは、ミニスカブスたちであるべきだ。もう現れた時点で、敵が100人くらい死ぬ。

だが、超能力というのは、さすがに非現実的だし、目覚めたとしても「指先からラードが出る」などでは若干使い勝手が悪い。よって、もっと現実的な武器を持とう。
ここでいう武器とは、何かの例えではなく、重火器や青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)のことである。
ブスがこれらを装備しただけで、もはや一騎当千であるが、念には念を入れて、チームを組んでもいい。「武装ブス集団」。もう字ヅラだけで、1000人死んだ。

また、世の中には「ブスなんだから、せめて愛想くらい良くしろ」と、ブスに対し性格の良さを求めてくる奴がいる。
ブスというのは、世間、特に男には冷遇される生き物である。何故、自分を虐げる者にこちらが愛想良くしなければいけないのか。

ブスにとって、真に必要な女子力とは、そういう輩を一瞬で消し炭にする能力である。

「ブス図鑑」は、ここから始まった!! ブスと男女の本質をついた名言満載、ブス必読コミック!(全1巻)

この連載について

初回を読む
ブス図鑑

カレー沢薫

「ブスに厳しいブス」と自負し、ブスのことになると、どこまでも熱くなりすぎるカレー沢薫さん。この連載コラム「ブス図鑑」は、漫画『アンモラル・カスタマイズZ』発売時の販促として「1日1ブス」を掲げ、読む者に涙と笑いを与えた同名の特設ブログ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

shiruno_info 「ブスは顔が退化している分、他の力が伸びるはずなのである。」で真剣に、そうだよなあ、その筈なんだけどなあ……と考えかけた。私は正気か。 約2時間前 replyretweetfavorite

chaliapin10 ずっと耐えたけど 「武装ブス集団」。もう字ヅラだけで、1000人死んだ。で吹いた 約2時間前 replyretweetfavorite

haru_omi  「武装ブス集団」に私の腹筋も殺された 約2時間前 replyretweetfavorite

tou_baru 女子力なんてゆるふわにくれてやる‼︎ありがとう、生きる気力げ湧く言葉 約2時間前 replyretweetfavorite